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⑮二人だけのお茶会


 私は二人だけでと提案をしゼロは理解を示してくれる。ここからは一騎討ちだと私は気合いを入れて誰も聞こえないように魔法で封じた。ゼロも石を投げて魔法を唱えてくれた結果。リディアとナナリ……そしてリリィの盗聴が無効となる。


 流石は名家であり、血筋からくる才能と魔力。固有能力は必見だった。石には何かの文字が刻まれているが私の知識にないと言うことは秘匿された本物の秘術だろう。禁術の類いかもしれない。もしや、長男しか引き継がれない物かもしれなかった。


「よし、これで盗聴は大丈夫です」


「ありがとうございます。ゼロ様」


「いや、これは少し重大な話だろうからね」


 彼は何故か嬉しそうだ。弱味を握ったのが嬉しいのかこの男は、流石はナナリのお兄さんである。そう、思いながらガセボに入り座る。彼は対面に座り笑みを向けた。


「ありがとう。妹のお願いと私のお願いを聞いてくれて」


「はい、お気付きになったと伺いました。私の正体を」


「……ええ、古い文献にヒントがありました。青い薔薇が綺麗だったおかげです」


「あげなければよかったです。確かにあれは落ち度でした」


「そうだね。では、君の口から説明を聞こう。そこからどうするかを考える。言い訳、弁護だね」


「……」


 彼は静かに優しく諭す。自信満々に余裕の表情で……私はそれに敗けを感じた。ナナリもヒントを出していたのだろう。友達を落とすなんてなんて酷い女。


「私は……人間ではないですから。弁護させて貰えるのでしょうか?」


「いや、人間だ。亜人と言う言葉に人間の文字がある。人に近い人に似た何かなのだから。人間でもある」


「わかりました。では、言い訳を……確かに私は純潔な人間ではないです。髪も実はこんな色です」


 魔法を解き、緑色の髪を見せる。これは我が家特有の遺伝で色んな色になる。見せるのは知っている者のみ。


「綺麗な髪色ですね」


「…………………………………私たちはこの髪で太陽から力を貰えます。そして花を咲かせる事もできます。ご存知の通り……私はドリアードです」


「ああ」


「我々は繁殖、子孫を残すのを優先してます。富や権力は二の次なんです。富や権力はすぐに手にする事が出来ますがそれは敵も作り繁殖と子孫に影響を与えます。人間より少なく。人間のようにしか生きられず。バレて魔女狩りに合うのは避けられません。『人外排除』です」


「でも、クラスではバレているんじゃないか?」


「親しい数人だけです。まぁ既に『あなた様』にまで漏れていますが」


「……ごめん。君を罠にはめた。実は亜人ではあるだろう仮説はあったがドリアードまでは特定出来てなかったんだ。巧みに魔法でも探知できないからね。ふむ、けっこうすぐに吐くね君」


「ほえ!?」


 私は口を抑える。やらかしたの事を教えてもらい、慌てて変な声をあげてしまう。


「し、知らなかったんですか!?」


「今、知った。なんだ、亜人だっただけじゃないか。確かに人によっては忌み嫌うだろう。だけど私は嫌いにはならないよ。それに面白い結果だった。過去の王族は一度君たちの一人を『聖女』として迎え入れている。なお、絶滅したと思われるがね」


「……まぁその。そうでしょうね。あなたが、そういう方なのは重々承知です。泣きそう……下手こいたぁ……」


「ふ……ふふ」


「何がおかしいんですか、笑って」


「ああ、すまない。なんで君が妹と親友なのかわかったよ。完璧超人と言うわけではないんだね。『弱み』があるから」


「そんな完璧な人は稀ですよ。ゼロ様だって……あるでしょう?」


「もちろん、それを隠す術も考えもあるが。妹は『たまに油断をして見せるべきだ』と言っているから。最近は気を引き締めなくてラクをしてるんだ」


「ラクしてるなら私の事もラクしてください」


「お断り、君がその気がないのは知っている。だけど…………知っているだろう? 私の行き着く先が」


「右院の代表、右院の開院を発表する。儀礼的な行事の代表。まぁ、今の王様って奴ですね。権威はある。権力はないけど」


「昔ほど。王は絶対ではないけど……それでも……支持されてるからね。それが権威だ」


 私は本音を聞いている。大変だろう未来像に愚痴を溢してもいるようなそんな気がする。だけど……それが彼の運命だ。生まれてしまい選べない運命だ。だからかも知れない。婚約者を断っているのは。生半可な人と結婚なんか出来ない。国民が許さない。


 逆になんでここまで自由なのかも違和感がある。


「自由になりたいですか?」


「君が振り向いてくれるなら」


「あぐ!?」


 私は舌を噛んだ。痛い以上にびっくりして立ち上がってしまう。


「はぁはぁ……い、今の言葉は……深く捉えてしまいます」


「もっと直接がいいのかい? 『婚約者になって欲しい』とは言わない。いや、まぁ……あああ。少し落ち着かせてくれ」


 私は一呼吸を入れて座る。鼓動が早くなり、体が熱くなる。熱っぽく茹でられるような感覚で言葉を待つ。


「俺に友達として付き合って欲しい。そこで……決めてほしい。俺に魅力があるかないかを。君が嫌うのは家だ。それは俺ではない。俺を見て欲しい」


「……」


 選んだ熱い言葉に私は「軽い拒否などは出来ない」と思った。それは……私の心が反する。真面目に答えなといけない。少し言葉を選んだあと私は笑みを向ける。


「確かに私は家ばかりで拒否をしています。ですが……ゼロ様を知っていない事も確かです。婚約者、付き合うと言うのは棚に上げて……知っていこうと思います。即答は出来ません。この場では確実に」


 私は答えを逃げた。真面目に悩んだ結果……答えが出なかったのだ。もし、断れば……悲しい顔をするんじゃないかと思う。その心に情が湧くのだ。


「いや、ありがとう。チャンスをくれて。本当に聡明だな君は。では、失礼するよ……君を慕う妹がそろそろ物理的に障壁破りそうだから」


「……ゼロ様も筋肉トレーニングを?」


「もちろん、薬……使わせて貰ってるよ。いいね、あれは」


「ま、ま!? ちょっと待ってください!! あ、あのですね。それは……あの、えっと!! ドリアードの私から採取したもので……」


「木の実から取ったエキスでしょう」


「あっ、いや、えっと………こう、皮膚からにじみ出る……その」


「…………わ、わかった。今度から使わないようにする。そして知ってしまう」


「いえ、ごめんなさい。不純な物を使わせてます……ですから。今度はその。採取方法が違う物をご用意しますので……ごめんなさい」


「いや、私こそデリカシーの無いことを……」


「いえ、何も説明しなかった私も……」


 これは堂々巡りになる。そう思った時だ。


「なら、男である私の落ち度と言うこと、使用用途が未記入の落ち度で区切ろう。誰も悪くない」


「はい」


 私は立ち上がる彼に深々と頭を下げる。同じように彼も頭を下げてそのままガセボを離れた。石はそのままであり、文字だけが消えている。それを拾うが全く痕跡がない。これは確かの秘術だ。感心する。


「はぁ……緊張したぁ……」


 私は座り、汗を拭う。そして、背後にいるナナリを呼ぶ。各々が感想を述べる。


「え、えっと。バレなかったですね」


「ほほほ、あのお兄さんが頭を下げる勢いの告白なんて面白いわね」


「盗んで見るなんていい趣味してるぜ本当」


 私は魔法を唱える時に抜け道をこっそり用意していた。そこから根を出して今の状況をリリィを通して見せ、あわよくば確保して拷問までの道筋を立てていたが。


「……みんなぁ凄く恥ずかしかった。凄い露骨なストレートで皆が見てないとオロオロして負けてたよぉ」


「わ、私もドキドキしました。姉さん」


「俺っちはなんともなかったぜ~」


「嘘よ、悶えて転げてたわ。まぁ私も同じように蕁麻疹が出たわ。身内のあれこれは恥ずかしいわね」


「言われた本人の立場になって考えてみ……頭が沸騰しますよ。『婚約者予備軍』ですよね、あれは」


 私は髪色を戻し、水筒の水を飲み干す。身を持って恋愛の熱量を感じとりながらも。深く深く、彼の言葉は心に確かに種を残したと感じる。


 これがどう芽吹くのか私には想像出来ないが……きっと悪い物ではないような気がするのだった。









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