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ラビットの意思は執念に満ち溢れてて…

閲覧感謝です!

貴重なお時間に見合いますように……

 翌日。


 今日の朝はいつもより早かった。


 理由は朝の8時から始まる情報バラエティ番組の生出演が決まっているからだ。勿論、生放送なので遅刻は許されない。因みに出演理由は、私と樹が共演しているドラマ「レディーマジック」の番宣だ。なので番組に出るのは樹も一緒だ。


 私は時間に余裕を持って現場に向かうと当然の様に何故か私より早く来ている樹が迎えてくれる筈だった。いつもならその筈だ。


 でも、今日は違った。


 私を迎えたのは樹ではなく仁科だったのだ。


 いや、なんで?今日はゆっくりでいいって言ったのに。


 それに今日、私が少し早く来る事は伝えてない筈だ。なのに、なんでいるんだ。


 もしかして、ここまでが計算なのか?妹よ。


「あれ?仁科さん、早くない?」

「ええ。勿論です。姫乃さんなら必ず予定より早く来るって思ってましたから」


「いや、ゆっくりでいいって言ったのに」

「そういう訳にはいきません。既に必要だと思う物の準備は出来ています。何か不都合があればおっしゃって下さい」


 それだけ私に伝えると仁科は控室から出ていく。


 マジ?


 控室には私が何をしても困らないように様々な道具が予め準備してある。これはきっと、テレビ局のスタッフさんが事前に準備してある物とは違うと思う。

 普段、見た事がないようなものあるし。




 控室の様子に唖然しているとドアが突然開く。


「姐さん!!コレってどういう事なんです?」

「彩華……部屋に入る時は必ずノックするようにって言ったよわね?……色んな人が見てるんだから、少しは気を遣わないと仕事も貰えなくなっちゃうかもよ」


「あっ……ごめんなさい。でも、色々と気になる事があって、いてもたってもいれなくて、つい……」

「まぁ、分かってるならいいけどさ。で、気になる事って?」


「それは…………ってこれどうなってるんですかーー!コレ…全部姐さんのやつですか?」

「いや、私もこれ見て驚いてるところ」


「って事は、全部あの女の仕業って事ですね!で、何で控室に炊飯器があるんですか?」

「ごめん、それは……私も分からない」


 不思議そうに炊飯器の蓋を開ける。


「…………しかも炊きたてだし」


 ホカホカのご飯の香りが控室を包む。


 それにつられて樹のお腹の音が大ボリュームで聞こえる。


 私はそれに一瞬触れようかとも思ったが触れた所で盛り上がる気もしなかったので特には触れなかった。


「………そんな事よりあの女何なんですかー!!私聞いてないですよ。姐さんに私以外の付き人をつけるなんて聞いてませんよーッ!」


 やはり触れられたくはなかったようだ。


「聞いてないって……付き人って知ってるじゃん。そもそも彩華は私の付き人じゃないでしょうに…」

「噂には聞いてましたけど、直接には聞いてないですから、聞いてないんです!ってか、どうして私じゃないんですか?私程、姐さんの側にふさわしい人物はいないっていうのに……。もう、こうなったら進藤さんに直接直談判して私が姐さんの側に」


 急に入って来て出ていこうとする樹を慌てて止める。


「待て、待て。進藤さんに言ったって彩華が付き人になれる訳ないでしょう。彩華は彩華で、仕事があるんだから。ようやく、仕事の量も冴島の件以降どんどん増えて来てるんでしょう?今が大事な時なんだから無駄にしちゃダメだって」

「そんなの関係ありません。姐さんの側にいられなくなるくらいなら、そんなもの……」


「バカ言うなって。そんな事して私が喜ぶ訳ないでしょうが!……ったく、そんな事本当にしたら私はもう、2度と貴方とは口も聞かないし会ってもあげないわよ」

「それは困ります~。ごめんなさい。冗談ですからそれだけはご勘弁を~」


 必至に謝りながら抱きつきながらお願いしてくる。


「本当に分かった?」

「勿論です」


「オーケー。ならいいわよ」

「ありがどうございますぅ」


「……さて、こっちの方はどうするかなぁ?」

「姐さんが言って用意させた訳ではないんですよね?」


「まぁね」


「じゃあ、率直に言っちゃえばいいんですよ!邪魔だって」

「いや、でもさ、一応私の為にやってくれてる事だしさ。それに、あの子にはそういうのあんまり色々と言いたくないんだよね…」


 妹のした事なんだ。別に内心は怒ってる訳じゃない。


 むしろ、俺の為にやってくれたって事が嬉しい程だ。


「甘やかすのは良くないですよ。ダメならダメだって言わないと」

「いやさ、そうなんだけどさ。まぁ……、でも伝えるしかないかー。これ以上あんまり気を使って貰っても困るしね」


「そうです。言いましょう!ハッキリっとダメだって、やめろって!」


 言えるのか?俺が妹にそんなはっきりと、好意でしてくれた事をバッサリ否定できるのか?


 でも、これ以上余計に気を遣わせて自分の事を疎かにしてほしくはない。


「……分かった。それとなく話してみるわよ」


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