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第二十六話  話が違うんですけど

少し間を空けてすみません!

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

 部下のアリーセ・ゲルマーのペアであるエルマー・バールを『真実の愛宣言』を利用してぶん取ったヒロイン(だと今まで思っていた)ドロテア・ベルツが何処まで信用できるかと考えると、頭を悩ませるところではあるんだよね。


 バッテンベルグ家の子供たちと一緒に、私がアークレイリへ逃げ出すのなら、それに便乗するつもりのようだった彼女だけど、

「一度、引き渡し場所まで出向いてみて、敵の装備を確認してみるっていうのはどう?」

 と言い出したドロテアの思惑がどういったものなのかは良く分からない。


 分からないながらも、引き渡しポイントがシュナの流砂であるとするのなら、こちらとしてもそれを利用する策が幾つか浮かぶことにもなるわけで・・


「ねえ!やっぱり私が言った通り!この世界は確実に!ハリウッド映画の世界って感じでしょう!」


 CF45戦術輸送機は奇襲部隊の移送なんかにも良く使われる、外装に取り付けられた足場に足をかけた状態でケブネカイル渓谷の上空を、ドロテアは機械鎧を装備した状態で、私はほぼ私服みたいな格好の上に手錠と鎖をかけられた状態で移動しています。


 シュナの流砂はリージス山脈の最北端にあるカルパティア山から続くケブネカイル渓谷へと流れ出る。この地域は砂岩と泥岩が互い違いの地層を成している。


 カルパティア山の砂岩部分が崩壊を続けている為に流砂となり、渓谷の中を流れて行くってわけですね。


 引き渡しポイントへ降り立ったのは、私とドロテアだけ。


 私は一応、ビュルネイに連れ去られる予定の人間なので、ドロテアに銃口を突きつけられている状態。そのドロテアは、もしも私に危害を与えることになれば狙撃できるようにと、特殊狙撃に長けた部下が狙いをつけている。


 渓谷の対岸の方から光が瞬き、間もなくして、渓谷の合間を縫って低空飛行をしてきた民間機が私たちの前へと現れた。


「時間通りに到着ね」


 物流輸送を手掛ける大手企業のマークを印した民間機が目の前に垂直着陸をすると、中から出て来た男が、私服、武器なし、手錠付き、鎖でぐるぐる状態に私を見て、ニヤニヤニヤニヤ笑い出す。


「漆黒の死神を無傷で連れて来るだなんて不可能だと思っていたんだが」

「ルーク殿下は有能な方なのよ」


 ドロテアが銃口を降ろしながら言い出した。

 軍資金を得るために、ローフォーテン領と、漆黒の死神(私)を売ることを決意するような王子様ですからね、さぞや有能なんでございましょう。


「それで?死神を連れて行ってどうするの?」


 ドロテアが問いかけると、男は私の腕を掴みながら言い出した。


「そうだな、まずは我らで犯しまくり、裸で吊るして人間の盾にすることにしよう。イヴァンナ・フィッツジェラルドも同様にするつもりだが、奴はハイデ平原の方に居るらしい。敗戦国の女どもを好き自由に蹂躙して良いというお許しが出ているから、女たちを人間の盾にした上で王都へ向かう。あちらさんの兵士たちの士気の低下には良い効果となるだろう」


 ビュルネイ公国の評判が悪いのは、単にこれなんだよね。男尊女卑が物凄い国なだけあって、征服された土地の女子供は奴隷とされるし、平気で人間の盾として利用する。


 女子供が丸裸で縛り付けられて進軍をしてくれば、流石に迎え撃つ側の士気が下がる。これを狙ってのことなんだろうけれど、無茶苦茶ひどい話ですよね!


「えっと・・リンは乞われて公国の庇護下に入るのではないの?」

「俺たちを散々殺してきた女だぞ?なぶり殺し一択以外に何がある?」


 やっぱり、ドロテアが言うところのハリウッド映画の内容とは、大分ずれて来ていると思うんだけど。


 輸送機から降りてきたもう一人の男を見ると、ドロテアはびっくりした様子で瞳を見開いた。


 ドロテアの方へとゆっくり歩いてくる男は、金髪碧眼のやたらと顔が整った男で、今まで物語のヒーローだと思っていたハインツ・バッテンベルグに色味だけは良く似ている、ワイルド系の(イケメン)だった。


「ドロテア、結局、バッテンベルグ家の嫡男に取り入ることも出来ず、真実の愛を宣言したエルマー・バールにも捨てられて、他に行く宛もなくなってしまったんだろう?」


 男はドロテアの腰を引き寄せながら、甘い声で言い出した。


「しかもお前の腹の中には俺の子が居る。これで親子三人、仲良く、楽しく、ビュルネイで暮らせるってことだよな」


 男が棒状の特殊素材を地面に放り投げると、狙撃を阻止するための壁が機械音を発しながら一直線に伸びていく。


「ローフォーテン領を脱出したベルツ男爵には、ドロテアはビュルネイに移動させるということを言っている。お前の戸籍上の夫、エルマー・バールだが、女との痴情のもつれという形で死んでいる」


 防壁に銃弾が何発も当たっている音がする、部下が狙撃を開始しているんだと思うんだけど弾の無駄だって。というか、腹の子の父親?


「ドロテアさん、その方、ドロテアさんと深い関係にあった方なのかな?」


 私の質問に男はにこりと笑うと言い出した。

「俺はチュアン・ルバーナ・クアトロ・ベルナドッテ・ダ・ビュルネイ、ビュルネイ公国の第四王子になる」

「第!四!王!子!」


 ドロテアさんはヒーロー(ハインツ・バッテンベルグ)に振り返って貰えず、色々と鬱憤を抱えていた末に、酒場で似たような男と盛り上がり、酔った末にむにゃむにゃして、そして子供を授かった。のかな?と、勝手に思っていたんだけど、まさか、まさかの、隣国の第四王子の子供ですって?


「ドロテアさん!聞いていた話と違うみたいですけど!」


 あなたは、ハインツの幼馴染というポジションのモブだとか何とか言っていませんでしたっけ?


ここまでお読み頂きありがとうございます!

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