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①私は人間ではない


 私の生まれた国は二重王国、国民の信任によって二人の王が治める複雑怪奇な政治形態。そんな中で私ことトル・フランベルジュはベットの上で人のように起きる。名家、フランベルジュ家の令嬢である私は早朝、王国立の学園に通える歳になった。そして自分自身が何者なのかを答えを得る日でもある。歳不相応なアイデンティティを持つ筈なので気になる日だ。


 「私自身は人間ではない」と言うと嘘でもないし嘘でもある。「真人間」と言うと嘘になる。そう、私は人間ではない。それに気が付いたのは自分の髪が緑だからと言うわけではなく、植物の真似事でダイエットのためレモン水と太陽の日差しだけで数日過ごせた時から「人ではないな」と不思議に思っていた。そして、お母さんには学園入る前に教えていただけることになっている。


「今日、この日でやっと私が生まれる」


 生まれた時から基本的な知識があり、お母さんの人生を見てきたかのように知っており、それが異質だと言う事を私は察していた。妹、長男も同じ事を考えていた。


 多くの事が人間とは違う。それを感じながらも私は育ち……母親から大事な話があると個室に呼び出される。


 年をとっても綺麗なままの母親にも違和感があった。そしてそれが今日、解決する。大きくなれば教えてくれるのだ。それは我らの通過儀礼そう私は人ではない。


「では、直接言います。私たちは植物性の亜人です。人間ではありません」


「はい」


 驚く事はない。絶対にない。


「お父さんは知ってます。私たちは人間とドリアードと言う種族の混ざりものです。緑髪で変異する事ができ、水に溶かした栄養と太陽と空気だけでお腹が少し膨れます。食べないといけませんが……飢餓に異常に強いです。逆に干魃に弱いです」


「お母さん……それと魔法は少々特殊ですよね?」


 使える魔法から、唱える手順までが人とは異質。


「魔法ではなく能力があります。魔法と違いますので魔法と偽ります。あとは人間が少々混じってますので魔法は使えます。いい所を取ってます。ここまで話してショックですか?」


「……人間でもあるので安心しました。良かったです」


「ごめんなさい。大きくなって受け止められる年齢まで黙ってる。これが家の掟なんです」


「私たちのしきたりですよね? なら、大丈夫です」


 私は頭を叩く「ここに全て入っている」と言うように。お母さんは頷き真面目な表情で語り、私の姿を値踏みしていた。


「祖先は宿り木でしたが。宿主の木のドリアードを真似て、ドリアード化して人間と交配をし、人となって多くの土地に順応する事が出来るようになりました。人と違い子供に母の知識の実を食させて知識を円滑に引き継がせられます。そうして優等品種を残すのが私たちの生きる意味です」


「は、はい……」


 初めて聞かされる生体の話に頭の鍵が外れ知識が溢れていく。染みだす知識にめまいを覚える。私たちはヤドリギのドリアードを祖に持つ。


「なので……人間を掴まえて寄生するのが私たちです。あなたのお父さんもそうして掴まえた宿主です。寄生ではなく、共生ですが」


「わ、わかりました。今、頭が重いです」


「成長です。私たちは知識を簡単に引き継げます。そして……多くの生存競争に勝てる種としてます。ですが、共生により生まれる子供が少なくなりました。そして……吸血鬼など。人と混じって生活する種族です」


「えっと……お母さん。でも人間って亜人を敵視してますよね」


「そうです。私たちは……人に益になります。固形化で杖になった親戚もおり。錬金術師、魔法使いの触媒。薬などに有効なので弱いと狩られます。そして人間の種族を護るために私たちは人間を滅そうとする他種を排除しないといけません。また、逆に近すぎてもだめです。全員ドリアードになってしまい大変なことになります。一時期この王国の王家がドリアードばかりだった時もありますが全て革命で狩られました。親族全滅危機の大事件だったらしいです。元々凄く生存競争に強いのですが……逆に人間には異形に見えるようです。『魔女狩り』の対象になります」


「あ、はい……」


「ですので、王家と結婚はやめてね? 我々は別に権力はいりません」


「はい……種が増えればいいだけですよね。人間の隣で」


 王子との恋愛はダメらしい。「そうそう王子様なんて居ない」と私は思う。記憶が解放され……私がどういった存在かの知識が溢れた。そして……その中で強い記憶は人間が大好きと言う種族の記憶だった。ヤドリギとして人間に宿り、寄生した。その中で知識などを与える片利共生が共生へと変化したようだ。その中で多くの悲劇も生まれたがそれでも私たちは人を選び続けている。


「……私たちは人間にとって脅威ですが。私たちは人間に強い憧れをもっています」


「お母さん、その前に……お父さんの記憶が欠落してます」


「ダメです!! それは私の物です。知識の実にしません!!」


「……ああ、はい」


 私のお母さんはお父さんを溺愛している。それを冷たい目で兄、妹達と見てきた。


「トルちゃん……なので学園入学で必ず。男を掴まえて卒業すること。それが命令です」


「それが本題? お母さん?」


「そうです。もうひとつは諦めて種を貰って来て選別するのでもいいです。どっちがいいかは貴女が決めなさい」


「えっと、もしも……男とか、種が出来なかったら?」


「焚き火にします。それでお芋を焼きます」


「……え」


「錬金術師に売ります」


「……」


「魔法使いの杖になります」


「この糞親ぁああああ!! 嫌です!!」


「頑張ってね? トルちゃん」


「……じょ、冗談ですよね」


「いいえ。家計のためにお願いね? 我が家は魔法使いの家です。触媒魔法瓶等々で出費はあります。王家以外の金持ち家がいいですね」


「私たちは毒木ですか?」


「純粋な木です」


 私は脅しに恐怖するが、お母さんに対して勝ち目はない事は知識で知っている。仕方がなく条件を飲むしかない。


「学園の証明書を作成しようと思います。どっちがいいですか? 金か鉄か」


「二重王国立のどっちの学園かですよね? 鉄で……第一学園は王族、第一院派が多いので……」


 第一院は貴族院と言われ、第二は平民院と言われる。昔ほどその差はないが……上院下院の関係性はあるし、喧嘩している。


「二重王国第二王立学園ですね。では、期待してますよ。ミス兄のように婚約者はいませんから。頑張ってください」


「……お母さんなんで婚約者居ないのです? お兄さんも苦労しているでしょう」


「お父さんとお母さんは婚約者が居たのですが恋愛結婚に重きを置いたので、くそ邪魔だったんです。なので略奪していいですよ。面倒ですけど。妾としてもいいと思います」


 婚約者は居るのが名家の基本。生まれる前から決める場合もあり、政略結婚が多い。恋愛するなら妾とするのが基本だ。妾の子を引き取るが引き取らないかは自由だが。妾の子の方が優秀な場合は確執が生まれる。家を潰れる原因にもなり得るし、子供を絶やさないために大切な制度でもある。


 子供は病気に弱く、大人になれるのはごく一部。数人ほど候補者を用意すべきなのは昔から変わらない。ただ私たちは違う。


「お母さん……それでは子孫増えないのでは?」


「増やしすぎますとバレてしまい。魔女狩りにより、数を減らします。二人ほどでちょうどいいんです」


「妹……居ますが?」


「あれは素直に私とお父さんのミスです。長男は家を継がせるために。あなたは他の家に放つために……妹ちゃんは本当にたまたまです。貴方も子供を選べる歳です。気を付けなさい」


「本当に都合のいい種族ですね」


 子供で苦心する親が多いと言うのに簡単に種を作るんだから。


「ええ、そういう風に進化して来ましたから。実はドリアード同士とかもあるかもしれませんよ」


「それはいいんですか?」


「いいですよ? 種が残るので。それに同族なら相性もいいのです。知らない内に同族だった事もあるでしょうね」


 正直、私たちは深く根っこで人間と結びついている。寄生しているようで、逆に依存しているように。私たちは人間がいないと生きれない所まで堕ちたのだ。


「学園は戦場ですよ。トルちゃん」


「……すん」


 私の学園生活の夢はどうなるでしょうか。「恋愛結婚する夢」を叶える事が出来るか不安になるのだった。


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