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エピローグtoプロローグ

閲覧感謝です!

貴重なお時間に見合いますように……

パタリ。  


 バサっ。


 大量に文字で埋め尽くされた紙は乱雑に机に置かれる。


 その衝撃で紙についていた埃が宙を舞う。


 部屋は物で溢れ、大量の本や女物の服で溢れかえり所々埃も被っている所も見受けられていてお世辞にも綺麗な部屋とは言えない。


 そんな部屋から1人の男の怒声が聞こえてくる。


「なんなんですかー、コレ!」

「どうだった、私の人生?」


「どうもこうもないですよ!こんなの出版できるわけないじゃないですか!私や編集部、みんな先生の作品を期待してたんですよ。それなのに…それなのに何考えてるんですか、先生!」


 その男はどうやら編集者で新しい作品をチェックしにきたらしい。


「何って、事前に連絡したでしょ。今までの私に起きた出来事をありのままの物語にするって」

「ええ。聞きましたとも。女性脚本家兼作家として名を馳せる先生が初めて自分の人生を文字にして語っていくノンフィクションの作品を作ると。そうだったんですよね?」


「そうよ。だから、書いたでしょ?」

「こんなの現実であり得るわけないじゃないですか?!こんなのをノンフィクションとして世の中に出したら抗議の声が止まらなくなって大変な事になっちゃいますよ!」


「仕方ないじゃない。大丈夫よ。だって全部事実なんだから」

「そんな事あるわけないじゃないですか!何言ってるんですか、先生…」


「なんで信じないのよ……」

「そもそもですよ。仮にこれが本当の事を語っているとしてです。このお話、色々と問題だらけですし、あの、」


「何が言いたの?はっきり言っていいわよ。私とあなたの仲でしょ?」

「……面白くないんですよ!!」


「面白くないって…事実に面白さを求められても困るわよ。話の内容だって一言一句そのままで書いてあるんだから」

「だから、こんなに誤字や脱字があるんですか?だから、もしとかまあとか同じ様なやり取りが多いんですか?」


「そうよ。普通に私達が話してる時でも思う時あるでしょう。今、一文字たらず言葉として発してる時とか、間違った意味や間違った発音で話しちゃってる時。話してる時点では意味が通じない訳じゃなかったりそういう物だと思って話したり聞いたりするから、あまり疑問には思わないけどこういう事は現実によくある事の筈よ。同じ事だって繰り返すに決まってる。だって人間なんだから。第一として書いてる人間は私1人なんだから言い回しが似たり寄ったりするのは普通なんじゃないのそれなのに、物語となった瞬間にそれが許されなくなるの変だと思わない?。これは物語であっても現実である事は変わらないんだから」


「変じゃないですよ。それが当たり前で普通なんです。だって物語なんですから!それに、そんなのばっかだと読者は読みにくくてしょうがないじゃないですか。コレはあくまでも商品なんです。読みやすくて面白いのは至極当然のことなんです。これはビジネスなんですよ」

「そう言うけど、噛まなかったり、おかしな事を普段から言わない人物が出てくるのは現実を書いてるノンフィクションとしては失格なんじゃないの?」


「でしたら、ここに書いてある事一言一句、全て本当に現実に起こったことなんですか?本当に!」

「もちろん、本当よ。……殆どは」


「殆どって事は?」

「……確かに最後の部分は強引だったとは思う。オチもいい加減だったと思うし、さすがにちょっと盛り過ぎた感は否めないから。でも、レッドカーペットに立ったのは本当よ。それ以外のやり取りだって」


「先生がレッドカーペットに立てるわけないじゃないですか!」

「ちょっと!いくらなんでもそれは酷いんじゃないの!?」


「いいですか?私は嘘を書くなって言ってる訳じゃないんです。先生の言いたい事だって分かります。物語のアイデアも独特で先生らしくて素晴らしいとも思います。だから、いつもみたいにフィクションとして盛大に先生の書きたい事を書きましょうよ。それなら物語は物語として成り立つんです。……お分かりになったなら2日後また見にきます。その時までにはお話を調整しておいてください。もちろん誤字や脱字も可能な限りで構いませんからチェックして修正しておいてください。…いいですね?」

「……分かったわよ。…調整して上手いこと修正しておくわよ。それでいいんでしょう?」


「はい。それなら編集長の方には私から代わりに伝えておきますね。先生は気が変わっていつものように先生ワールド全開の完全フィクションの作品を書いてるから期待しておいてくれと」


 そう言うと自分の荷物を持ち部屋を出ていく。


「あ、あと」

「今度は何よ?」


「次までにはこの部屋も片付けておいてくださいね。…僕、綺麗好きなんで」


 それだけ言うと今度こそ部屋から出ていく。



 私は家から完全に私以外の人がいなくなった事を確認する。


「……私だって綺麗好きだっつーの。……今日の為にあえてキャラ付けに1ヶ月以上かけてわざと部屋を汚くしたんだから…」


 女はため息をつくと座っていた椅子に腰深く座り直すと頭を触る。


 慣れた手つきで被っていたカツラを取り再びため息をつく。


「まさか、こんなにも上手くいくとはね」


 女は物で溢れている机の上を整理しながらボソボソと独り言を喋りだす。


「人間、物語でしかありえない様な事が現実に起きててるのに案外それには気付けない。人がフィクションを嘘だと信じている限り。それが心に響く物語だったとしても現実を根幹的に見た真実を語っていたとしても。それを見て人は共感するし反省もする。だけどそれを信じて自分の行動や言動に影響させる人は多くない。何故なら多くの人間が架空の物語としか見てないからだ。それがフィクションである限り」


 女は独り言と共に机を片付ける終えると一枚の写真立てを見つめる。


「ずっと前から覗いてたんでしょ?…楽しかった?それともつまらなかったかしら?でも貴方のお陰で私はこれで満足。だから、私の物語は取り敢えずこれで終わり。さて、今度はどんな人物になりたいわけ?」


 女は写真立てに向かって話し続ける。


 その写真に入っているのは…………




 最初にも言いましたがこの物語は1人の妄想から生まれた架空の物語で、詰まるところは嘘でありフィクションなのです。


 だがしかしこの物語を考えた人物が実際に存在しているのは事実。


 その限りこの物語が真実ではないとも限りません。


 1人の人間が考えられた事は他の人にも考えうる可能性があるかぎり。


 そしてこの物語は貴方の頭の中で作り、進めていった。私はただ、それを案内していったに過ぎません。


 妄想を想像し創造したらそれは紛れもない貴方だけの事実に変わるのです。


 事実になった瞬間その物語はフィクションでは無くなった。


 私はそう信じています。


 だから言ったでしょう?


 私の嘘はフィクションだと。 フフッ



          END

これにてこの物語は正真正銘完結となります。


ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録して頂いた方も感謝です。


ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。

皆様のおかげでこの物語は6000PVを超えユニークPVは2000を超えることが出来ました。(7月21日現在)

追記(10月29日現在。10000PV突破!)

恐らくサイト全体で考えればこの数字は大した事ないのかもしれませんが、素人の私が書いた作品をこれだけの多くの方々が興味を持っていただいた事はとても嬉しく思う限りです。感謝しかありません。


また、現在これとはまた違った物語を執筆中です。そちらもご縁がありましたらお付き合いいただけると嬉しいです。


それでは最後に改めて、ここまで閲覧いただきありがとうございました!



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