まいふれんどうーまん
「いっちゃん! おーい! 生きてるー! 」
「……はっ!な、なに、どうしたの篠塚? 」
「なにじゃないよ~。さっきの休み時間からずっとぼーっとしてるんだもん。」
「いや、その、あはははは。はぁ」
結局、先程は授業には間に合わず先生に怒られたうえに、クラスメイト達の嘲笑の的となったのだ。
それと、先ほどの休み時間のショックが全然とれず、授業もろくに受けられたもんじゃない。
ストレスがマッハだ。頭痛が痛い。頭痛が。
あいにくと今はお昼の時間なので。気は張らなくていい。張れないけど。
いつもは気にならない教室や廊下の喧騒が無性に頭にきて苛立たしい。
「それで、どうしたの? やっぱりなんか悪い電話だったの? 」少し心配そうに篠塚が言う。
「いや、悪いっていえば悪いけど、そこまで悪くないっていえば悪くないっていうか……」
まあ、事故とかよりは悪くないんだけど。
「どっちなの!? あー、もう! で、どんな内容だったの!? 」
「ええと、実は――――」
「お母さんが転勤!? しかも海外!? アメリカァ!? 」篠塚が大声で言う。
声がでかい。そんな大声で言ったら恥ずかしいだろ! 案の定、何人か僕たちのほうを向いてるし!
僕は注目されるのとか慣れてないんだから!
「ちょ、声が大きいって、篠塚!」
「そんなことはどうでもいいの! お母さんがアメリカってことは、いっちゃんアメリカ!? 」
「いや。長野。」
「そっか~、よかっ――――長野? 」
「うん。長野。」
長野。
「な、長野か~。…………転校、するんだ。」篠塚が少しうつむきながら言う。
「うん、向こうにおばあちゃんの家があるからそこに行けって言われたんだ」
「そっか……。」
あれ? なにこの雰囲気。気まずい。なんかすごく気まずい。篠塚、おちこんでる? まあ僕も友達と離れるのは寂しいし、嫌だけど。こんな篠塚見るのは初めてってくらい暗いんだけど!?こ、ここは何か言わないと! 。
「あ、あn「いつ!! いつ行くの!! 」」篠塚が僕の言葉を遮り言う。
「いや、まだわからないんだ。詳しい話は家に帰ってからって、母さんが」
「そっか……。じゃあ! 詳しいことわかったら電話して! 絶対に!! 」
「は、はい! 」
「絶対だからね!! 」篠塚はそう言い残し教室から出て行った。
「はぁ……。」
僕は溜息を吐きながら机に突っ伏す。
篠塚とはそれなりに仲がいいと思っていたけどあそこまで落ち込んでくれるとは。やはり持つべきものは友というやつだろうか。
なんか余計に行きたくなくなってきたな、長野……。
そんなことを考えながらカバンから十秒でとれるゼリーのご飯を取り出し口にする。
軽く教室の中を見回す。教室は、僕の色々な絵の具が混ざったようなカオスな心境とは反対に楽しそうな薄黄色だ。弁当を食べる奴、本を読むやつ、スマホをいじるやつ、楽しそうに談笑するやつ、エトセトラエトセトラ。教室には結構な人がいる。こいつらは僕が転校するといっても何も思わないんだろうな。そこまで話したこともないし。せいぜい一週間ぐらい話のネタになるぐらいだ。いや、三日ぐらいか。
そう考えると、あそこまで落ち込んでくれる篠塚は相当いいやつだ。
「余計に行きたくなくなってきた」
小さい声でつぶやく。誰にも聞こえないような声で。
ゼリーのごみをカバンの中に入れながら、教室の前にかけてある地味で味気ない白一色の時計を見る。
スマホで確認するのもいいがなんとなく、前の時計を見た。
長い針はあと数分もしないうちに八の場所に到達する。もうすぐ昼休みが終わる。
ふと、横の席を見る。
「篠塚、帰ってこないな。」
今度は篠塚の番。
話進まないです。
ごめんなさい。
でも書きますので何卒よろしくお願いします。