第三話
「家は、崩してしまうのか?」
「ああ、こんな所にあったら目立つからな。」
ラスティアが、詠唱をすると家が一気に崩れて、土の山となった。
「もったいない気がするのじゃ。」
「あれぐらいいつでも使えるって。
今日は、どこに行くんだ?」
「この近くに、マスティーヌ王国領土にある、冒険者の街といわれるジンクスという街に行きたいのじゃ。」
「ここからどれくらいの距離だ?」
「北に50km位かのう。」
「そうか、なら飛んで行くか。」
「は?」
「風魔法を使えば飛べるぞ。」
「そうなのか。」
「よし、だっこしてやる。こい。」
「だっこは、いやじゃ。お姫様「行くぞ。」…………その持ち方は止めるのじゃーーー!。」
ラスティアは、リザを赤ちゃんの様にだっこしながらジンクスまで飛んだ。
「そろそろ降りるぞ。」
「まだ街についていないのじゃ。」
「街の目の前までとんだら目立つだろ。」
「そういえばそうじゃのう。
さっきの魔法も覚えたいのじゃ。」
「もっと強くなってからな。
今できたとしても、1m飛んだ位で魔力切れになるぞ。」
「早く強くなりたいのじゃ。」
「努力あるのみだな。」
「街の門見えてきたのじゃ。」
「そうだな。」
リザは、門の前に立っている兵士の所まで走って行ったのだが、兵士の目の前でつまずいてコケてしまった。
「だっ、大丈夫かいお嬢ちゃん。」
「お嬢ちゃんじゃないのじゃ!」
「ああ、ごめんごめん。泣かない泣かない。
「泣いてなんかないのじゃ!(グスッ)」
「ほらお菓子あげるからね。」
「子供じゃないのじゃ!」
「はいはい、よしよし。」
「すまんな、内の者が。」
「ああ、可愛いお嬢ちゃんだな。」
「よくいわれるよ。」
リザは、半泣きのまま兵士に貰ったお菓子をモシャモシャと食べていた。
「街に入りたいのだがどうしたらいい?」
「身分証明書を見せてくれ。」
「すまないが長旅で盗まれてしまって何も持っていないんだ。」
「それなら通行料として銀貨2枚と審査をすることになるが。」
「それでいい。」
「なら来てくれ。」
ラスティアとリザは、兵士の後についてい街の中にある衛兵所まで行った。
街の中は中世時代の町並みの様な感じで、ほとんどの住民が冒険者で、鍛冶屋・錬金屋・道具屋・魔術屋など沢山の種類のお店があった。
「まず二人合わせて銀貨4枚貰おう。」
「これでいいか?」
「む?何だこの銀貨は、見たことないぞ。」
「そうか?たまたま拾ったやつなのだが、使えないだろうか?」
「いや、素材が同じなら使えるからちょっと待っててくれ調べてくる。」
「わかった。」
「その銀貨は、どこで手に入れたのじゃ?」
「これは、元々俺が使っていた銀貨だ。」
「いつの時代なのじゃ?」
「わかんねーな、当時は考えたことがなかったからな。」
「そうか」
「うむこの銀貨は、使えるようだ。」
「それは、良かった。」
「だが、こちらの銀貨の方純度が高いから同じ種類の銀貨なら2枚でいいぞ。」
「わかった、これでいいか?」
「ああ、次にこの水晶玉の上に手を置いてくれ。」
「これは?」
「犯罪履歴をみるものだ。」
「犯罪履歴?」
「ああ、犯罪を行って兵士に捕まったものは、魔法で印をつけられるんだ。」
「了解、これでいいか?」
「問題なしだ。
次は、お嬢ちゃんの番だよ。」
「ワシはれでぃなのじゃ!」
「はいはい、れでぃれでぃ」
「絶対に分かってないのじゃ。(ゴニョゴニョ)」
リザは、何かぶつぶついいながら水晶玉の上に手をおいた。
「よし、二人とも問題ないな。
これが通行手形だ。3日だけ有効なので期間が過ぎるまでに身分証明書を作ってここまで持ってきてくれ。」
「どこで作ればいい?」
「ギルドなら無料で作れるぞ。」
「わかった、どこにある?」
「ここを出て、右に曲がりそのまままっすぐ行けばデカイ建物がある、そこがギルドだ。」
「わかったありがとうな。」
「まぁ仕事だからな、お嬢ちゃんもバイバイ。」
「だからお嬢ちゃんじゃなくてれでぃなのじゃ!」
「なんでもいいだろ、ほら行くぞ。」
「よくないのじゃーーーーーー!」
リザは、ラスティアに引きずられながら衛兵所を後にした。
(ここがギルドみたいだな。)
ラスティアは、冒険者の様な人がよく出入りする大きな建物をみつけた。
(なかなか大きいな。)
「リザ、中に入るぞ。」
まだ、拗ねているリザを引きずりギルドの中に入って行った。
「いらっしゃいませ、何かご用ですか?」
「ギルド登録をしたいと思ってな。」
「なら、この水晶玉の上に手を置いて下さい。」
「衛兵所のやつと違うのか?」
「はい、これは人の能力を計測する専用の水晶玉となっています。」
「そうか、ならリザからしたらどうだ?」
「ワシか?」
「ああ、自分にどれくらいの力があるのかみたいだろ?」
「もちろんじゃ。」
リザ
Lv 2
体力 34/34
魔力 79/79
攻撃力 20
防御力 5
魔攻力 45
魔防力 44
命中力 15
俊敏力 11
「スキルまでは、でないのだな。」
「はい、スキルはもう一段階上の水晶玉が必要です。」
「どうじゃ、ワシの数値はどうなのじゃ?」
「リザちゃんは、レベルにしたら随分高い魔力を持っているよ。
魔法が向いてみたいだね。」
「フッフッフッフ、ワシは天才じゃからのう。」
「では、次にどうぞ。」
そう言われて、ラスティアが手を置いた瞬間に水晶玉が爆発した。
「きゃ!」
「うわっ!」
「……orz」
「どうした!」
奥の部屋から、屈強な男たちが飛び出してきて、ラスティアを囲む様に立った。
「この方が手を置いた瞬間に水晶玉が爆発したみたいです。」
「貴様何をした!」
「さぁ?手を置いただけだ。」
「いい加減な事をいうな!水晶玉が爆発するわけないだろうが!」
「まぁまぁ落ち着けって。」
入口の方から偉い感じの男が歩いてきた。
「ぎっギルド長!」
「この男は、確かに魔法を使っていなかったよ。」
「しかし、水晶玉が爆発するなど聞いたことがないですよ。」
「げんに今爆発したではないか。
それに、水晶玉を爆発させる魔法でも知っているのか?」
「いや…………」
「なら、水晶玉がもう古かったとかが原因じゃないのか?」
「確かにもう50年以上使われているものですが…………。」
「原因は何よりこの男には、関係ないのは確実ではないのか?」
「…………はい。」
「ならさっさと警戒をといて持ち場につけ!」
「はい!」
屈強な男たちは、扉の奥に消えていった。
「すまないね内の者が。」
「いや、あれは仕方ない。」
「そういって貰えると嬉しいよ。
ブラウニーだ、ここのギルド長をやっている。」
「ラスティアだ。」
「よろしく。」
「ああ。」
「そこの可愛いお姉さんもよろしく。」
「ワシかワシのことなのか?」
「もちろんだとも。」
「ワシはリザじゃ、お主はなかなか見所があるぞ。」
「ふふふふっ、ありがとう。」
ラスティアとリザは、ブラウニーと握手をした。
「ラスティア君とリザさんのギルドカードを早急に作りなさい。」
「はい、わかりました。」
受付嬢は、急いで作業に取りかかり5分ほどで二人のギルドカードを作った。
「これをどうぞ。」
リザは、渡されたギルドカードをニヤニヤしながら見ている。
「お二人共Fランクから始まります。
パーティを組まれますか?」
「頼む。」
「では、お二人共この水晶玉に手を置いて下さい」
ラスティアとリザが水晶玉に手を置くと水晶玉が光り、二人の手の甲に刺青がも浮き出た。
「パーティ名はどうされますか?」
「きゅーてぃくるリザちゃん隊がいいのじゃ。」
「勘弁してください。」
「いやじゃ!きゅーてぃくるリザちゃん隊がいいのじゃ。」
「レベルが上がったら魔法をいっぱい教えてやるから。」
「でも…………。」
「あーあ、かっこいい魔法とか教えてあげようと思ったのになー。」
「わかったのじゃ。パーティ名は譲るのじゃ。」
「それならパーティ名は、ベルセルクでいいかな。」
「どういう意味じゃ?」
「狂戦士だよ。」
「かっこいいのじゃ、最高なのじゃ。」
「だろ?」
「ては、パーティ名はベルセルクにします。
最後にギルドの説明をしますがどうされますか?」
「頼むよ。」
「わかりました。
まずF,E,D,C,B,A,S,SS,SSS,RDと10個のランクがあります。
F~Bまでの冒険者は沢山いますが、A~RDの冒険者はほとんどのいませんね。
特にRDの方は、歴史上5人しかいません。
現在、奇跡的にその内の一人が現存しています。
そして、ランクを上げるためには依頼についているPTが重要となります。
PTを一定数集めると、ランク上げテストを受ける資格が貰えます。
そのテストに合格するとランクが上がり、不合格者ならもう一度PTを始めから集めてテストを受けなければいけません。
さらに、Dからランクが上がる毎に特典がつきます。
特典については、お楽しみです。
依頼についてですが、主に討伐・配達・採集の依頼があります。
依頼にもF~RDランクまでありますが、自分のランクプラスマイナス1ランクまでしか受けることができません。
パーティで受けるときは、個人で受けるときと異なり、パーティ中の最低ランクの人~最高ランクの人までのランクで依頼を受けることができます。
例えば、パーティの中にA,B,Dのランクの人がいれば、D~Aランクまで依頼を受けれます。
最後に、魔物や動物の素材ですが、これはギルドてのみ売ることができます。
個人的に鍛冶屋に持っていくなどは可能ですが、勝手な売買は違法となるので気を付けて下さい。
以上となりますが聞きたいことは、ありますか?」
「ああ、大丈夫だ。
では、早速だが依頼を受けたいと思うのだが何かお勧めはないか?」
「それならギルドが常に出している、初心者向けの採集依頼があるのでそれでどうですか?」
「それを受けるよ。」
「わかりました、では、街の外にある森へ行ってこの薬草を採ってきてください。」
「わかった。」
「森には、スライムやゴブリンなどの魔物や熊や虎などの動物などもいるので気を付けて下さい。」
「ありがとう、じゃぁ行ってくるよ。
ほら、行くぞリザ。」
「うにゅ?」
「はい、いってらっしゃい。」
説明を聞いているうちに寝てしまったリザを起こしてラスティアは、ギルドを後にした。