運命のトラブルは事故多発
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貴重なお時間に見合いますように……
それから数ヶ月後。
私は控室で進藤さんに頼み事をされていた。
控室の机には妹が表紙の雑誌が大量に置かれていて私は擦り切れる程雑誌を読み漁っていた時だった。
「で、どうしたんです?進藤さんの方から私に頼み事だなんて」
「たまにはいいでしょう?いつもの借りを返すと思って協力してよ。ね?」
「そうですね。たまには返さなきゃですからね、私に出来る事ならなんでも協力しますよ。進藤さんにはいつもお世話になってますから」
「本当に?」
「ええ。本当に」
「ならさ、いきなりで悪いんだけど今日の仕事終わりでいいからある人と会ってもらいたいんだよね」
「いいですよ。もしかしてまた、新しい新人さんの紹介ですか?だけど流石にもう付き人は入りませんよ」
「いや、そうじゃなくてさ、うーん、ちょっと言いづらいんだけどね、その会ってもらいたい人ってのが私の兄なんだけど…」
「お兄さんですか。へぇー、進藤さんってご兄弟いらっしゃったんですね」
「うん。10歳離れた兄が1人だけね。その兄がさ、遂にようやく結婚する事になったのよ」
「おめでとうございます」
「……ありがとう。それでね、実はその結婚相手が貴方の大ファンみたいでね。私が担当してるのを知ってたからさ、ウチの兄がついカッコつけて会わせてやるって言っちゃったみたいなのよ!私もそれを聞いて勝手に決めてんじゃないって怒ったんだけどね、どうしてもって泣きつかれちゃって。私も身内の為に貴方の貴重なオフの時間をね私達の為に使わせるってのも申し訳ないなって思うんだけど、今まで兄になにもプレゼントみたいな物渡した事がないからさ、結婚記念みたいな感じで会わせてあげたいんだ。時間はあまり取らせないようにするし念の為私も一緒に行くからさ。だからお願い」
進藤さんが珍しく私に頭を下げる。私以外にも頭を下げているところ私は一度も見た事が無い。そんな人のお願い断れる訳がない。
「勿論。言ったじゃないですか?私に出来ることなら何でもするって。そのくらいでいいなら喜んでお受けしますよ」
「本当にいいの?」
「だから、本当ですって」
「ありがとう。 じゃあ、今日の仕事終わり私が迎えに行くから宜しくね」
「分かりました」
そう言うと進藤は満足げに部屋を後にする。
その時の私はこう考えていた。
お兄さん達と会ったら簡単にお話しして写真撮って、頼まれたらサインを書けばそれで喜んでくれるだろうと。
でも、私のその考えは甘かったと数時間後思い知らされる。
仕事終わり、私は進藤さんに案内されながらお兄さん達が居るというレストランに行った。2人の目の前に私が顔を見せると想像通り2人は大変喜んでくれたし相手の女性もとても驚いてくれた。
それを見て私も大変驚いた。
恐らく、人生でこれだけの驚きを体験する事は2度とないだろう。
何故なら目の前にいた女性は俺を騙した結婚詐欺師だったのだから。
第三部はこれにて完結。
ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。
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次回からは第四部がスタート!
姫乃誕生のきっかけとなった例の詐欺師との再会。
ただ、出会う必要も、出会いたくもなかった人物はもう1人いて……
そんな幾つものの因縁との再会が姫乃を狂わせる。
覚悟と向き合い、再び覚悟を決めた時。魔法が解けるカウントダウンは刻々と迫っていくのであった。
次回からもお付き合い頂ければ嬉しい限りです。
勝手に祈って待ってますね。




