アマゴIC
タイトルは内容とは関係有りません。ちょっと魔が差しただけです。
地図の基点が有るという、アーカシ領の町に着いた。バイクをインベントリーボールへ収納しポケットへ入れる。
それにしてもフィメさんのFCの方々も早々とお着きのご様子だ。どんだけ早足なのよん。
「これはね、ガソリンをイメージしながら魔力を流すとガソリンが出てくる魔道具なんだ。近くにGSが無いとこじゃバイクを使う上で不便でしょ。だからコレ有用というよか必要でしょ」
「GS?」
「給油所のことだよ」
「おおー。GPSの略称かなと思ったよ」
GPSで十分略称なんすけどね。
わしの眼球をアナログスティクニして、アクセルワークとかハンドリングをRCよろしく、誤操作頂きまして母子の目的地近くまでアツとしてご利用頂きました。料金? いぇいぇ無料サービスですよ。言ってもスルーですしね。
そして、地球・日本の知識を持ってそなフィナ嬢に簡単な説明をしてから手渡した。
えっと母親乗ってたかって? シートの後部でおしとやかにお茶していたそうです。脚をそろえて横乗りだったとか。気がつかなかった。眼球をグリグリされてる最中に、んな余裕があるかいっ。
この町、サンノミの街ほどではなーいが、綺麗な尾根遺産の比率が高い。
「「ばいばーい」」
幼女二人、お互いが笑顔で手を振り、母子は島に渡る渡船乗り場へと去っていくのを見送ったわしらは、この街のギルドへ往くことにした。『尋ね人』の依頼は、ここで出されたからだ。
なぜだ。道すがら、ギルドへの道を聞くたびに幼女につねられたりローキックが来るのだが。
たとえば。
「すみませーん、冒険しちゃギルドへの道を教えてもらえませんか」
「はい、いいですよ・・・・」で教えてもらって、「かわいいお子さんですね」
「いえ。赤の他人です。私は独身で、この子は預かって世話をしているだけです(キッパリ)」
他には。
「私のオヤジが年甲斐もなくゲスにがんばっちゃった、歳の離れた腹違いの妹です」
なのだがどおしてなのだろう。なぜ?
おねーさんに道を聞くのが楽しくなってきた頃、残念だが着いてしまった。
サンノミのよか少し小さいのは、街の大きさの差もあるし利用者とかが少ないからだろう。
窓口のおばちゃんに用件を伝えたら、高危険度魔物の討伐案件が現状ありギルド職員も人手が足らず、報酬の上乗せをするから依頼主の所へ直接連れて行って本人確認をしてきてほしいと相手の個人情報を渡された。公益でこれでいいのか危機管理。
依頼主は渡船で渡る島にいるから、くしくもあの母子を追うことになる。
腹が減ってきたので食堂に入ると、焼きそばとタマゴ焼きが名物だとか言われたが、サンプル・・・別な客が喰っている現物な。黒いぎとぎとした焼きそばと、スープに浸したりしているドーム状の物体。よーわからんわ。
それをみて、ヘレカツ定食を二人前選ばせて頂くことにした。一人で喰うのじゃなくてちゃんとお子さんの分もだよ。
まず子供だから残すだろうなと予想はしていたが、残さず平らげやがった。幼児とはいえ肉食女子ってやつ?
他の客をジロジロ見るのは失礼だしトラブルの素だし。だけどおいしそうに食べている人の顔に見覚えがある。改めて店内を見るとフィメFCの5人がいた。
「どーも」
精鋭の10人はFCの中で頭文字の並びからパワーストーン(POWERSTONE)隊と呼ばれ、今は交代で食事をしているのだとか。
ノリでやっているので、規律は厳しくないとか。でも他からストイックな部分もありますと声が上がる。
まっなんらしかの矜持は持っているのだね。
で、足が速いですねーと言ったら目をそらされた。
渡船乗り場へは、地元のおねーさんでなくSTONE隊の皆さんに方向が同じだからと、付き添いを買って出られた。断るだけの理由が思いつかなかったんだよ。
乗り場に着く寸前、STONE隊の姿が消えていた。
待合所には母子が居て、わしらの出現に驚いていたようだ。いやストーカーじゃないからね。たまたまだってちゃんと理由を言ったよ。
事務所へのカウンターで二人分の名前を書く。受け取った事務員のおっちゃんが奥にいるあんちゃんを呼んでなにか隠語を言って戻らすとすこしざわついた気配がした。
渡船手続きをすると料金が結構かかることが判明した。近いうちに稼がないといけない。ついヘレカツ定食なんて頼むんじゃなかったと早くも後悔した。はやく報酬もらわないと。
渡った先はアワジ領といい、降り立ったところからすぐの村に依頼主の住居があるらしく、向こうの渡船事務所に依頼すると案内してもらえるそうだ。
楽勝じゃねえか。
船内の清掃が終わったから乗船案内のアナウンスが流れた。
船上に移り、甲板にいくつもある椅子の一つに座ると、レビアも這い上がる形で横に座った。
視界にはないがあの母子もどこかに座っているのだろう、パワーストーン隊の誰かが見えてるし。意外に金持ちで。鼓室を取っているのかもしれない。
もうすぐ時間が来るとかで、出発の案内が流れた。離岸するときに揺れることがあるから、固定されているものにしっかりと掴まることが出来る体勢でいてくれだとか渡航時間がどれくらいでとか、海上は安定してるなど短い旅を楽しめだとか。
余計なお世話だよ。
エンジンの振動が大きくなり、鈍い揺れが来て離岸したのだと実感した。
「ねっ・・・・、行っていい・・・・」
おそるおそるレビアが小さな声でフィナを探しに行っていいか聞いてきたので、遊ぶなら目の届くところでならイイよと許可をする。
すぐにフィナちゃんと会えたようで、甲板を走り廻ったりして遊び始めた。
陸が近くなり、接岸の衝撃があるからとまた注意のアナウンスが始まったので、子供たちを呼んで椅子に座らせてその時を待つ。
「たいしたことなかったね」
「そだねー」
お子様たちには、アトラクションとして今ひとつだったご様子です。
船から下り、事務所の案内窓口に行くとギルドが一報してくれてたのか対岸から連絡が入っていたから乗り物をこちらへよこすので少々お待ち下さいと言われた。
お読みいただき、感謝します。
耳にしても口にしたことない対象物の評価は行わず、伝え聞いた表現を少し和らげてます。