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⑫弱味を握られた人


「あなたが、ずる休みしてたなんてね。ほほほ!! いい弱味ね」


「ずる休みぐらいいいんじゃね? しかも人助けだ。俺は支持するぜ」


「そんなことないわ。優等生の仮面を剥いであげれるのです」


 私は全て話をして、ナナリに解放される。早朝から激しい運動後に先生がやって来て現状を見て無視をする。「それでいいのか」と思うが……ここでは先生の地位は低い。ナナリの一声で辞めさせられるかもしれないのだ。まぁ、そんな事は私がさせないし、ナナリもしないが。


「えっと、席につきなさい。朝から元気ねぇ」


「「「「はーい」」」」


「先生!! 私!! 拷問されたんですよ!! 元気で済ませないでください」


「残念だけど。一部始終見てました。ずる休みでしたのね」


 呆れた声で私に席に座るように促す。私は頭を抱えたまま……頷き席に座った。そしてそれとは違い空気が変わる。


「今日、このクラスに編入する事になった。リリィさんです。第一王立学園から来ましたので仲良くね」


 小柄の女の子がうつむいた状態でクラスに入り、令嬢のご挨拶をする。私以外は不思議に思い。コソコソと話したあとに一斉に私を見た。


「俺、わかんねぇ」


「あれ、どうしたの? 第一学園からなんて変よ」


 脳筋ども、私に解説を頼むのね。


「えっと……情報ないので本人から聞いた方がいいと思う」


 震える彼女に私は「何だろうか?」と考える。察してはいるが確定ではない。


「先生、近付いてもいいかしら?」


「ええ、いいわ。質問もいいわよ。拷問は禁止」


「では……私から。私はナナリ。よろしく。そして……聞くけど何でここに?」


「それは先生からお話しします。彼女の家が第一王立学園は不適と考えてこちらに移す事を決めました。もちろん何かあったことは聞かないであげてください」


 私の考えはどうやら合っていたようだ。脱落者と言えばいいのだろう。揉まれてしまったのだろう、令嬢達に。


「あら、でも……聞かないとわからないですわよ。それにしても小さいですね。身長も」


「おい、ナナリ。外見を悪く言うとイジメになるぞ」


「別に悪く言ってませんわよ。イジメるなんて私がすると思いますか?」


 今さっき私を拘束して、いじめてた本人にツッコミたい。しかし……今さっきから泣きそうで震えるあの子のが大事だ。それはナナリもわかってるだろうが。


 ナナリは冷や汗をかいているし、いい案がないのだろう。仕方ない私が立ち上がるか。


「ナナリ、これは憶測ですが……情報集まりましたので説明します。第一王立学園で彼女はいじめにあってました。それが家の耳に入り、編入となったと思われるわ。そして……なんで私たちのクラスなのかと言うと……先生、教えてください」


「あなたたちねぇ……そう言うのは隠すべきよ。まぁ、だから唯一いじめがない事が確定してるクラスなのかもね」


 先生が重要な事を話す。そして私はそれは既に手に入れていた情報だ。廊下の先生方の話を拾うと、このクラスがイジメのない安全なクラスと評価されている。ナナリに後で言おう。そこは高評価されてると。


「確定ですね。リリィさん、安心してください。いじめなんてしませんよ……ここのクラスは。ね? ナナリ」


「そうよ!! わたくしの目がある限り!! そんな動物的な事をさせませんわ!! 安心しなさい、護ってあげますから」


 なお、拳でも解決するクラスでもあるので……弱肉強食感はある。そんな、強い言葉と頭を撫でるナナリに彼女は泣き出してしまう。


「あら、あら……仕方ないですわね。カラカラになるまで私の服で拭きなさい」


 そんなリリィにナナリは抱き付き。自分の服に涙をつけさせる。ナナリは彼女が見えないだろう顔はひきつって鋭い視線を先生に寄越す。


「預かりましたわ。確かに……このナナリ・ガルガンチュアが」


「ふふ、本当にこのクラスは楽ですね。話しは聞くし、真面目だし……」


「でも破天荒ですよ……先生ぇ」


「その破天荒の重要人物である。トル・フランベルジュさん。先生知ってますからね? あなただけの特権じゃないんですよ? それは」


 私は背筋が冷える。気付かなかった。いや、考えてみればそうだ。ドリアードは私だけなわけがない。


「先生……ごめんなさい」


「いいえ、同じですから。なので……見てますよ?」


 リディアとナナリに私は視線を送り。頭の薔薇飾りを指差す。その行為に二人は察して驚いた。


「気を付けなさい。どこにでもいるから」


 先生はそう言いながら点呼をとり初め、私達は戦慄する。悪い事、できないと。





 午後のお茶会時間。私はリリィを連れて占拠したガセボにくる。雨が降りそうなので、ガセボの解放部分にテントの布を用意して囲い。天井に吊るされた魔力のカンテラをつける。準備が出来たときに大雨が振りだして気温が下がり……暖房器具でもあるカンテラの力を強くした。


「カンテラの光は染みますねぇ~」


「か、カンテラの光ですか?」


 リリィが恐る恐る何を言ってるのと疑問を浮かばせる。


「リリィ……トルはね。ドリアードなの。光合成できるから光は好きなのよ」


「驚いたよな。先生もドリアードなんて……実は結構いるんじゃねぇか?」


「うーん。居るでしょうね。でも……私以外に反応なかったんですよね」


「そ、その……隠蔽する魔法が先生は得意なのだと思います。魔方陣を描いた服を着ています。目立たないように内側に……たぶん……」


「あら、あなた。魔法得意なの?」


「え、えっと……その……魔法の特待生で学園入れたんです……飛び級で……」


「マジかよ!! 飛び級!!」


「すごいじゃない!! 成績優秀者しか飛び級は許されてないわ」


「で、でも……それで私は……みんな年上で……」


「なるほど。第一王立学園では年上ばかり。仲良くするのもハードルが高く。また、特待生なんて目の上のたんこぶですからねぇ。消えてくれるなら嬉んでしょうね」


「なっさけな。弱いものいじめじゃん。俺もそれは嫌だなぁ」


「そうですよ。クラス弱者を排除するのがいじめですよ。だから、クラスのボス的なナナリがいじめは許さないと言う意思表示が大切なんです。幸い、共通の話題があるからいいんですよ。打ち込める別の物も」


「ボッコボコですわ!! 市中引き回ししてやりますわ。 オーホホホ」


 高笑いがガセボ内に響く。足から根を伸ばして私は雨水を啜る。うーん、水。


「そ、そうなんですね……だいぶ、その……大人っぽい意見です」


「俺さま大人っぱいかぁ!! 照れるなぁ」


「「は?」」


「てめぇら!! 文句あるんなら聞くぜ!!」


「私は子供ですよ、あなたと一緒で」


「そうですわ。リリィ……あなたも私も子供ですわ。だから、勉強し、鍛え、立派な理想の大人を目指すのです。私たち友とね。ねぇリディアもそう思うでしょ」


「………ぬっころす」


 リリィの表情が明るく。そして……驚いた表情でそして……泣き出してしまう。こんな幼子を無理やり入れた親が見てみたいが……成績優秀なら期待せずには居られないのも頷ける。あわよくば……玉の輿になんて甘い気持ちもあっただろう。モテたからこそ、嫌われてしまったのかもしれない。


「そうです!! 私は婚約者探してるんです。なにをしてるの私!! こんな子を慰めてる暇はない」


「あきらめなさい。私とつるんでるんだから」


「そそ、最後は俺っちの兄貴たち紹介するからさ。青春を楽しもうぜ」


「くぅ。婚約者いるどもめ。私は恋愛がしたいの!!」


「……ぷぅ……クスクス」


 泣いていたリリィが笑いだす。そして……リリィは笑顔で呼んだ。


「お姉さま方……面白いですね」


「「「お姉さま!?」」」


「あっ、そういえば私はお姉さま言われてたわ。赤子の妹に」


「いい響きね。うん、リリィ。私の事はお姉さまと呼びなさい」


「じゃぁ俺は……姉貴がいいな」


「ついでに私は~」


「姉さんでしょ」


「俺もそう思う」


「……そうね。妹にはお姉さま言われてるし。いい? リリィちゃん」


「は、はい……その。お姉さま、姉貴、姉さん。よろしくお願いします」


「任せときなさい!! 第一王立学園にカチコミに行きますわ!!」


「え、え!?」


「リリィちゃんが怖がるからダメよ」


 私は新たな子が仲間になった。そう、おとなしい子が。


「リリィちゃん。今のあなたのまま立派な令嬢になってね。ナナリ、リディアのようになってはダメよ。あれは悪役令嬢。悪者なの」


「「は!?」」


 私は気が付いた。こんな子こそ令嬢であるべきだと。そう、リリィちゃんを護っていこうと決めたのだった。










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