新しい住処1
バティスタ領の騒乱の後、俺は子供たちを連れて、スターリン領に移った。
今まで住んでいたスラムの家とはガラリと変わり、大きな屋敷に住まわせてもらう生活。
昨日に、ガムから話し合いがしたいと言われ、朝から、その屋敷の一室でメンバーを待っていたら、暑苦しい相手にからまれる。
「助けてくれよ〜、ゼノ〜。
お前、オレのこと好きだろぉお?」
わけのわからないことを言いながら、抱きついてくる裸同然の娘。
「ゼノさん嫌がってるじゃない!
それにゼノさんが、お姉さんを好きなわけないじゃない!」
「オッパイ! オッパイ! 大きい!」
その暑苦しい娘を俺から引き離そうと、小さな女の子と男の子が、奮闘してくれた。
胸と尻だけを、紫色の布で隠した破廉恥な格好。――そんな姿で抱きついてくるのは、紺色のふわふわツインテール娘、マリーだ。
マリーが俺に助けを求めているのは、このスターリン領に、隣の領地が攻めてこようと準備している……そういう噂があるから。
ガムの言う話し合いというのも、まあ、それについてだろう。
この屋敷の主人――スターリン領の領主になろうというマリーにとっては、重要な話だった。
はっきり言って、「バカ」であるコイツに、領主が務まるとは思えないのだが……
そのマリーの太ももを、金色の髪の少女が引っ張っている。
それと、黒髪の少年が、マリーの大きな胸にしがみつき、喜んでいた。
リリスと、チェッチェ。
ティクトに言わせれば、俺は幼児誘拐の常習犯らしいが、確かにそうで……最近、俺が連れてきてしまった二人だ。
ほかの子たちはラナと一緒に、別の部屋にいるのだが、なぜだか二人は俺についてきた。
話し合いの間、この二人はおとなしくしてくれるだろうか? ――特にチェッチェ。
まあ、俺自身も、あまり話に興味は無いのだが……
この領は、領主であるスターリンが圧政を敷いていたが、俺が殺したので、今は領民たちが、革命軍と協力して治めている。
今後は、マリーを領主として、ここを治めていくつもりだそうだ。
――だが、国はここの統治を認めない。
隣のカミュ領に命じて、戦争の準備をしているらしく、緊張状態らしい……
確かに、子供たちを、危険に晒すわけにはいかない。
だが、戦争をどうこうするよりも、別の場所に移る選択の方が、俺には現実的だった。
――しばらくして、四人の女が現れる。
「――ずいぶんと賑やかだねぇ。」
そう言って、部屋に入ってきたのは、背の低い女――ガムは相変わらず、山のような髪型に、かんざしという髪飾りを沢山つけている。
「君は、子供といる時が一番幸せそうだね。」
ミリアンはそう言って、優しくこちらに微笑みをくれる。
長い黒髪の美人だが、今日は女性らしい服装で、余計に美しさが際立っていた。
「ゼノ〜、久しぶり〜♪」
チャラけた声で挨拶するのは、銀髪パーマの少年のような少女――情報屋のティクトだ。
「ゼノ殿、お元気そうでなによりだ。」
そして、予想外の人物が……
男物の騎士の制服に身を包む、金色のポニーテールをした貴族の娘、ローゼンも現れた。
なかなかカラフルなメンツが集まった。
あの騒乱以来の集まり――これまで彼女たちは、その処理に奮闘していた……らしい。
ガムとミリアンは、ここやグラッツ領の統治安定と、アムス領主との交渉に奮闘。
ローゼンたちセントールは、混乱を治めたバティスタ領を、そのまま統治するため動き、ティクトはそういった事を都合良く、王都側に、情報を流しに行っていた……らしかった。
「ミリアン、似合っているな――綺麗だ。」
――つい、口に出た。
普段は、黒い甲冑とマントを羽織っているミリアンだったが、今日は普段着。
質素だが、女性らしい亜麻色の布着を着けていて、その美しい曲線美が目を引いた。
「君は、女性を褒めるのが上手だね。」
「そうでもないさ。珍しかったんだよ、俺の周りには変な格好の女が多くてな。」
ミリアンに答えるついでに、ほかの女たちに対して、嫌味を言ってみる。
だけど、気づいて目を逸らしたのはガムだけで、ローゼンはキョトンとしているし、ティクトはわかってもむしろ、ニヤニヤと笑っている。
マリーもチェッチェを抱いて微笑んで、自分には関係ないといった顔だ。
しかし一人……
俺が想定していなかった相手が、予想外の反応を見せる――
「女の子ばっかりが……いっぱい……」
――リリスが、ぼそりと呟く。
見知らぬ人間の多さにリリスは、ボーっと立っていたのだが、そこから思わぬ行動に出たのだ!
「ねえ、ゼノさん、私、強くなったんだよ!
見て、見て! パンチ、パンチ!」
急に子供っぽく暴れ出す、リリス。
得意のヒットアンドアウェイで、俺の足を殴っては離れ、遊んでくれとアピールだ。
――痛い!
話し合いが始まろうというのに、それはないだろう、リリス!
そんな子じゃないと思っていたが……
叱ってやらねばと、俺は叫ぶ。
「リリス!」
「ゼノ、怒るんじゃないよ!」
叱ろうとしたら、それを大声で止められた。
――ガムが、リリスをかばい叫んだのだ。
俺もリリスも驚いて、ガムの方を見れば、ガムは静かに諭してくる。
「ゼノ、リリスちゃんを膝の上に座らせてあげなよ。その子はあんたが連れてきて、間もないんだろ? 淋しい――そういう年頃なんだよ。」
ガムはそう言って、ウインク。
リリスに、合図を送っている。
正しい意見なのだろう……
リリスもおとなしくなったので、俺はそれに従って椅子に腰掛け、リリスを膝へと促した。
リリスは少し恥ずかしそうだったが、素直に座ると、足を揺らして嬉しそうにする。
その可愛らしい仕草に、俺はさっきの怒りを忘れ、リリスを軽く抱きしめた。
「リリスちゃん……その男は地獄に落ちるやつだから、あんまり、のめり込むんじゃないよ……」
嫌味混じりの言葉を、リリスに告げるガム。
でも、俺は言い返さない。
なぜなら、ガムの黒い瞳に、優しさと淋しさが見えたからだ。
「――で、何の用だ? 隣のカミュ領が攻めてくるってのは、マリーに聞いてはいるが……」
話を進めようと聞いてみると、それにはまず、ミリアンが答える。
「彼女が、君の頼みならば聞いてくれると言っているのでね……」
ミリアンが示した相手はローゼン。
金の髪を垂らした美しい少女は、何も言わず、笑顔をこちらに向けている。
「ゼノ、ローゼン様に頼んでおくれよ!
革命の、バックアップをして欲しいとさ。」
「革命?」
ガムに言われて、俺は疑問を返した。
革命などに興味がない俺に、そう言われても意味がわからないが、ガムは続けてくる。
「このスターリン領を治める後ろ盾とさ、小麦を私の商会にも流して欲しいんだよ。」
「何で、そんな必要があるんだ?」
話が平行線になりそうなのを見兼ねてか?
ティクトがフォローに入る。
「ねえゼノぉ、ローゼン様たちがバティスタ領を治められるんだよ。
ゼノは、やって欲しいことは無いの?」
――なるほど。
大貴族セントールを巻き込みたいガムの思惑で、ローゼンを呼んだというわけか……
だが確かに、バティスタ領をセントールが治めるのなら、俺からも願いたいことはある。
少し考えて、俺はローゼンに頼み事をした。
「ローゼン、教会を守ってくれないか? それと、教会まで通いやすいようにして欲しい。」
「承知したよ、ゼノ殿。」
ローゼンはすぐに、にこやかに、了承してくれる。――そこにガムが、さらなる注文を……
「ゼノ! 後ろ盾と小麦の件も頼んだよ!」
「後ろ盾と小麦?」
「アムスとはこれまで通りに、商売や通行ができるように交渉は成立したよ!
後は、セントールが後ろ盾になってくれれば、ここが安全な場所になる!」
なんとなく理解して、ローゼンに確認する。
「なあ、ローゼン。
後ろ盾に関してはそんな話らしいが、そっちはそれで困ることはあるか?」
「さすが、ゼノ殿だ。こちらの事情を考慮いただけるのだね。
そうだなぁ……、私はミリアン殿たちを危険だとは思っていないのだけれど……」
ローゼンはミリアンの顔色をうかがうようにしながら、言葉を選んで返事を続ける。
「セントールは代々王都を守る、騎士の家系だ。だから、革命軍と組む、このスターリン領と手を組むことは難しい……
もちろん――ゼノ殿が言うなら別だよ。」
「どこまでならできる?」
「アムス領とは、友好と不戦は結べるよ。
ここと、元バティスタ領とは繋がっていないから、これで実質、こことも不戦には……」
ローゼンは、歯切れの悪い返答だ。
そこに、ガムがつっこんでくる。
「それは、王都から命が下れば、ここに攻める可能性もあるって意味だろう!」
叫んだガムを見る、ローゼンの顔は暗かった。
ローゼンを敵に回したくはないが、その場合は仕方ないか……
「ねえ、ゼノ様ぁ〜」
そこでティクトが、俺に耳元で、静かにささやいてくる。
「セントールが戦わないって宣言するだけでぇ、王都は困っちゃうはずだよぉ。
何かあったらさぁ、ほかの貴族や、自分の兵力をね、出さなきゃいけなくなるんだよぉ。」
「だから、どうした?」
「そしたらさぁ〜、いっぱい出てくるよね♪ 神具を持ったやつらがさぁ〜。貴族の神具、王都の神具が取り放題だね♪」
俺は、ティクトの言葉に聞き入った。
神具を奪うチャンスが増えるなら、そういう状況はぜひ欲しい――自然と体に力が入る。
「ゼノさん!!」
そこで急に、リリスが叫んだ!
どうやら、俺はティクトの言葉に興奮してしまい、リリスを力一杯に、抱きしめてしまったらしい。
苦しくかったのだろう……
膝から飛びのいたリリスの顔を見れば、耳まで真っ赤になっていた。
「リリス、すまない。」
「だ、大丈夫……ちょっと……お水、飲んでくるね……」
金の髪の少女は、小さく答える。
そして、苦しそうな赤い顔のまま、駆け出しては一度コケて、部屋から出ていったのだ。
「――地獄に落ちろ、『バカ』」
――ガムの嫌味だ。
リリスへの、俺の所業に対してだろう。
初対面ながらも、ガムはリリスのことが気に入っているようだ……
――さらに、交渉を進めていく。
「ローゼン、魔徒に備えるという理由で、他の領とは戦わないと、宣言してくれないか?」
「ゼノ殿、承知したよ。
それなら納得を得やすいと思う。でも無理な条件でも、ゼノ殿が言うなら従うよ。」
ローゼンは微笑み、それにも了承。
だが、ガムは嫌そうな顔で、もう一つの要求を伝えてくる。
「小麦をこちらにも流すように頼んで!」
「なぜだ?」
「セントールは安く小麦をカストロ領や王都に流しているんだよ。それをさ、高く吊り上げて、カストロや王都は、儲けているんだよ!」
「だから、それが、なぜ今関係ある?」
質問を重ねれば、ガムは一度言葉を失い、観念したように答え始めた。
「革命のためだよ……
食料の供給を抑えれば、民衆の不満を一気に高めたり、味方にできたりできる。
ゼノ、あんただって国のやり方には不満があるだろ?
セントールからの小麦の流れは重要で、それを少しでも押さえておきたいんだよ。」
ガムは小難しい話を、なんとなく伝えてくるけれど、そこには嘘が感じられる。
だから、本音を引き出すように、俺は強めの言葉を返してみる。
「俺は革命になんて興味はないぞ!」
「――『バカ』っ! あんたのためだろ!」
「は〜い、ガムさんストップ、ストップ♪」
ガムがやっとまともに話そうとしたところ、ティクトが、ガムの口を後ろから押さえた。
ガムは、話すのをやめてしまい、代わりにティクトが話し出す。
「うん。ゼノはどうしたいの?」
「どうしようもなにも……俺は革命にも興味ないし、小麦は困らないだけあればいい。
――ローゼン、別に小麦の話はいいよ。」
「承知した、ゼノ殿。
でもゼノ殿――ゼノ殿が言うなら、もちろん私やセントールは従うから……」
ローゼンは、そう答える。
――だけど、さっきから引っかかる。
今度はその部分を聞いてみた。
「なぜ、『俺の言うこと』なら従うんだ?」
「え? だってゼノ殿、あなたの言葉だから。」
「いや、意味がわからん。」
そこには、ミリアンが口を挟む。
「ゼノ、セントールやそこに集まった者たちは、再び魔神と戦う――そう志を持つ者たちだ。
君が神具を集めるのならば……」
――そういうことか。
なら、そのことについても話しておくか……
「ローゼン、お前を信用していないわけじゃないが、そのうちに『契約』してもらうからな。」
「ゼノ殿、契約とは?」
話すも、ローゼンは契約の意味をわからない様子……
俺は、魔神と戦うために神具を集めている。
だが、「契約の刻印」を修得したため、俺自身は神具を使えない。
そのことを、ローゼンは知らないのだ。
自分が戦わないくせに、他人を戦わせる。――それが俺のやっていることだ。
それを知れば、この少女は幻滅するかもしれないが……純粋な緑の瞳を見ながら、自分の卑怯さに躊躇を覚えた時、誘惑の声がする。
「ゼノ様〜、セントールには、九つの神具とその使い手が集まっているよ。
ゼノ様ならぜ〜んぶ、手に入れるよね♪」
ティクトの言葉が、俺を押した。
その誘惑は自分の卑怯さを忘れさせ、強く、誓いを言わせたのだ!
「ローゼン! お前の神具も、セントールにある全ての神具も……お前たち全てを俺は頂く!
そのための『契約』をしてもらうからな!」
立ち上がってローゼンの前に立ち、俺はそう宣言をした。
ローゼンはしばらく言葉を失ったが、笑顔に戻って、返事をしてくる。
「私と――『契りを交わす』ということですね!
こ……これは父上や皆に報告せねば!
さっきの件も含めて、報告を急がねば!」
――ローゼンはなぜか、嬉しそうな顔。
魔神と戦わされるのにこの笑顔とは、さすが英雄の家系と言うべきか……
「ゼノ殿、私は今すぐ失礼する!」
ローゼンは笑顔でそう言うと、急ぎ足で部屋から出ていったのだ。
ローゼンとの交渉は、それなりの結果を得た……そう思ったが、ガムは嫌味を放ってくる。
「――マジで地獄に落ちろ、『バカ』!」
――まただ。
今日のガムはとにかく、俺が気に入らないらしい……
俺はもう一度、椅子に腰掛けた。
ガムは睨むが、ミリアンは微笑んで、話し合いに一定の評価をしてくれる。
「君は交渉で、平和的に物事を進めるね。」
「ミリアン、騙されるんじゃないよ!」
だが、ガムは変わらず機嫌が悪い。――そこに、ラナがやってきた。
「チェッチェ寝てるの? 預かろうか?」
「おう! 頼んだぜ!」
スヤスヤと眠る、黒髪の子を抱いたマリー。――その子供をラナは受け取り、抱きしめる。
その様子を見ながら、ガムがミリアンに質問をした。
「『呪いの娘』の話を聞いたことあるかい?」
「ああ、『赤い髪の娘』のあの話かい?」
――なんの話だ?
そこに、ティクトが割り込んでくる。
「ああ、それ! 私も聞いてるよ♪
セントールなんかに避難した『東の地』から来た人たちが、話していたんだよね――ふふ♪」
「どんな話なんだ?」
「君は知らないんだね、ゼノ……」
ミリアンはそう言って、俺の知らない、不思議な話を語り出した。
「――東の地で流れていた、噂話だよ。
滅んだ土地の生き残りや、潰れた盗賊団の生き残り……革命軍の残兵なんかが語るんだ。
赤い髪の少女を見た。その子が魔徒や魔獣、そして『死神』を連れてきて、全てを皆殺しにしたのだとね……」
ミリアンは、ラナを見てフォローを入れる。
「話す者たちは仲間を殺られ、本人も相当な目にあっていた様子……精神を病んでいた。
嘘は言ってないと思うけど、信憑性は……
それに、もちろんね……赤い髪は珍しいけれど、彼女とはなんの関係もないはずだよ。」
ミリアンは、そう言ってくれた。
なのにそこで、ガムが、とんでもないことを言い出したのだ!
「その子のことだよ、ミリアン!」
――その言葉には、怒りが湧いた!!
「ガム! お前、機嫌が悪いからとラナを巻き込むなよ! ――ラナは何も悪くない!」
「あんたが言うなぁああ!!」
俺は怒り、椅子から立ち上がる――!!
……ろうとしたが、逆にガムが、座る俺に飛び乗ってきて、俺の首を絞めてきた!!
「ラナちゃんは何も悪くないよ!
あんただよ、あんた! あんたのせいだろ!」
「ガム、どうしたんだ!?」
なぜかキレているガムに、それを止めようとするミリアン。
ティクトは嬉しそうに笑い、止めもしない!――その上、ガムを止めようとしてくれているミリアンに、変な質問を投げかける。
「キャハハハ! ねえ、ミリアンさん?
革命家なら、世界で一番戦力を握っているのが誰だか、ちゃんと知ってるかな?」
「ティクト、今それどころじゃ!?」
「ミリアン! あんたはこいつに騙されてるから、私を止めようとするんだよ!
――ティクトの質問に答えてみな!」
三人の女が俺を取り囲み、言い争っている。
――俺は首を絞められ、聞くしかない!
「えぇと……恥ずかしながら、私は無知だ。
先ほど、セントールに九つの神具があると聞いて驚いたくらいだよ。単独なら王都を上回って、セントールが一番じゃないのかい?」
「そうだね〜」
ティクトは含みを持たせつつ話しながら、今度は俺へと質問してくる。
「ねえ、神具を集めるゼノ様〜?
神具を一番持ってる領はどこでしょ〜う?」
ガムが少しだけ首を絞める力を緩めた。――俺は苦しいながら、答えを返す。
「くっ……、なんなんだ!?
ブブカ領には今、十の神具がある! なら、ブブカだろ――それより助けろ!」
がしりと、ミリアンに両肩を掴まれた。
唯一の味方だったはずの彼女から、急に怒気が溢れるのを感じる!
俺は息を呑んで、彼女を見た……驚いた顔のミリアンは、責めるように尋ねてくる!
「君なのか!!」
「そうだよミリアン! 騙されるな!
こいつは、『バカ』なんだよ!」
――なぜ?
なぜ、俺が責められているんだ!?
「君は、ブブカと繋がっているのか!?」
「ああ、そうだ! 俺の冒険者カードもブブカのものだし、集めた神具もブブカに預けてある!」
「君は、どうやって神具を集めている!?」
「お前だって、知っているだろう?
迷宮から取ってきたり、持っているやつから奪ったりだよ!」
「君は東の地で、何人殺した!?」
「憶えてない!」
答えるとミリアンは手を離し、少し離れて呆然と立つ。
今度はガムが、首を絞めつつ責め立てる!
「だから、あんただろ!
赤い髪のラナちゃんが悪いんじゃない!
ラナちゃん連れて、行くとこ行くとこぶっ潰した、あんたが原因の噂話じゃないか!」
――そういうことか!?
「え? じゃあヤバくね?
オレんとこに呪いの子がいるってことは、この土地も、ゼノが滅ぼしちまうってことか!?」
「もうスターリンは、こいつに殺されただろう!」
「あ、ホントだあ!」
間近くで、ガムとマリーが騒ぐ!
離れたところで、ミリアンが尋ねる。
「き、君は、革命には興味がないと……」
「なんだよ……興味はないぜ?」
「ブブカ領に、十本預けていると言ったな……」
「ああ……?」
「ここにいる三人と、外にいる『あの男』……バティスタの持っていた鎖の神具……ブブカに十、セントールに九……君はあの、大きな盾を持つ、マルスという男とも仲がいいようだったね……」
「ああ……だが例え、ローゼンやマルスと手を組めたとしても、全ての神具までは、まだ半分だ!」
「まだ……半分……? 君はこの先も、これまでのように神具を集めるつもりなのか……?」
「そうだよ! 俺にはそれしかできない!」
俺の答えを聞いて、ミリアンは自身の顔を手で押さえた。
何か愕然としている様子のミリアンに、膝の上からガムが叫ぶ。
「ミリアン! 必ず私たちで革命を成し遂げて、世界の支配を手にするんだよ!
そうしないと魔神が世界を滅ぼす前に、この『バカ』が、世界を滅ぼしちまう!」
「キャハハハハハ!!
ゼノ様は、誰にも止められないよ!!」
ミリアンは顔を伏せ、ガムは怒り、ティクトは笑っている。
理由がわからない俺は、キョトンとしているマリーと同じく「バカ」なのだろうか?
彼女たちは、仲間のように感じていたが、決して完全な、協力者とはいかないようだ……




