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2週間の夏休み  作者: 蓮実 よる
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ストラップと仲間と警察と

今回は雨柄ちゃん目線です‼︎

今日は菊池くんと学校で別れた。近くにBook-On があったから行ってみたくなったのだ。その前に、私は近くのコンビニに寄り、今日のお昼を買った。コンビニおにぎりを何種類も選び、食べ比べようと思ったからであった。3:00のおやつを選ぼうと思ってお菓子コーナーに行くと、見たこともないお菓子のパックがズラーっと棚一面に広がっていた。

「うわぁ〜‼︎」

私のイギリスの家の近くにスーパーはあるがコンビニがない。あったとしても、少々遠すぎる。買い物はほとんどスーパーで終わらせているからコンビニは私にとってはすごく珍しい。私が1人でコンビニで楽しんでいると、マスクとサングラスをかけた男性にぶつかった。ポケットから何かが落ちたので急いで私は謝った。

「っと、すみません。」

そして地面に落ちたものを拾おうとしたら…「あれ?」

そこには、私のカバンについてあるはずの不恰好な猫のストラップが落ちていた。

「これ、私のストラップ…… なんでおじさんが」

言い終わる前にその男性は私の手からストラップを引ったくろうとした。しかし、これは私にとって、命の次ぐらいに大切なものだった。

「返して‼︎ これ私の‼︎」


10年前

幼稚園にて


「●●▲、これ、あげる‼︎」

「もー、***、私の名前は ●●●だよ。」

「●●▲‼︎」

「だから〜、●●●だってば。でも、ありがとう。これ、大切にするね」

「うん‼︎ えへへ」


ダメ‼︎ 絶対にこれだけは渡せない‼︎ すかさず私は男の膝を強く蹴った。男の足に強く刺激を送らせた私はその人を突き飛ばしてコンビニの店員を呼んだ。男は店員に店の奥まで連れていかれ、私も事情聴取のために連れていかれた。あぁ、私はただお菓子とおにぎりを買いたかっただけなのに…… そう思いながら店の奥に入った。

「なぜ彼女のストラップを取ろうとしたのですか?」

店員が男性に尋問した。

「違う、それは俺の娘のだ‼︎」

と、男性は言い返す。

「その少女が取ろうとした」

などと言い訳を始めた。店員が私の方に冷たい視線を向けた。私は今にもブチ切れそうになりながら、落ち着いてこの男性に2つ質問をした。

「おじさんに質問が2つあります。1つ目は、このコンビニの天井には監視カメラというものがあるのをご存知ですか? 2つ目は、このストラップをどこで買ったのか、教えていただけませんか?」

防犯カメラ、と言う言葉に男性の肩が震えた。私の目から視線を逸らすと、モゴモゴと喋り始めた。

「いや、その…………そこの中学に行く娘がこれを買ったから、どこかは……」

「なるほど……『買った』のですね」

「そ、そうだ‼︎ 娘が買ったそのストラップが昨日無くなったんだ。君も中学生だろ⁉︎ 学校をサボって湯子のストラップを盗んだお前が犯人じゃないのか⁉︎」

なるほど、そう言うことね。湯子とは、昨日私を見て叫び始めた女子グループのリーダー。その子が昨日私のカバンに付いていたのを見たのだろう。そして仕返しのためにお父さんを使った。それにしても、今日は運が悪い。彼女のお父さんが、ね。

私を睨む湯子のお父さんに、丁寧に教えてあげた。

「実はこれ、手作りなんです」

私はにっこりと湯子のお父さんに微笑み、ストラップの猫の左耳をよく見せた。そこには赤い刺繍で、『セつね』とガタガタに縫われてあった。字を学んだばかりの子供が間違えながらも書いた、微笑ましいストラップだった。多少、ひらがなとカタカナが混ざっているが、そこは目をつぶっておく。それを見た湯子のお父さんが、ガタッ と席から立ち上がり、私の肩をつき飛ばし、逃げるように部屋から出ようとした。

「きゃっ‼︎」

私は小さく叫び、男の足に引っ掛けて転んだ。あまり強く突き飛ばされてはいないが、少し大げさに転ぶだけで男は私に気をとられた。そしてそのまま私の足に引っかかり、コケると思っていたが、

「だ、大丈夫か? おじさん、大人気なかったよな…」

と、私の方に駆け寄って来た。私は一瞬頭に「?」が浮かんだ。彼の娘と同い年ぐらいの子が、知らない人に突き飛ばされたと言う事実は湯子のお父さんにはいいダメージだったのであろう。自分の娘が似たような事をされたら怒るどころではない。むしろ、犯人の家に乗り込むような大胆な行動が想像される。いいお父さんなのに、なんで娘は…… と私は少々悲しくなりながら思った。

結果、彼は警告をされただけでなんの罪にも問われなかった。私がコンビニから出るときは、丁度お昼を過ぎていた。湯子のお父さんは、罪悪感で私にお弁当を奢ってくれた。本当に湯子のお父さんなのだろうかと、疑問に思い始めそうになった。天気がいいので、近くの公園で食べ始めた。

「湯子とは仲がいいのかい?」

唐突の質問に、私は唐揚げを喉に詰まらせそうになった。どう答えればいいだろう… はい、と答えたら嘘になる。イジメられてました、なんて答えたら相当ショックになるだろう。仕方なく、私は質問を濁した。

「えぇ、まあ、幼稚園年少からの付き合いですからね…」

湯子のお父さんはそれを聞くと嬉しそうに目を輝かせた。

「そうだったのか?それだったら悪い事をしてしまった。湯子は幼稚園の頃から変わらず、控えめで、大人しくて、優しい子だからね。君みたいないい子な友達がいたなんて… お父さん嬉しい…」

「ははは……そうですねー、控えめで大人しくて優しい子ですもんねー、湯子さんは」

ぎこちない笑みを浮かべながら私は言った。どうやら彼女は親に見せていない人格があるようだ。私の答えを聞くと嬉しそうに娘について語り始めた。私はこの暑苦しく娘について語るお父さんは相当彼女を溺愛しているのだろうと気づいた。出来れば一刻も早くその場から、いや、このお父さんから離れたかった。私は仕方がなく聞いているフリをして、適当に あいづち を打ちながら「そうですね。」「なるほど。」などと繰り返し言っていた。

気付けばお弁当は食べ終わってしまった。それを見た湯子のお父さんは

「あぁ、すまなかった。つい娘について語ってしまったよ。だけどあの子もいい友達を持ったな。ところで君、学校は?」

と、今頃私に学校について質問してきた。

「夏休みなんです」

とだけ私は言った。嘘ではない。イギリスでは3カ月もの夏休みがある。そして9月から新学期なのだ。

「もうかい⁉︎ まだ7月半ばだぞ⁉︎ って、あ、そうか、今日を数えなかったらあと5日で夏休みか。」

それを聞いた私はハッとした。あと1週間、と言うことは来週以内に理事長と決着を付けていないと意味がない。夏休みになると、あの理事長は逃亡を図るつもりだと言うことはなんとなくわかっていた。

「そういえば、夏休みの3日前にちょっと早い夏祭りがあるんだよね。君もうちの子と行ってくれる? あの子もきっと喜ぶと思うぞ」

ほう、夏祭りか。私は夏祭りではわたあめといちご飴がたらふく食べたい。ならばそれまでに理事長との決着をつけ、私のサイフ(菊池くん)のお金を少しでも祭りのために貯めておこう、と思った。そのような考えを湯子のお父さんに気付かれないように、私は笑顔になり

「はい」

とだけ言っておいた。それを聞き、湯子父は大喜び。彼と仲良くなったおかげで、湯子は私の邪魔が出来なくなるし、少しは役にたつだろうと気付いたのは、メールアドレスを交換しようと湯子父に言われた時だった。

……

「ゆ、こ、ちゃん!」

私は学校が終わって陸上部にいる湯子に会いに行った。私の顔を見た瞬間、彼女は怒鳴ろうと思って口を開けたが、彼女のお父さんを見た途端、黙ってしまった。

「実はね、湯子ちゃんのお父さんが、私と湯子ちゃんが一緒に夏祭り回ったらって聞いて来たんだけどー」

ここで私は一旦会話を区切り、湯子のお父さんの方をチラッと見た。彼は娘に夢中だったので、私の不気味な笑みに気付いていないし、狂気のあるトーンで喋っても怪しまれていなかった。

「だから〜、一緒に行こっ?」

私は愛想よく湯子を誘ってみた。

「ぇ、ぃ、いや……」

私に怯えてる湯子にお父さんは気付いていない。しかし、少々不審に思ってきたのだろう。

「湯子、どうした?」

と聞き始めた。このままだと湯子父にバレてしまう。そうなると厄介になってくるし、作戦の支障にもなる。そう思い、私は焦り始めた。どうすればいい…? 何をすれば湯子父の気を反らせられるだろう? すると、

「陸上部のみなさーん‼︎ 練習始めるよー‼︎」

と、顧問の先生が出て来て声をかけた。チャンスだと思い、私は湯子父に

「あ、練習の時間だ‼︎ 湯子ちゃん早く行こっ」

と言って、怯える湯子を連れて逃げた。逃げてる中で私は冷たく湯子に言った。

「協力して。じゃないと警察に突き出すよ。」

それを聞き、湯子がピタっと止まった。私も止まり、彼女の肩に軽く手を置き、耳にある事を囁いた。

「●●◉の◼︎◼︎◼︎さん」

湯子の顔から汗がどっと溢れた。

「まさか……」

彼女の顔が青くなった。私は冷たい目で笑った。

「そのまさかだよ」

「…あんた……あの時の……」

「ご名答」

それを聞き、湯子は気絶した。彼女が倒れる寸前、私は再び彼女の耳に囁いた。低く、脅すような声で

「今の、誰かに言ったら…あんたを交番に突き出すからね」

湯子の目が白眼をむいていたが聞こえていたのだろう。

「……わか、った……」

そう呟き意識を失った。顧問の先生と湯子父が駆け寄って来て、保健室に彼女を連れて行く。私も付いて行こうとしたら、偶然菊池くんに会った。

「あ、菊池くん。」

「ぅげ…雨柄」

この反応から察するに、私と湯子との会話に気付いていないのだろう。それはそれで好都合だ。そう思い、私は彼に言った。

「ねぇ、協力して欲しいことがあるんだけど」

この学校の情報源を知っている2人から、出来るだけの情報を貰って、利用しないと、ね。


雨柄ちゃんの夏祭りまであと2日‼︎ 作戦を作って攻撃をするまであと夏祭りの日+3日以内‼︎ 出来れば雨柄ちゃんに浴衣着てもらいたいです…w 今回も少々、雨柄ちゃんの脅し(ブラックメール)が入ってしまいました…… オーノー…

次回は今回気絶した、湯子ちゃん目線で書きたいです‼︎

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