1.『酔いが回れば』
続き物凄く遅くなってしまいすみません(>人<;)
多分、1年以上投稿していなかったです。
作者がとても気分屋なのでこれからも頻度はあまり高くならないと思いますが、横目に流す程度に楽しんでもらえたら幸いですm(__)m
真夜中であるにもかかわらず、店内は騒がしく活気に満ちていた。
《ネクシア亭》、彼が行き詰めている至上の酒場である。
店長曰く、客に新しい繋がりを築いて欲しいという思いからnexusと付けたそうだが、訛ってこう呼ばれている。
所属暗殺者ギルドのあるアグリンドからは少し離れており、この店に長である彼がよく入り浸っていることを他のギルドメンバーは知らない。
「よお、シスタ。任務帰りか?相変わらず大変だな」
カウンター席に向かうと、店長がこちらに気付いていつものカクテルを寄越す。この人は誰にでも気さくに話しかけるが常連には最初の一杯だけ無料で提供してくれるのだ。
「まあそんなこと言っときながら、そろそろ来る頃だろうとは思ってたけどな」
はっはっは、と笑う店長。昼間と夕方の繁盛時には彼の他に二名ほどウェイターと、一人店長の元で修行中のバーテンダーが元気よく対応してくれるが、今は深夜だ。店内も殆ど気に入って通い詰めている者しかおらず、店長だけで切り盛りしていた。
「………」
シスタの無言対応はいつものことだ。店長も特に気に留めることはなく、ジョッキやグラスを次々と洗っては拭く作業に戻った。
代々、殺しを生業としていた家系に生まれ、幼い頃から暗殺者になるべく育てられてきた。だがその教育は並大抵の精神では耐えられないものだった為、御世辞にも感性豊かとは言えないような無情な人間になってしまうことが殆どだった。
シスタもそのうちの一人である。今ではある意味職業病ともいえよう。
寄越されたグラスに口をつけ、ビールの如く一気に飲み干す。これは少しばかり疲労が溜まっているときにシスタがよくする行為であった。早々に飲み干せばそれだけ早く酔いが回るので、嫌な事や疲労感などをすぐ忘れることができる。
『無情の狂者』なんて云われているが、何も感情が無いわけでも痛覚が無いわけでもない。人間なのだから疲れる時は疲れるのだ。
「……………ここ最近、立て続けに仕事が入っていたんだ…」
今まで無言だったシスタがようやく口を開いた。飲み切ったグラスを見つめながらうわ言のように呟く。
「…二週間くらい……ずっと、…殆ど眠れなかった……他にも、新規の奴らの教育とか……しかも覚えの悪い…」
段々と愚痴になっていく。募った心の裡は酒で吐き出しちまえと、前に店長に背中を叩かれたからだ。
シスタは意外にも酒に弱く、大体の場合もうそろそろで例のアレが来る。ネクシア亭の常連なら誰しもが知っている、もはや名物と化している現象が。
注文を受けた店長が他の客のテーブル席にビールジョッキとつまみを置きに行った頃、ちょうどそれは起きた。
「こっちも〜〜ビールぅ…♪…ヒック…くださぁ〜い」