猫町議会選挙騒動
えー、こりゃまた、今宵もようこそお運びいただきまして、ありがとにゃんございます。今夜は風がざわざわしてますな。選挙の風ってやつですかねぇ。猫の世界にも、たまには“民意”ってもんが吹き荒れるんですにゃ。
さてさて、今夜の噺は「猫町議会選挙騒動」ときたもんだ。
舞台は、猫町。長屋の裏手に広がる空き地を中心に、野良猫たちが暮らす小さな社会。そこに、ある日突然「議会を作るにゃ!」という声が上がった。
発起人は、三毛の活動家・ミケ子。耳に赤いリボンをつけて、いつも高いところから物申す猫でして。
「この町にはルールが必要ですにゃ!魚の分配、縄張りの調整、昼寝の時間帯まで、民主的に決めるべきですにゃ!」
猫たちはざわざわ。「議会ってなんだにゃ?」「昼寝にルールがいるのかにゃ?」
そこへ、クロ之助がのっそり登場。
「議会ってのは、騒ぐためじゃなく、黙るためにあるもんだにゃ」
「それは反対派の意見ですにゃ!」とミケ子。
こうして、猫町初の“選挙”が始まった。
候補者は三匹。
• ミケ子:改革派。公約は「魚の平等分配」「昼寝の自由化」「人間との外交強化」
• クロ之助:保守派。「魚は実力で取る」「昼寝は自己責任」「人間とは距離を保つ」
• チビ右衛門:無所属。「とりあえず、遊びたいですにゃ」
選挙活動が始まると、町は騒然。
ミケ子は屋根の上から演説。「猫にも権利があるにゃ!鰹はみんなのものにゃ!」
クロ之助は魚屋の前で静かに座る。「言葉より、鯖を見ろにゃ」
チビ右衛門は、子猫たちと鬼ごっこ。「選挙って楽しいにゃ!」
投票日は、満月の夜。猫たちは月明かりの下、魚の骨を使って投票する。骨を三つ並べて、好きな候補の前に置くという、なんとも猫らしい方式。
結果は──
チビ右衛門、圧勝。
「え?なんで僕が?」
「遊びたいって言ったのが、いちばん誠実だったにゃ」
ミケ子は悔しそうに言った。「猫町の民意は、遊び心だったにゃ…」
クロ之助は笑って言った。「政治ってのは、魚よりも気分で動くもんだにゃ」
──てなわけで、今夜の噺はここまで。お後がよろしいようで。




