表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸せな政略結婚のススメ  作者: ましろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/36

幸せの先取り【Xmasイブイブ小話】

「ユリシーズ様は二十五日までお仕事ですか」

「すまない。どうしても新年の祝賀会と、その後の会談の準備が終わらなくて」


 やっぱり王族の皆様は、年末年始は特に大忙しみたいです。

 そうなると王太子殿下の側近であるユリシーズ様も忙しくなるわけで、残念ながら聖夜のお祝いはできないみたい。

 楽しみにしていなかったと言ったら嘘になってしまうけど。


「いつもお仕事を頑張ってくださりありがとうございます。日にちがずれても大丈夫ですよ! だって、二十六日はお休みなのですよね? それなら、ちゃんといい子で待ってますから。ごちそうに期待していてくださいっ!」


 一日二日くらいは誤差というものです。ずっと会えないわけじゃないもの。それくらい我慢できる。


「すまない。……いや、違うな。怒らずに、それどころか感謝の言葉をありがとう。できるだけ早く帰ってこれるようにするから」


 遊びや浮気でもないのに怒るはずがないのになあ。

 ……ん? 浮気?

 まさか、ここで殿下との愛が芽生えてしまったり? まあ、破廉恥ですわ。何と言っても聖夜ですのに。んふふっ。


「……おい。なぜ急にニヤニヤしているんだ?」

「いえ! 聖夜の夜に殿下との愛が深まるのかな~なんて考えていませんよ?」

「……ほう? デコピンとアイアンクローとどちらがいい? 聖夜のプレゼントとして選ばせてやろう」


 きゃっ、怖いです!


「えっとですね、できれば優しいキスがいいです。

 知ってます? 聖夜の星空の下でキスをした恋人達は、永遠に結ばれるのですよ」

「……今日は二十三日の朝だけど?」

「幸せの先取りです!」

「それだと普段のキスも先取りしまくりなんじゃないか? そもそも俺達は恋人じゃなくて、すでに夫婦だろう」


 そう言って笑いながらも優しく口づけてくれるのですから、ユリシーズ様はとっても優しい旦那様です。

 結婚して一年。まだ子どもはいないけど、幸せな毎日を送っている。


「明日は昼寝しておいてくれ。深夜になるかもしれないが必ず帰って来るから。絶対に、星空の下でキスをしよう」


 うきゃっ! 何ていいお声で囁くのですか!


「分かりました。六時間くらい寝ておきます」

「それは昼寝じゃないな? ああ、忘れるところだった。これはプレゼントな」

「わっ、ありがとうございます! 開けてもいい?」

「もちろん」


 綺麗に包まれた包装紙を破れないようにゆっくりと開いていく。

 プレゼントを開ける、このドキドキする瞬間が大好き。


「まあっ、スノードーム?」


 球状のガラスの中には、美しいお城と森が真っ白な雪に彩られ、散りばめられた金粉は、まるで星空のようだ。


「……なんて綺麗なの……」

「ここを回すと……ほら、オルゴールなんだ」


 その優しい音色は賛美歌だ。

 ──まるで聖夜の箱庭みたい。


「とっても素敵です、ありがとうございます!」

「俺が戻って来るまでは、これで我慢していてくれ。じゃあ、行って来る」

「はい、行ってらっしゃいませ!」


 もう一度、そっと口付ける。今度は彼の無事を願って。


 ユリシーズ様をお見送りしてから部屋に戻る。

 オルゴールのネジを回し、美しい音色とともに優しく降り積もる雪を眺める。


「……本当にきれいね」


 お仕事なのは少しだけ残念だったけど、今ではすっかりとスノードームに見入ってしまう。

 ユリシーズ様は私の好みを熟知していらっしゃるわ。


「明日の夜も、こんなふうに美しい星空が見られるかしら」


 早く明日になるといいのに。


 そう祈りながら、もう一度オルゴールのネジを回しました。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
夫婦になっても可愛い2人にキャンです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ