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ビックリ・ドッキリ・コラボレーション

閲覧感謝です!

貴重なお時間に見合いますように……

「私と初めてのコラボ動画なのよー。相手が誰か気にならない?」

「あのな、そんなの興味ないし、そもそも聞いてな」


「やっぱり気になるわよね?それなら教えてあげる。私がコラボしたのは事務所の先輩で動画配信サイトの登録者数は300万人を超えていて、ネットでも知名度を誇る人気モデルの秋川朱音さんとなのよ!凄いわよね。私が後輩じゃなかったらコラボなんて絶対してくれないわよね。それだけでもこの事務所で良かったって本当に思ったわ」

「いい加減にしろ!!」


「いいから黙って聞きなさいよ!!ここからがアンタの聞きたい事なんだから。でね、その動画、せっかくだから一緒に見てみない?メインの動画は秋川さんの方で配信されてて、私の方ではその裏話とかメイキングを流す事になってるの。今回は内容的に知名度の方がある秋川さんのチャンネルに流した方がいいって事になってね。だから、今回はそっちを一緒に見てみましょう?私もメインの方はまだ完成品を見てないからちょっと楽しみなのよね~。ちなみにさっき時間を確認したのもその動画の配信の時間を確認する為よ。じゃあ一緒に見ましょうか?」


「見るわけないだろう。話が通じないようだから俺は帰る。お前の絶望の顔を拝みたかったんだが、それは家に帰って想像する事にするよ。世間の反応を見ながらね」


 そう言うと冴島は席から立ち上がる。


「ダメよー。帰るのはこの動画を見てから」


 私は帰ろうとしていた冴島の腕を精一杯の力で強く掴み引き止める。


「ぐっ……」


 私の力の強さに驚いたのか戸惑った表情を見せる。


「じゃあ、見るわよ」


 私はスマホをもう片方の手で奴と私が見える位置に近づけて動画を再生しようとする。


「あれ?そういえばコレと同じような事があの時もあったわよねー。この後も同じような事が起きないといいんだけど。でも、無理そうね…」


 再生ボタンを押して動画が始まると奴の表情がどんどん険しくなっていく。


「さすがのアンタでもこれは分かったみたいね。それなら良かった。安心したわ。もう一度私に嵌められたって分かる頭はあったみたいで。でも、不思議よね。一度きりの人生なのに全く同じ手で全く同じ結末を味わうなんて。こんな体験なかなか味わえないんじゃなくって」

「……この動画いつ撮ったんだ」


「昨日よ」

「それなのによくあの冴島が協力したなぁ?…この動画の内容をどう説明したら協力してくれる事になるんだ…」


「それは…」



 約束の日まで後1日。


「秋川さん。私とドッキリ動画を撮ってくれませんか?」


 都内某所、秋川の作業部屋にて。

 私は床に頭を擦り付けながら土下座で必死にお願いする。


「ちょっと、頭あげてくれる?…誰も知らない場所で話がしたいって言ってたから、事務所も知らない私の部屋に呼んだら…こんな事する為にわざわざ連絡しにきたわけ?違うでしょ」

「いいえ、私はこの為に此処に来たんです。私に秋川さんの力をお貸しいただけないでしょうか!」


「あのねぇ…忘れたの?」

「はい?な、何がでしょうか…?」


「アナタが望むなら私はいつだって力を貸してあげるって言ったでしょ?、だから、そもそもそんな土下座なんかする必要はないの!アナタが私に電話をかけてきた時点で大体察してるわけ。それも分かった上で敢えて此処に呼んでるんだから。そんな事するだけ無駄なの、分かったなら早く頭あげてよね」

「…はい。なんか、スミマセン」


「別にそれはいいけど。…でも私に連絡してきたって事はアナタも覚悟、出来たんだ」

「はい。その覚悟を貫き通すために力を貸してください」


「いいわよ。私、見た目通り約束は守る女だから。それに、私の力が必要って事はアナタも相当ピンチって事でしょ?じゃなかったらわざわざ私になんか頼らず自分でなんとかしてるはずだもの。そうよね?自称ライバルさん」

「覚悟しましたから。プライドとか目標とかそんなの今はどうでもいいです」


「アナタ、いい目になったわね」

「そうですか?」


「ええ。後私、このセリフ一度は言ってみたかったからちょっと嬉しい…で、本題に戻りたいんだけど、なんで私と動画を撮りたいわけ?別に理由はなんでもいいんだけどさ」

「それはですね……」


 私は今の置かれている状況、そして冴島の事など必要な事を簡潔に伝える。


「なるほどねー。てっきり私は週刊誌に載ったスキャンダルの事で来たかと思ったけど、まさか、それ以上の事が起こってるなんてね。それもまた冴島絡み。それにしたってアナタもついてないわよね。よりにもよってあの男に秘密を知られちゃうなんて、しかも証拠つきで」

「秋川さん。冴島の事ご存じなんですか?」


「ご存じよ。だって一緒にドラマで共演した事だってあるし、プライベートでも私の事口説いてきたんだから。まぁ、問答無用で断ったけど」

「アイツ、秋川さんにも手出そうとしてたんですね…」


「あんな奴の事好きになる訳ないのに。だってね、アイツ、私を口説こうと話しかけてきた場所どこだと思う?女子トイレよ!トイレの前で私が出てくるの待ってたんだから。そんな事する奴と一緒に食事をしたいって思う?思わないわよねーー?」

「………変わってないんですね。それ、全く同じ事私もやられました」


「ウソ?」

「いや、本当です」


「アイツも学習しないわね~。なんで一回失敗したのにまた同じ方法で挑戦するのよ。そういうところがイケナイって思わないのかしらね?」

「多分、夢にも思ってないと思います。私が断った時もなんでって顔してましたから」


「そんなのこっちがなんでって話よ。そんなんだから、芸能界に居られなくなるのよ。…でもさ、私と一緒に動画撮ってそれをどうするつもり?今のところ何の意味があるのか分からないんだけど」

「アイツをまた嵌めるためです。それも似たような方法で。だってアイツは学習しませんから」


「なるほどねー。前から思ってたけどアンタも中々よね。で、どんなの撮るわけ?どうせ撮るなら最高に刺激的なやつがいいわよねー。せっかくコラボするわけだし」

「やる事は決まってます。アイツが隠し撮りした動画を逆手にとった動画を作るんです。例えば、私の男装ドッキリとか。アイツの事ですから最終的にあの動画をネット何かにあげるはずです。それすらも宣伝だと思わせるような内容の動画をこっちもアップすれば視聴者は疑問に思わないはず。寧ろ手が込んだ動画だって事でバズる可能性もありますからね」


「それでドッキリ動画って事ね。アナタの正体すらもドッキリのネタとして利用するのね。見ている視聴者も姫乃皐月が男装してるって事で動画を見るから、まさか男装が本当の姿だとは夢にも思わないでしょうしね。それなら、冴島が動画を流出させたとしても見ている人は私達の動画の宣伝ぐらいにしか思わない。…最高の作戦ね。それでいきましょう!」

「奴が流出させるであろう動画も私達の動画に組み込みましょう。データの方は私が何とかしますから、それを編集で上手い事組み込んでおけば後から何かあっても言い訳できると思うんで。それで内容は私が男装して秋川さんを驚かすみたいな内容にします?シンプルですけど」


「それで構わないわ。細かいところも全部アナタに任せる。それに撮影が始まればなあなあで上手くいくに決まってるわ。だって私とアナタとのコラボなんだから」


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