秘密に微笑むヴィーナス
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前菜を食べ始め食事が盛り上がり始めた頃、私は2人に仕掛ける事にした。
「あの、いきなりかもしれませんけどお二人の出会いとかって聞いてもいいですか?」
「あ、それ私も気になってた」
「そうですね…僕達の出会いは行きつけの居酒屋が一緒だったからなんです。そしたら彼女の方から話しかけてくれた時があって。それからなんとなく」
「はい。最初は勿論お互いに意識なんてしてませんでしたからただのよく見るお客さん程度でしか思ってなかったんですけど、ある日偶然淳さんと話す機会があってそれからは一緒に飲んだりする事も増えてきたんです」
「へぇー。そうなんですねー」
アイツやってんなぁ……
俺のときと出会った理由が殆ど一緒じゃないか!
因みに俺のときはラーメン屋だったけどね。この時も互いにその店の常連で互いに顔を見たことあるぐらいの関係だったのがある日を境に話すようになってやがて恋愛関係になった。ここまで全部同じじゃないか!
「話してみるとお互いの趣味も同じで会話も盛り上がったし、色々と2人で仕事の愚痴とか言ってるうちに仲良くなったんです」
「へぇー。因みに、お2人のご趣味ってなんだったんですか?」
「僕、大学時代登山サークルに入ってたのもあって休日とかも手頃の山を見つけては登るのが趣味なんです」
「兄さんはね、その趣味のせいで貯金は結構あるんだけど、山登りが趣味になってからはそれが恋人みたいになっちゃって全然彼女ができないのよ。だから前から少し心配してたんだけどようやく同じ趣味のいい人と出会えたみたいで嬉しい限りだわ」
「私も女友達と簡単な山ですけど色々と登るのが好きだったんです。そう言う事もあって色々話すようになったんです」
なるほど。因みに俺たちも趣味が同じでよくその事を話したっけ。でも本当に好きだったかどうかは分からなかったんだよなぁ。
「じゃあ、お2人で山を登られた時はさぞかし楽しかったんじゃないですか?」
「……それが、まだ2人で行ったことは一度もないんです。お互い仕事とかで休みのタイミングが中々合わなくて、でも結婚して色々と落ち着いたら2人で行こうって約束してるんです。個人的にはそれが新婚旅行になってもいいかなぁーって勝手に思っちゃったりもしてるんですけど。どう思う?」
「そうだねー。それもいいかもね」
さっきまで笑顔で話していた彼女の顔が一瞬だけこわばった気がした。俺以外はそれに気づかなかったのか、それとも気のせいだと思ったのかそれに触れられる事は無く食事会が続いていった。
でも俺にはそれが気のせいじゃないって事がよ〜く分かる。
お分かりかもしれないが自分も同じ体験しているからだ。
俺の時はお互いにスケジュールを調整しても必ず彼女の方から当日具合が悪くなったとか急な仕事が入ったとか、そんなありがちな理由で毎回ドタキャンされてきた。
今考えたらそんな事頻繁に起きるわけがないって冷静に考えたら分かる気もするけどその時はそんな事考えもしなかったし、彼女の事を疑った事すらなかった。
だから、趣味の話をしたことがあっても彼女がその趣味を楽しんでいる様な姿は一度も見た事が無いのだ。




