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シンデレラみたいに着飾って~男と女の二重奏~世界で1番可愛いのは俺だった。  作者: 春風邪 日陰
マゼンタはピンクじゃない
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謝罪とモノマネ

 冴島は今の自分の状況がようやく分かったのか膝から崩れ落ちて呆然としている。


 どうやらスマホにも着信が沢山来ているみたいだ。


 通知音が鳴り止まらない。


 私達はそれを他所目にしながら今度こそ、一緒にこの部屋を出る事にした。当然、さっきの様に止められる事はなかった。


 冴島の家の近くには既にマスコミが集まり出しており私達は慎重にその場を去った。


「ここまで来れば大丈夫でしょう」


 私達はバレずに人目が少なそうな落ち着いた場所まで来る事ができた。


「じゃあ、私はこれで」

「えっ。送ってくれないんですか?」


 樹はまるで子犬の様な瞳で俺を見てくる。


「あっ。いや、ごめんなさい。さっき、あんな事があったばかりだから一人の方がいいかなぁ~って思って」

「何でですか?」

「アイツと同じだからさ……」


 今日ぐらい男となんて一緒にいたくないでしょ。


「同じなんかじゃないです!」

「えっ」

「だってどこも似てないじゃないですか!性格も、性別すら違うじゃないですか?あんなのと一緒にしちゃいけませんよ!!」


 怒った顔も可愛いじゃないか!


 …………いやいや。そんな事思ってる場合じゃない。心の中で思いっきり頭を横に振る。


「でも、気を遣ってくれたのは嬉しいです。確かに、一人でいろいろ考えたりもしたかったですし……あの、一ついいですか?」

「ん?」


「何で私の事助けてくれたんですか?姫乃さんの事だから今まで私がして来た事も全部知ってるんですよね?」

「まぁ、何となくは……」


「なら!何で?私は姫乃さんの事、貴方の事が嫌いだったのに!!それなのにどうして、自分の秘密を明かしてまで救おうとしてくれたんですか?」

「私は樹さんの事嫌いじゃないから、それに、カツラの事はいつか明かさなきゃとは思ってたから。それに、利用したのは寧ろこっちの方。お陰で秘密を明かすきっかけが出来たから。ついでに貴方を救う事もできた。それだけの事を一度に出来たんだから十分よ」

「姫乃さん……」


 姫乃の携帯に着信が入る。


「あ、ごめんなさい。マネジャーから直ぐ来て欲しいって連絡が来ちゃって、私行きますね。ごめんなさい。本当に送る事もできなくて、」

「いいえ。気にしないでください。私は平気ですから。お仕事頑張ってください」


「ありがとうございます。じゃあ、これで、気をつけて」

「あの、姫乃さん!」


 去ろうとする所を止められ振り返る


「こちらこそ本当に有難うございました」


 きっちりと体を曲げ頭を下げる。


「樹さん」


 今度は姫乃が呼びかけそれに答える様に上を向く。


「本当にごめんなさい」


 そこには律儀に頭を下げる姫乃の姿が見えた。


「えっ……」


 樹はその謝罪の意味が分からず戸惑ってしまう。


 必至に頭を回転させその謝罪の意味を考えるため思わず目を逸らしている。答えが分からないまま姫乃の方を振り返るとそこにはもう居なかった。


 俺のこの発言に意味があるのかそれは分からない。それでも、しなければいけなかった。これこそきっと自己満足でしかないのだろうが…………

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