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地図が読めないならナビに案内して貰えばいいじゃない

閲覧感謝です!

貴重なお時間にお邪魔します……

「そういう事なので姫乃さん。私が今家出をしている事や私の境遇は秘密にしておいて欲しいんです。もしこれがバレて家族にバレれば私はもう二度とこの世界の敷居を跨ぐどころか、私が自由に生活する事も出来なくなると思います。なのでどうか、お願いします。秘密にしておいていただけませんか?」


「……分かった。この事は暫く私の心の中にしまっておくわ」


「…本当ですか!?ありがとうございます。私絶対に頑張りますのでよろしくお願いいたします」

「うん。でもその代わり……」


 私が言葉を発しているその途中。私のスマホの着信が響き遮る。


 仕方なく話を一度止め、私はスマホを確認するとそれは進藤からの電話だった。


「ヤバっ!」


 時間を確認すると私が出演する予定だった生放送番組の放送時間はとっくに超えていた。


 それと同時に樹がなんとかしたくれたのだろうというホッとした気持ちとお叱りを受ける事が確定した事が分かり少し憂鬱な気持ちになる。でもそれは覚悟の上の行動の筈だろ、私。


 そのおかげで妹の事も分かる事が出来たし、新しい目的も見つかった。それだけで十分お釣りがでるくらいだ。お怒りの言葉だけで済むなら安いもの。


 …………済むよね? 

 

 えっ。……済まない?


 いや、冷静に考えてみるとコレ結構ヤバいんじゃないか?


 だって生放送番組をドタキャンするわけだろう。それって後にスキャンダルとして伝説みたいになっちゃうやつじゃないのか?落ち着いて考えてみれば過去にも似たような事をした外タレがいた気が…、それは今でも有名な放送事故として広く知れ渡っている。


 私もそうなっちゃうのか?


 もし本当にそうなったらイメージダウンは絶対避けられないだろうし、仕事だって今まで通りみたいに出来なくなる。そうすれば私の目標だって叶えられなくなる。


 本当は電話には出たくない。が、仕方ない。私は恐る恐る通話に応じる。


「…はい。もしもし……」

「ッ姫乃!アンタ今何してんのよ!」


 やっぱりそうですよね……。


「あーー今ですね……ちょっと色々ありまして、あのですねー……申し訳ありませんッ!」

「アンタねー。もう……本当に反省してるならこんな事二度とするんじゃないわよ!いいわね!!」


「ハイ!分かってます。もう絶対にしません。本当に申し訳ありませんでした」


 私は電話越しながら自然に深々と頭を下げている。


「分かったならいいわよ」

「本当ですか……」


 思ったよりあっさりしていた。


「だってこれ以上色々言ったって仕方ないでしょう。それに貴方が同じミスは二度としないって私は信じてるから」

「進藤さん……」


「ところで今は仁科と一緒にいるって思っていいのかしら?樹から聞いたわよ。樹に全部丸投げだけして追いかけただけの成果はあるのよね」

「はい。おかげで私の新しい目標もできましたから」


「そう。ならいいわ。だったら急いでこっちに戻ってきなさい!」

「えっ。でも、もう放送始まっちゃってますよね。私の出番なんてもう終わってるんじゃ?」


「そんなわけないでしょう!現場には私から前の仕事で少しトラブルがあって遅れるからって出番を送らせて貰ってる」

「そうなんですか?」


「私がアンタにドタキャンなんて黒歴史を背負わせると思う?それに姫乃がいないと話にならないのよ。姫乃は仁科ならなんとかできると思って任せたんでしょうけど、現場はそう簡単には納得しない。だから取り敢えず仁科には先に出てもらって繋いで貰ってるの。

 姫乃が合流次第、後から再度2人で登場する事になってるから。

 だから、急いで来なさい。番組放送終了まで後15分もない。でも、貴方なら必ず間に合うって信じてる。それでも遅れたらもう二度とこの番組には出られないと思いなさい。いいわね!絶対に間に合わせるのよ」


「……はい。必ず!!」


 私は電話を切り気合いを入れる。


「姫乃さんごめんなさい。私のせいでこんな事になってしまって」

「それはいいって言ってるでしょう。貴方の責任じゃない。私が好きで仕事をすっぽかしてここに来ただけなんだから悪いのは全部私よ。でも、間に合わせなくちゃね。期待されたらその期待には必ず応えなきゃいけない。それが一流のスターなんだから」


「でも、姫乃さん。ココからテレビ局まで本当に間に合うんですか?放送終了まであと、15分もないんですよね?!」

「分かってる。だからとにかく走るのよ!」


「え、走る?!いやいや、多分ですけど走って間に合う距離じゃないですよ」

「そんなの私も分かってるわよ!でもココがどこかよく分からない以上少しでも進んで分かる場所に出た方がいい」

「いや、それよりもスマホで……」


 私は仁科の声に耳も貸さず、直感を頼りにどんどん走って道を進んで行く。河川敷を沿うように走り抜け、たまたま見えた怪しい細い路地を進んで行く。


「姫乃さんっ……」


「…………」


 私の頭にあるのは是が非でも時間内までに間に合わせることだけだ。落ち着いて考える余裕なんか私にはなかった。


 全速力で路地を走り抜けた先に見えたのは。


「アレ。嘘でしょう?今私の目の前にあるのって……」

「はい。……私も驚いてます。こんな事ってあるんですね。でも間違いないですよ!あの建物!」

「やっぱそうよね。アレって?」


「「テレビ局だ!!」」


 私達を顔を見合わせ喜ぶ。


「凄いですよ。姫乃さん!これなら間に合いますよ!」

「うん。正直私が一番驚いてる。本当に間に合うなんて」


 すげぇ。やっぱり私って天才だーーー!!


「私達、知らず知らずの内にあそこから一番近い裏道を通ってきたみたいですね。ほら、見てください」


 仁科が自分のスマホで位置情報を頼りに調べた地図を見せてくる。


「あの怪しい路地を通らなかったらどうやっても15分じゃ間に合わなかったみたいです。それを勘で当てちゃうんですからやっぱり凄いですよ!」

「そう?」


 皐月にも褒められたしこれで仕事にも間に合う。今日は最高にツイてる。


「……まぁ、走る前にスマホで調べていればこんなに慌てる事もなかったんですけどね」


 仁科がボソッと言う。


「仁科」

「いや、スミマセン。つい、別に変な意味はないんですよ」


 前言撤回。


 今日はそこそこツイてる。 …多分。


「姫乃さんッ。そんな事より急ぎましょう!ここで油断して間に合わなかったら元も子もありませんから」

「そうね。急ぎましょう」


 私は気を取り直しテレビ局まで一気にラストスパートをかける。

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