表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2週間の夏休み  作者: 蓮実 よる
6/16

狂った同盟

今回は湯子目線です‼︎

「ぅ…うぅん?」

目が覚めると、見たことあるような……無いような…… 真っ白い天井。あれ?私なんで…

「目が覚めた?」

私の右から声が聞こえる。声のする方に顔を向けると、そこには

「あ…あんた……」

恐怖で私は凍りついた。笑顔で私を見ている少女。彼女は『雨柄』私が5年前、クラスの女子に命令をして、イジメをさせた。なぜイジメをしたのか、と聞かれたら、まず最初に答えるのが、『うざい』。しかし、それは嘘。大抵、うざい は 嫉妬などを隠すために使う。そう、彼女は可愛かった。男子からも人気だった。彼女がいるせいで私はいつもクラスランキングでは雨柄の下だった。憎い、ずるい、羨ましい。私の欲しいものは全部あいつが持っていった。


5年前

小学校にて


「✖︎、✖︎✖︎くん…… 私……✖︎✖︎くんの事が、好きですっ‼︎ 付き合って下さい‼︎」

「えっ⁉︎ あ、あー…… ご、ごめんね。俺、好きな子がいるんだ…」

「そ、そっか…… それって……●●…ちゃん?」

「…………うん」

「そっか…」



漢字のテスト返却時にて


「今回の満点は、●●さんと*さんです」

「さすが●●◉‼︎」

「*もよく頑張ったよ〜」

「……え…」

「はい、湯子さん」

「……98点…」



10年前


幼稚園の図工の発表会にて


「準優勝は、湯子さん、優勝は、●●さんです」

「え……」

「わぁ〜、先生ぇ、ありがとう!」

「●●▲すご〜い‼︎ 金色の折り紙メダルだ〜‼︎ いいなぁ〜。***のピンクのメダルと交換してー‼︎ 3位だよ‼︎」

「もう、***ったら〜。1位のメダルはあげなーい‼︎ ●●●のだもん‼︎」

「(……私は、2位の銀色の折り紙…)」



お遊戯会にて


「シンデレラ役に選ばれたのは、●●さんです。」

「やったぁ〜‼︎ シンデレラ役だ〜‼︎」

「***はね‼︎ ***はね‼︎ まほうちかい役だよ‼︎」

「(……私は意地悪なお母さん役……)」



彼女が全部、私の欲しいものを持っていった‼︎ だから、少しだけ痛めつけるだけでよかったのに…… 気づいたら…病むまで追い込んでいたなんて……。

「湯子ちゃん?」

ハッとして、私は悔しい記憶を押しのけた。そして出来る限り、強気になって喋った。

「何?」

「ううん、大丈夫かなって思って。そんなことよりも、会いたい人がいるって。入れてもいいかな?」

会いたい…人?お父さんかな? そう思って私は

「別にいいけど?」

とだけ言った。私の合図で中に入って来たのは、

「き、菊池⁉︎」

「…よお」

「さっき偶然廊下で会ったんだ」

菊池は小学1年生の頃に私達の小学校に転校して来た、面白い男の子だった。しかし彼は転校して来て1年後、刹那の隣の席になって以来、変わった。彼女をイジメ始めたのだった。そして小学3年生の終わり頃に、雨柄家は逃げるようにしてイギリスに引っ越した。私は敵なしになったが、菊池は変わった。暗く、近寄りがたい いじめられっ子に…

「な、なんでここに⁉︎」

私はオロオロしながら聞いた。気まずい…… 菊池がいじめられ始めた日以来、私達は連絡も会話もしていない。雨柄をいじめていた時はいつも一緒に作戦を考えていた…… 懐かしいような、懐かしくないような思い出だ。

「えーっと…」

彼はフイとそっぽを向く。お見舞いに来てくれたのは嬉しいけど、嫌われちゃったかなぁ…… でも、来てくれただけで嬉しいかな。いつかまた普通に会話できたら…… そう私が思っていると、私の素敵な考えを一瞬で雨柄がぶち壊した。

「私が呼んだんだよ」

おい、せめてそこは夢見させてくれても良かったんじゃないの?私が反論しようとしたが、雨柄の方が先に口を開いた。

「あ、そういえば」

さっきのようにいい雰囲気を壊したKY少女に少々イラついた私は

「雨柄‼︎」

大声で叫び、急いで私は彼女の口を押さえた。彼女がいつ、何を言い出すのか分かったもんじゃない。だから私は喋る前に彼女を黙らせた。

「また変な事言うんじゃないでしょうね?」

「?言わないけど?」

本当に? 私は半信半疑で彼女を解放した。

「うん。実は湯子ちゃんに聞きたいことがあってね」

「聞きたいこと…?」

「うん。実は」

「湯子ぉぉ‼︎」

雨柄が喋ろうとしたタイミングにお父さんが保健室に飛び込んできた。

「湯子‼︎ 大丈夫か⁉︎ 熱中症だと先生が言ってたが、本当に大丈夫か⁉︎ 水はちゃんと飲んでなかったのか⁉︎ 無理のしすぎじゃ」

「はいはい、お父さんうるさい。今忙しいの。後にして」

「ゆ、ゆこぉぉ‼︎」

全く…… お父さんってば心配しすぎ……って、そうだ‼︎ 雨柄の聞きたいこと聞けてないじゃん‼︎

「で?聞きたい事って?」

「……とりあえず、Lime 交換しよう」

彼女の目がキラリと鋭く光るのを私は見逃さなかった。ふーん、『口に出しては言えない事』……? いや、きっと『他人に聞かれたらアウトな事』だろう。だが、ケータイでのやり取りも危険だ。このままでは、私も危険な事に巻き込まれてしまう。それだけは ごめんだった。

「いいけど、交換する前に1つ教えてくれない?」

キョトンとした顔で雨柄は私を見る。しかし、目だけは私を警戒するように見つめた。まるで獲物が逃げないように周囲を経過する鷹のように…

「いいよ?」

落ち着いた声で彼女は私の質問に答えた。そして私は怯えながらも、恐怖を隠し、彼女に聞いた。

「これに協力したら、私は日の出るところに出てこれるの?」

出来るだけオブラートに包んで聞いてみた。すると、雨柄の肩が かすかに 動いたように見えた。そして、不気味な笑みを浮かべてケタケタと笑った。私は全身に鳥肌が立った。この子は精神などが大丈夫なのであろか? そう思ったが、次の一言で私の考えの答えが出た。

「さぁ。私を失望させなければ、ね?」

彼女の横で、菊池が震えた。彼もこの危険な任務に巻き込まれたのだろう… そして、彼女の放った言葉の意味を理解したのだろう。そう。彼女を失望させたら、私達は警察に行くか、それとも…… 考えただけでも怖い… 体がスーッと冷たくなって、今にも失神してしまいそうなほどの恐怖にかられた。今断れば、彼女を失望させたのと同じになってしまう。いいさ、だったら……

「最後まで足掻いてやろうじゃないの。」

面白い。やってやろう。たとえ地獄に落ちても、私は生き残るために最後まで足掻いてみせる。

「ふふ…成立だね」

「ええ、もちろん」

「私を失望させぬよう、無様に、惨めに、足掻きなさい‼︎」

「望むところよ‼︎」

雨柄は狂ったように笑い始めた。そして、気付けば私も彼女と同じように、不気味な笑みを浮かべていた。その横で、菊池は何が起こったのか飲み込めていないようで、オロオロしていた。

「菊池くん」

雨柄が彼の名を呼ぶ。私はそれを合図のように、起き上がる準備をした。

「な、なに?」

菊池がビクビクしながら雨柄に答えた。

「湯子」

突然呼び捨てで呼ばれたが、私は気にしない。

「ええ」

返事をしながら、私は保健室のベッドから起き上がった。

「2人には、これから2週間……っていうか11日間、私に協力してもらう。裏切ったら、即切るよ。明日は金曜日、来週の水曜日に夏休みに入る。そしてその3日前に夏祭りがある。つまり夏までに作戦を作り決行する。いい?」

ん?でもそしたら残りの日は……?

「はい、質問」

私よりも先に菊池が質問した。

「残りの日はどうするんだ?」

ナイス菊池‼︎ 私も無言で頷いた。それを聞いた雨柄は、

「その日の予定による」

とだけ言った。

「そんなことよりも、どこで会議をしよう…… 図書館は静かすぎる。秋葉は人が多すぎる。」

「じゃあ、二階の使っていない空き倉庫に集合して、作戦を練ろうよ」

気づいたら私の口から提案が出て来ていた。自分でも驚きだ。それを聞いて雨柄はニヤリと笑い、菊池は「あー、あそこか」としか言わなかった。結果的に明日、学校が終わり次第、二階の空き倉庫に集合となった。鍵はかかっていないはずなので簡単に入れるだろう。かかっていたとしても、こじ開ければ問題はない。別名、『禁断の倉庫』。何故禁断かというと、不良グループの溜まり場だからだ。しかし、何故か不良グループのリーダーの岡辺が今日、頭に包帯、頰に絆創膏、右腕に包帯、顎にはガーゼ、という奇妙な姿で登校して来た。そして、何故か菊池に怯えるようにして、今日1日を過ごしていた。

「じゃあ明日、『禁断の倉庫』で」

そう言って私は帰ろうとしたが、菊池が一言

「どうせだったら違う名前で呼んだ方がいいんじゃないか? ほら、『禁断の倉庫』なんて学校中のみんな知ってるだろ?」

確かにそうだ。『禁断』と言う言葉が出た瞬間、真っ先に思いつくのがその部屋だ。

「じゃあ、『秘密の会議室』?うーん、ちょっとダサい」

と私。

「だったら、『Eternal Labyrinth』なんてどう? 日本語で『永遠の迷宮』って意味。ちょっとカッコよくない?」

厨二病かっ‼︎ と一瞬私は思ってしまった。しかし、意外とニュアンスがいい。

「イ、イターナル…ラビットリング?」

英語が苦手な菊池がリスニングで言おうとしてるが、全然違うと私も分かる。

「永遠は英語でエターナル。迷宮はラビリンス、この2つを合わせるだけなんじゃないの?」

と私は考えながら言ってみた。

「そうそう。Eternal Labyrinth 」

「なんか腹たつわ、あんたの言い方。」

「えー?」

気付けば私達は6:30まで保健室にいた。保健室の先生に追い出されなければ、今頃まだ学校に残っていただろう。私は熱中症病み上がりなので、5日間部活を休ませてもらった。いや、休まされた。誰に? お父さん。3日でいいのにと言っても聞かないので、仕方がない。菊池は家庭部らしい。そんな部活が存在したのかと私も雨柄も正直びっくりした。家に帰り宿題をしようと机に向かうと、ピロン とケータイがなった。誰からだろうと思い開いてみたら、雨柄からだった。メールには

「浴衣もってる?」

と書かれていた。バカなのか、それとも冗談なのか、よく分からないが、一様返信しておいた。

「あるよ」

電源を切り、勉強、と思いきや、ゔゔぅ と再び鳴った。仕方なく開けるとそこには雨柄から、

「浴衣あまったら貸して☺︎」

ときた。これ断ったら後が怖い… 苦笑いしながら私は「いいよ」とだけ言って電源を切った。次の日、ケータイに35通ものメッセージが彼女から届いていたのは言うまでもないかった。


今回もまたシリアスな展開と雨柄ちゃんが狂ってしまいました…… アレレ…? ま、まあ、湯子ちゃんが雨柄ちゃんを いじめたきっかけ が今回少し明らかになってよかったかなぁ〜…w

気を取り直して、次回は菊池くん目線で書きたいと思います‼︎

雨柄ちゃんの夏祭りまであと2日‼︎

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ