68.「姉貴ぃ。いつまで寝てんだよ。いい加減起きろって」
※初めて「章管理」なるシステムに手を出してみた。まだまだ『小説家になろう』のシステムに慣れるのは時間がかかりそう。それはそうと20周年とはな。私が初めて投稿した小説は事情によりもう削除してしまったが感慨深いものがある。今後ともよろしくお願い致します。
※ エ ル デ ン リ ン グ の ア プ デ ま だ ?
「姉貴ぃ。いつまで寝てんだよ。いい加減起きろって」
弟の声で私は覚醒した。
目を開ければ、いつもの居間――ではなくて。
ウィリアム様の私室に寝かされていた。
視線だけで周囲を窺えば、寝台の横に置かれた椅子に座った弟が呆れたように私を見下ろしている。
「……あんた、今までどこに行ってたの?」
驚き故か、寝起き故か。
喉から出た声は掠れていた。
そんな私に、弟は揶揄うように口許を歪める。
見慣れた、底意地の悪い、人を食ったような笑顔である。
「どこって言われてもなあ。まあ、ここでひっそりと働いていたよ」
「嘘。全然気が付かなかった」
「嘘じゃねえし本当だから。まあ、こっちも発覚ないように注意していたけどね」
あっけらかんと、悪びれた様子もなく言い放つ弟に、私は何も言えなくなってしまう。本当は、心配していたことや何をしていたのかなど問い糾したいことは山のようにあったのだが、家族の顔を見ることができて良かったという安堵が勝ったのだ。
「姉貴さあ。言いにくいんだけど」
「……何?」
私は鈍々と上半身を起こす。
窓から差し込む光と空気の匂いから、今が明け頃であることが判る。
「the・寝起きって面してるぜ。化粧はボロッボロだし、鼻の頭なんかテカってるぜ。姉貴の名誉を思って言うけど、その顔で団長と会うのは止した方がいいと思う」
「仕方ないでしょシャワーすら浴びてないんだから。というか他人の顔をじろじろ見るな馬鹿」
「うお危ね」
反射的に枕を取って投げつければ、弟は首を傾げる最小限の動作だけで躱してみせる。枕が扉に当たって大きな音が木霊して――俄に扉の向こうが騒がしくなる。
その瞬間、弟が跳んだ。
「聖女様? 何事ですか、入りますよ」
私が返事をする前に、護衛の兵士達がずかずかと入り込んでくる。
「……ごめんなさい。大きな虫がいて驚いたものですから、つい枕を投げてしまいました」
「虫、ですか」
衛兵のひとりが慎重に枕を裏返すが、そこには当然何もいない。
「おや、いませんね」
「本当ですか。百足か芋虫がいたように見えたのですが、見間違いだったのかもしれません」
お騒がせして済みません、と私が詫びれば、何事もなくて何よりです、と言って衛兵達は引き下がっていく。
扉が閉められ、気配が完全に遠ざかる。
暫くの後――。
「何が虫だよ。姉貴も嘘が上手くなったなあ」
梁に立つ弟が小声で笑う。先刻の軽やかな跳躍といい、物陰で息を潜める様子といい、その姿はまるで忍者か間諜のようであった。
「いいから早く下りて来なさいよ。というかどうして隠れるの。ここで働いているなら、あの人達だって仲間でしょう?」
「それがそうとも限らないんだよ」
「え? それなら敵だっていうの」
私の質問に弟は答えない。
黙殺するつもりらしい。
「俺としても本来なら姉貴と会うつもりはなかったんだよ。けどそうもいかなくなってね。事情が変わったんだよ」
「事情?」
「そ、事情。というか一コお願いがあってね」
弟は言うなり、腰袋から――そこで、弟が鎖帷子の上に黒革の胴着と手甲という戦装束に身を包んでいることに気付く――ひとつの小瓶を取り出して投げ落とす。
慌てて両手で受け取れば、硝子瓶に秘められた橙の液体が、ちゃぷ、と跳ねた。アルフィー様から譲り受けた『秘めた祝福』と似た意匠をしている。
「ちょっと。丁寧に扱ってよ。それで、これは何なの?」
「んー。一言で言えば俺の宝物。『女神の祝福』っていう道具で、どんな傷でも治してくれる効果があるんだ」
「どうして?」
「どうしてって何がよ。渡した理由? それとも入手した経緯?」
「……どっちも。というかいい加減説明して。この薬に関してもそうだけど、あんたがこっちにいて、何をしようとしているのかについても。あとはお爺ちゃんのことも」
弟はすぐには答えなかった。口を真一文字に引き結んだ儘、思案する素振りをしてから、分かったよ仕方がないなあ、と大袈裟に頷いてみせた。
「とは言っても俺の知ってる範囲になるけどね。あとは、まあ、そうだね。話の大半が懺悔になって、しかも長くなって良いのなら。残念だけど面白い話にはならないよ」
「別に期待してないから。ほら、早く座りなさい」
「ん、了解」
弟が梁から跳ぶと同時に埃が舞って、アレルギー持ちの私は咳き込んでしまう。抗議をしようとも思ったが、珍しく考え込んでいる弟を見ると、それすらも憚られてしまった。
「端的に話せば――俺はちっこいガキの頃からこっちのことは知っていたのよ。爺様が勉強になるからって言って、連れていってくれてさ。こっちの文化やら言語やら、礼儀作法から護身術に至るまで、奇跡も魔術も込み込みで、大抵のことは教わった――いや、無理矢理仕込まれたのよ」
「子供の頃って具体的には?」
「小学校低学年くらいかな。正確には覚えていないよ」
「そんなに昔から?」
「ああ。爺様も仕込むなら若いうちからだって言い張ってさ。兄貴も一緒になって色々と叩き込まれたよ」
「兄さんまで? そんなの全然気付かなかった」
「だって姉貴には――というか俺と兄貴と爺様だけの秘密だったし。だから親父は勿論もお袋だって知らないぜ。俺から言わせりゃ、どうして今更になって姉貴まで巻き込むのかが分からねえ。爺様は一体何を悪巧みしているのやら」
「便箋には、喫茶店の店舗と道具を用意したって書いてあったけど――あんたもしかして最初から全部知った上で、知らん振りしていたの?」
「まあね。というか姉貴、それはちょっと甘いぜ」
「甘いって何が」
「爺様の認識が」
弟は答える。
どこか突っぱねるような言い振りであった。
「いくら可愛い孫娘のためとはいっても、普通は店一軒用意なんかしたりするものかよ」
「……そうかな」
「そうだよ。思い出せよ。爺様が兄貴だけにはやたら冷たかったことを」
「それは――こんな言い方したくないけれど、血が繋がっていなかったからでしょう」
「だとしても、だよ。一緒に稽古していた俺だから分かるんだよ。あの人は姉貴が思うほど優しくも何ともねえよ。何なら警察も何もないこの世界だ。事故を装って殺そうとしても不思議じゃなかったんだ。まあ、そうはならなかったけどさ。いずれにせよ、爺様には少しだけ気を付けた方が良いと思う」
「気を付けろって、そんなこと急に言われても」
「それじゃあ言い方を変えるよ。あの人は、姉貴に何かさせるつもりでこの世界に喚んだんだよ多分。そしてその何かってのは、姉貴にとっても良いこととは必ずしも言えない。具体的に何かってのは憶測の域を出ていないから断言しかねるがね。まずはこれが一つ目」
深刻な口調で弟は告げる。
「一つ目って、まだあるの?」
「最初に言ったろ長くなるって。でなきゃこうして姿を現したりなんかするものか。本当はずっとずっと黙っているハズだったんだけど事情が変わったんだよ。それに何より誠実じゃないと思って。黙っていることに俺の方が耐えられない」
「誠実――」
その台詞で私は、弟という人間が、私が思うよりもずっと良識的で善良であることを思い出す。
「兄貴のことなんだけどさ」
「兄さんのこと?」
「ああ。姉貴は、兄貴が黒い泥と結晶になってしまったって言っただろ。首を吊ったらしいロープだけが残してあったって」
「……うん。それが?」
「もう気付いているのかもしれないけれどさ。あれこそが月蝕病に罹った者の末路なんだよ。そして、さ」
弟は、躊躇うように言い淀んでから。
「俺のせいなんだよ。兄貴が月蝕病になっちまったのは」
と言った。
続けて。
「だから兄貴は、俺が殺したようなものなんだ」
と。
その告白は、私を大いに揺さ振った。
「待って。どういうこと。どうしてそうなったの?」
「結構前にさ。爺様ん家で、俺に昔、好きな娘がいたみたいなこと言ったろ」
「うん。それは覚えているよ」
「その娘、こっち側の人間でさ。貧民街――といっても当時はまだぶっ潰れる前だから――学生街の出身で教会の修道女をやっていたんだよ。出会った契機は、婆様が聖女をやっていたとか、その教会出身だったとかそういう話で爺様と一緒に挨拶回りをしたときだったかな。俺も当時はまだまだ修行中の身だったけど、稽古の合間を縫うように会いに行って、互いに惹かれ合っていた――のかな。今となっては確かめようもないけど。とにかく、俺はその修道目に一目惚れして、マメに会いに行っては駄弁ったり、気を惹きたくて色々な物を贈ったりしたけれど――それが良くなかったんだな」
良くなかった?
「教会の割と近い場所に、お隣さんの商業組合があったんだよ。戦争なんかしてる今じゃ信じられないかもしれないけど、当時は国同士そこまで関係も悪くはなかったんだよ。まあ、そんなことはどうでもいいんだ。その組合の連中に、これまた柄の悪い奴等がいてさ。その連中が教会の修道女――というか俺が贈った物に目を付けたんだ」
「それから、どうなったの?」
聞くのは怖かった。
だが、聞かずにはいられなかった。
「死んだよ。殺された」
弟はあっさりと答えた。
「その女、俺の想像以上に馬鹿だったみたいで。後から聞いた話だと、贈り物だからって。大切なモノだからって、文字通り必死の抵抗をしたみたいでさ。それで死んじゃ意味なんか無いってのに。騒ぎを聞きつけて俺が駆け付けた時には、教会の裏で、ボロ雑巾みたいになって死んでいたよ。抱きかかえた身体は重くて冷たくて、これが本当にあの女だったのかと思うと、信じられなくて――ガキみたいに泣いたよ。いや当時は実際ガキだったんだけど」
でも、それで話は終わりじゃないんだ――と弟は言った。
「俺、馬鹿だからさ。どうしてもその人が死んでいくことを認められなくて――ふと気付いたら辺り一面が眩しいんだ。真っ青に輝いている。空を見上げたら、遠いところに満月が浮かんで――俺達を見ていたんだよ。そしたら急に何もかもが憎らしくなって――だから、俺、やっちまったんだ。目撃者を引っ捕まえて、商業組合の連中が一枚噛んでいると分かると、全員を殺したよ。――あ、勿論、奪われた品物を見付けてから。証拠を見付けてからだよ。その程度の理性は残っていた。そして、教会に――あの女の許へ帰ると、立っていたんだ」
「え?」
立っていた?
「死んだはずの女が、背中から、真っ黒な馬鹿でかい蛇みたいなものを生やしながら」
「それって、カイル君と同じ――」
「そうなんだよ。それも月蝕病の症状の一つなんだ。でも当時の俺は、自分が月の光を浴びても平気な体質だったのもあって、そんなものが本当にあるなんて思わなかったんだ。だから腰を抜かすくらいに驚いたよ。でも同時に嬉しかった。まだ間に合うんだって。俺が何とかすれば、この女はまた蘇ってくれるって。だから俺は満月に向かって祈ったよ。生まれて初めて、心の底から強く祈ったんだ。満月よ、頼む。この女を返してくれ。それができないなら堕ちてしまえ――ってね」
その言葉を聞いて、私は。
弟と同じ血が流れているのだな――と強く思った。
以下、本編とは全く関係ないゲームの独り言。『DARK SOULSⅢ』のお気に入り武器の話でも。何ならゲームの話を垂れ流すためだけに本編を書いている節さえあるような。
* * *
私のお気に入りの武器は『ファランの大剣』である。要求能力値は筋力18技量20。ジャンルは”特殊特大剣”。この「特殊」という文字だけで、もうイケメン武器である。またボスである『深淵の監視者』が使っていた得物であるから、もう格好良さ(だけ)は飛び抜けている。
具体的なアピールポイントないし運用方法を、如何に列挙しよう。
①筋力18技量20という「ちょうどよさ」
筋力18は、多くの有能武器の要求ラインでもある。
盾であれば『黒騎士の盾』や『渇望の盾』。
武器であれば『アーバレスト』『竜断の斧』『竜血の大剣』など。
(ワロス……じゃなかった。『クロススナイパー』も持てるよ!)
筋力18止めの技量戦士にも適正はある模様、最適解ではないが。
②戦技『パリィ』の絶妙な(?)性能
戦技は『パリィ』であるが、打刀の『居合』と異なりFPの消費は無し。
この時点で良い(その分、被弾時のダメージ減少はないが仕方ない)。
なおパリィ性能については、中盾以上小盾未満。
具体的には、発生は12Fと中盾と同等、持続は6Fと中盾以上。
戦技盾と併用することで、二段目パリィ運用が容易にできることが強み。
欠点を挙げるなら、戦技大盾とは相性が然程でもない(大盾が攻撃を弾くため)。
また不死隊の完全コスプレを目指すなら盾など装備できないことくらい。
③特殊な攻撃モーションの「低姿勢」と「かっこよさ」と「連撃バフ」と「乱戦」への適正
L1が特殊モーションであるが、これが低姿勢であるため、敵の攻撃を狙って躱すことができる。
かっこよさは言わずもがな。
連撃バフについては、『法皇の右目/左目』における特大剣の要求攻撃回数は3回であるため、最大4回のチェインが可能な本武器とは相性が非常に良い……らしい(確かめてない)。
乱戦云々については、ボス『深みの主教達』で使ってみればすぐに実感できるかと。
スタミナ消費も特大剣では一番軽いのも魅力。
まあそのぶん攻撃力が劣ってしまうのだが……。
外にもあるが飽きてきたので、これくらいに留めておくとする。
総じて、攻撃・防御・回避がこれ一本で完結しているという総合的にバランスの取れた、使い勝手の良い武器なのではないだろうか。左手に中・遠距離もしくは至近距離の間合いをカバーできる武器を持てば対人でも活躍できると思う。
……なお、肝心の防具については性能が壊滅的なので、コスプレはお勧めしない。具体的には斬撃カット率12%と低い。強靱も10.23。その分属性防御は高いのだが……。見た目は格好いいのだが。




