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49歳  作者: 花水木
3/3

大学前半

私の東京での一人暮らし小さなワンルームから始まった。

ベッドと机と洗濯機でいっぱいになる狭い部屋だったが、初めて持つ私の城だった。

私でいられる場所をやっと得られた充足感、何にもかえられなかった。

大学ではそれなりに友人もたくさんできた。

一緒に講義を受けて、ランチして、たまにはカラオケ、充実していた。

放課後はクリーニングやで受付のアルバイト。

わずかでも自分で得られるお給料はうれしかった。

帰りには商店街で食材をお買い物。下町風だから、店主とも顔なじみになって、たまにはおまけしてくれたりして。

この町の一員であることも誇らしかった。

そんなある日、一本の電話がかかってきた。

「クリーニングやで受付してる子だよね。前から気になってたんだ。」

突然の電話に何この人?

「いや、あの・・・・」

「今度、飲もうよ。いいじゃん。おれ、林。」

「知らない人とはいけません!」

「知らなくないよ。毎日クリーニングや行ってるし、毎日会ってるよ」

「あ、そういえば」

思い出した。毎日ワイシャツ出しに来る色黒の人だ。

「ごめんなさい。でも、いけません」

「いいから。22時に商店街にあるライムってバーで待ってるから。来るまでずっと待ってるから」

こうやって一方的に電話は切られた。

どうしたものか?困った。こんな経験ないし、本当にずっと待ってたらどうしよう。

明日、お店にどなりこんでくるかな?

どうしよう、どうしよう、私はそこから3時間ほど悩んだ。

時計を見ると24時。さすがにいないでしょ、とおもいながらも、ライムに足が向いていた。

古びたドアをあけると、「よく来てくれたね、ありがとう」と林は満面の笑みで迎えた。

そして言われるがまま、カウンターに座り、水割りをすすめられた。

「ママ、俺の彼女、いいでしょ?」

60を過ぎた頃のママは「林さんにもったいないんじゃない?」

何でか、私は彼女になってしまっていた。

初めての彼氏ってどんな感じなんだろう。

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