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⑭出題と解答


 最近、妹との仲は良くなっている。それは恐るべき速さで。


「お兄さん!! この前はトルとリディアが喧嘩しましてね。リディアがぼこぼこにされてましたわ!! 悔しそうでしたの最高によかったですわぁ」


 妹が私の部屋にやってくるには最近では日常になりつつあった。勉強、情報交換。そして、私のおこづかいで買う鉄の塊。いや、詳しくは黒鉄のダンベルを買い。鍛えているのをつき合わしてくる。服で見えないが腕や体はきっと凄いことになっているだろう。


「ナナリ……筋肉痛は起きないのか? 最近疑問になってたんだんだが」


「起きてますわ。ですが、トルの塗り薬と服用薬ですぐに回復できますので断裂までいきません」


「そうか、俺にもくれない?」


「いいですわ。お兄さんもパルクールで筋肉痛にならないわけがないですものね」


「ああ、そうだな。痛くても鎮痛剤で誤魔化してたんだよ」


「大変でしたのね。安心してください。トル自身から採取できる安全なお薬ですわ」


「そうか。安全……ん?」


 私は聞き間違えたのだろうか。「トル自身から?」と口に出す。


「どういう事だ?」


「言い間違いですわ」


「すごい言い間違いだね。トル自身から採取なんて……しかし、聞き間違いにしてはすんなり出てきた言葉だ」


「あっいや……その……トルの実家の採取ですわ」


「なるほどね」


 変な動揺を私は見逃さない。そう、違和感はずっとあるのだ。トルの事を話すとき。齟齬、ズレを感じていた。彼女は特別。それが節々に感じ取れる。しかし、不思議な話でもない。彼女の家は魔法家で確かに薬学品も売っている。


「……でも、何故だろう。彼女から貰った薔薇は少し薔薇っぽさがない。木のような質感がある」


「作り物だからじゃないですか?」


「なら、素晴らしい名工がいるはずだ。調べて該当はあった。でも製造方法は秘密な場所で噂されているのが……生えて来ていると聞いた。まぁ噂だが……」


「そうですわ。名工が居るのですわ」


「……名工の居るのは他国であり。亜人の国だそうだ。そこから輸入は高級品。フランベルジュの家が買いに来たことは一切ないと聞く。似た物を持ってる人が言うにはだが」


「そうなのです? 輸入なんて裏でもあるでしょう? 貰ったと言えますわ」


「裏なら苦労して手に入れている筈で、あんなに軽くあげられる物じゃない。じゃぁ、それを知らず彼女が『愚かな考えをするか』と言うと。彼女はそんな事はしないと言える」


「えっと……私にはわかりません」


「そう、わからない事はもうひとつある。薬になると言うことだ」


 私は花を撫でる。香りがほんのりある。香りがストレスを癒すのはよく知られているが。


「飲み薬になると言う髪飾りはそもそも売っていない。製造方法は謎であり、未知な部分。それに今さっきの発言で仮説が生まれる」


「えっと、なんでしょう? 思い付きません」


「両方彼女から取れた物と言う仮説だ」


「…………」


「体温が高くなってる。汗も出てる。正解かな……そこから導かれると……」


「えっと……私は知りませんわ!!」


「聖女かな」


「……」


「……」


 あと少しの所で逃した感じがする。スッと熱がひくような沈黙が不正解だと示す。なら、聞いてもらいヒントを貰おう。


「人を癒す聖女の話があった。それは頭に花を咲かせたりと色んな方法で自身の体から万病に効く薬を生み出したとある。そして、時の王となる者を救い。王配となったと……歴史にあるんだ。聖女の特徴と良く似ていたから……もしやと思ったが。違うようだ」


「……もしや。その聖女の家系は?」


「途絶していて、わからないが。聖女には姉妹がいたかもしれない。その血筋は生き残っているかもしれないな」


「はぁ……面白いですわ。トルに伝えてみます」


「あと一歩で正体を掴めるかと思ったが。どうやら……情報が足りないようだね。ふむ、答えを知りたいが……」


「お兄さん、その線けっこういい筋ですわ。ただ、あと一歩ですわ」


「やはり聖女に関係しているのか?」


「聖女の姉妹の誰かさんの家系ではありそう、初耳だけど。王家を嫌う理由がハッキリと見えますわ」


「……わかった。『導き』の文字魔法は当てにできるんだな」


 『導き』の意味を持つ文字を掘った石に魔力を流して青い薔薇に関する縁を拾った事になる。『縁』ではなく『導き』とするのは……正直に彼女が一番。婚約者にふさわしいのではと考えての事だ。


「どおりで……そんな歴史の本を拾えたのね。そうなるともう答えが出ちゃいそう。焚書を免れた秘本を見つけそう」


「禁術図書館は高位な魔法使いでも入ることは許されてないから流石に難しい。それにこの聖女の書はお家騒動、下克上により全て抹消されている。今の王家の先祖によって……一切許さないと言う強い意思を感じれる」


「聖女の力を独占し、力で征服し、国民に還元しなかったから革命が起きたのでしょうしね」


「……魔法使いには面白くないだろうしね」


「お兄さん、明日。お茶会にお誘いしましょうか?」


「いいのかい?」


「お兄さんの婚約者になれるにはお兄さんを掴まえなくていけないルールがありますので、別に絡まれる事はなくなった。そろそろ、トルも相手を見つけて欲しいところですので、紹介してあげますわ」


「……まだ、決まったわけでは」


「他の子より熱意が違いますのに?」


「まぁ、そうだね。そうか、それも事実か」


 何故か照れくさくなる。明日に期待しよう。







「今日の午後、お兄さんを召喚します」


「……えっ、えええええええええ」


「マジかよ」


「お、お兄様はあの……」


「ほほほそうですわ!! ガルガンチュアの未来の当主様ですわ!! もちろんトルと二人きりですわ」


「嫌よ」


「残念、トル。お兄さんあなたがドリアードだと嗅ぎ付けたわ。釘を刺しておきなさい」


「……それなら、わかったわ。覚悟します……」


 とうとう、私は調べられてしまったようだ。逃げられない。



















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