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皇国戦記シリーズ

開戦

作者: 尚文産商堂

「俺たちは、変わらないといけないんだ」

ボスのその一言が、全部を変えた。

マフィアだった俺たちだったが、麻薬シンジゲートの掌握、暗殺請負、強盗、人身売買などなど、数々の一般的に悪事だと言われていることに手を染めてきた。

だが、警察による締め付けが強くなる一方の現状を鑑みて、これ以上ことを荒立てるのは得策ではないと、上層部は判断したようだ。

その結果、俺ら部下一同は、ボスによる仕事のあっせんにより、方々へと散らざるを得なかった。


それから、離合集散を繰り返しているうちに、また、前のボスの元に一つへとまとまることができた。

ちょうどその時、大規模な戦争が近々起こると噂されていた。

それを逃す手はない。

俺たちは昔と違い、それぞれの業務を分割し、それぞれが単独にことに当たれるようにした。

警察側には、前もって賄賂を渡して黙らせておく。

だから、俺たちに、縄張りにしてる香港とその周辺一帯に障害は存在していなかった。


そして今、日本皇国最大の暴力団組織である河菱組の組長と俺のところのボスが話し合うということになっていた。

向こうの船に乗り込んでから数分で決着はついたようだ。

「指示を出す」

離れてからすぐに俺にボスは命ずる。

「孔雀は我々を威嚇している。どうする」

前もって決められていた暗号だった。

なぜこんなことをしているかというと、河菱組がどこかのタイミングで盗聴器を仕掛けていないとは考えられないからだ。

そして、この暗号文をボスが言った時点で、河菱組は敵とみなされ、こちら側が敵対行動することになる。

「こちらも、孔雀を威嚇する他、ないでしょう」

「そうだな」

それだけの会話で、俺は無線で皇国の中に潜んでいるスパイへと連絡を取る。

「日が沈みゆく所より、日が出づる処へ。我々は、威嚇された」

「了解した」

さすがにボスの知り合いが用意してくれたという、同盟国の欧州連盟の回線を借りてるだけあって、音質は素晴らしい。

「後は……」

俺はボスに聞いたが、海の向こうへと消えゆく、今や敵となった人物らが乗る船を、涙を一筋流しながら、じっと睨んでいた。

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