SS4 エルフと海産物を食してみる②
「じゃあ、次はこれよ」
ここでいよいよ本命を投入する。
お味噌汁という一撃が効いて、エルフ達の警戒心が弱まっている今が好機だ。
目の前に置かれた皿に乗っている白い物体を前に、葵が不思議そうな顔をする。
「何ですかこれ?」
「それは食べてからのお楽しみよ」
もちろん秘密にする。
今度も女神様が最初に食べた。
「あら、美味しい」
うれしそうな顔をして食べている。
新鮮だものね、そりゃあ美味しいに決まっていますわ。
「では、わしも」
「私も」
女神に続く蘇鉄と葵。
紫蘭ちゃ〜ん?どうしたの〜?行かないの〜?
と心配になったが、今回は行くようだ。
白い物体に箸をつけていた。
「ほう、これは中々面白い食感ですな」
「そうですね。歯ごたえも良いですし、ねばりもあるような」
「う〜ん、醤油が合いそうな味ですね」
口々に感想を言うエルフ達。
そう言うと思って、醤油も用意しておきました。
美味い美味いと、喜んで箸を動かすエルフと女神様。
そしてお米が欲しいと口々に言うエルフ達。
その気持ち、よく分かります。
でもまぁ、予想通り。
エルフ達はこれを食べれるんだな、という実験結果に満足しつつ、横にいるぬし様を見る。
ぬし様には、エルフ達とは別のものも出していた。
ゲソ焼きである。
「面白い歯ごたえじゃ!
しょっぱいのも美味いの!」
ぬし様には好評だったようで、ものすごい勢いで食べている。
はい、塩加減を頑張りました!
やはり素材の味だけというのもどうかと思いましたので。
次は香辛料やら、ゲソの天麩羅やら、新しい味に挑戦しますね。
さて、空になったお皿を前に、こちらを見てくるエルフ達。
とりあえず、わかめサラダを出してから話を聞く。
蘇鉄、よく食べてね。ひょっとしたら髪が蘇るかもしれないから。
おかわりもたっぷりあるからね。と言っておく。
「それで、今のは何だったんですか?」
やはり食材が気になる葵。
特に問題なく食べてくれたし、正直に教えてもいいかもしれない。
だが念には念を入れるべきではないか。
見た目が気になって拒否反応が出る事も有り得る。
それで今後食べてくれなくなっては悲しい。
よし、やはり最初の計画通りに行こう。
トン、と固い音を立てて、その物体を机に乗せる。
ラグビーボールのような楕円形をした、植物の実。
そう、ヤシの実だ!
「この実なのですか?」
まじまじとヤシの実を見つめる葵。
眉間に皺を寄せる女神様。
コンコンと実を叩く紫蘭と、反応は様々だ。
ちょっと女神様?嘘に対して拒絶感持ちすぎではないですか?
地球の最新の研究では、優しい嘘という、吐いても良い嘘もあるのですよ。
そして今回は吐いても良い嘘であると判断しました!
などと、エルフ達に気付かれないよう、水面下で女神様と念話していたのはご愛嬌だ。
さてさて、このヤシの実。
外の固い殻を削ると、中からスポーツドリンクみたいな汁と、白い実が出てくるのだ。
そしてこの実が、イカ刺しみたいな味をしているのである。
実家で一度食べた事があるのだが、かなり似ていてビックリしたものだ。
論より証拠、とばかりに、ぬし様に1個剥いてもらう。
流石の腕力と、人型になっても健在な鋭い爪。
あっという間に剥けた。
そして、殻の向こうから顔を出した白い実を見て、納得したエルフ達だった。
というワケで、今回エルフ達に食べさせてみたのはイカの刺身だったのだ。
え、ヤシの実?
エルフ達の警戒心を下げるために用意したダミーですが何か?
イカ本体はエルフ達に、ゲソ部分はぬし様に振舞いましたが何か?
やはり人間、いやエルフも、野菜ばかり食べていてはいけないと思うのです。
たんぱく質を摂取して、筋肉をつけてもらわないと。
そう思っていた時に見つけたイカ。これならもしや、と思ったけど、やはり食べれるじゃないか。
今後もちょくちょく、エルフ達に食べさせていこうと思います。
イカの見た目的に、拒否感が出てしまう可能性もあるので、公表する時期はよ〜く見計ってからにしよう。
それまでに、イカの味をたっぷり教えておけば大丈夫だよね?
そうだ、イカが大丈夫なら、今度はタコにも挑戦してみよう。
最終的には白身魚辺りまで食べさせてみたいんだけどな〜。魚は厳しいかな〜。
などと思いつつ、明日の食事を考えたりするのだった。
ちなみにこの翌日、早速私が仲介し、エルフ族・魚人族間での交易を開始。
何故こんなものを?とエルフ達が首を傾げるのをよそに、イカやタコを入手できる経路を開拓したのだった。
今回のオチ(イカ刺し)は早い段階で気付かれているんだろうな~、と予想。
ちなみにヤシの実は、ぬし様VS九羅拳という怪獣大決戦の観戦中に見つけています。




