プロローグ
ネットへの投稿初めてです。
温かい目で見てくれるとありがたいです……(;^_^A
静まり返った部屋の窓からは月光がほんのりと差し込み、淡く青白い空間をつくり出す。
だだっ広い部屋の中心に置かれた天蓋ベッドのカーテンはしっかりと閉められ、中からは男女の囁き声が聞こえてくる。
女性はあまり気乗りしている様子じゃないが、男の方はやる気満々である。
……その隅、丁度陰になっている部屋の角に潜む黒髪の青年は、フードを再度深く被り直し、漆黒の瞳でしかとその男……否、獲物を捉える。
一瞬でベッドまで近寄り、毒薬が塗り込まれている無数の刃が埋め込まれたロープを柱の上部にくくりつける。
バサリとカーテンが舞ったかと思うと、目にも留まらぬ速さで男の首にロープを巻き付け、足がギリギリ付く程度に吊し上げる。
「うぐッギァぁあああッ!!?」
途端、男は毒と半首吊り状態に悲鳴混じりの呻き声をあげた。
女の方は何が起こったのか解らず、目の前の光景を見て驚きと恐怖が入り交じった顔で見上げてくるだけだった。
それには目もくれず、早々にベッドから下りる。
じっくりと、だが確実に致死に追いやる猛毒に止まない呻き声を聞きながら、足音一つ立てず青年は出窓の縁に飛び乗る。
上部に手を掛け身をのり出させると、軽々しく上の屋根まで飛び移る。
そこから屋根をつたって屋敷の外階段を下る。
10メートル以上離れている時点で、もはや声は聞こえない。
あの女性についてはさっきの男に無理矢理農村から連れてこられた被害者であり、今回の暗殺依頼を出したのはその村の村長なのだから口止めなどせずとも問題ないだろう。
あの男に関してはいい気味だ。好き勝手に振る舞う貴族の最期に相応しい鳴き声だった。
……ああ、酒が飲みたい。
もう午前1時頃。だが開いている店はある。
通いつめている酒場に向かって灯りの乏しい郊外の通りを抜ける。
吸い込まれるような黒髪を揺らしながら、青年は今日もまだ騒がしい街中へと入って行く。