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溺愛症候群。  作者: 倉田
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騒がしい教室に目立つ事なく馴染んでいたつもりだった。


静かともやかましいとも言えず、普通のおしゃべりを机をくっつけて延々と続ける。それが女子高生ってもんだ。

昼放課。暖かい日差しの中彼女達はさっきの続きでデザートを頬張っている。


「にしてもなんなのさっきの男! まじウけた! いきなりしゃがんだかと思えば愛の告白ですかってんだ」


「クサイ! 今時少女漫画でもあんな台詞吐かない!」


興奮してケタケタ笑う二人に乃笑は少しばかりふくれ面をして黙々とゼリーを食べていた。

何だかいつもよりおいしくない気がする。


「ちょっと、どうして乃笑が怒んのよ」


「由衣も楓も笑いすぎ。人の事馬鹿にして笑うのは誰に対しても不愉快なものよ」


「やーね。ほんとの事じゃんか。あんな異国情緒溢れる王子様みたいな立膝つかれちゃ……ッ」


ぷぷっともう一度思い出し笑いをする。

あーもう今のこの子達に何を言っても無駄ね。本当にゼリーもぬるくてたまらない。


乃笑がため息をついたのも気づかないようで二人は笑いまくっている。

傍観者は気楽だろう。やられた身にもなってほしい。


確かに彼の言動には後々よぉく考えたら度肝を抜かれてしまった。


乃笑は彼と話した事はおろか、見た事も会った事も無かったのだ。だからそんな人と接点なんて頭をひねらせても浮かんでこないし……。


「あれでしょ。あの王子様があんまりにも綺麗だったから見惚れて、しかも怒る気にもなれなかったんでしょ」


「え?」


そういえばあの人、相当綺麗だったような……。

どうしてこんな外見の根本を忘れていたのか分からなかったけど、一応彼女達には面倒だから否定しておく。


そう。あの人間離れした容姿。

黒髪で深い蒼緑色のような不思議な瞳だった。



授業を知らせる鐘が鳴る。

しかし生徒が先生が入ってくるまで放課と同じく騒がしい。そんな中で、次の授業の準備をしていたのは乃笑くらいだ。


またあの人に会えるかな……、なんて淡い期待をどうしてかしてしまっているのはまだ由衣達には内緒だ。

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