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49.「改めて聞くけど、本当に団長のこと何とも思ってないの?」

※本小説の分類タグには、何の恥ずかしげも無く「恋愛」などと記されておりますが、書いている自分でも思います。一体どこをどう見たら恋模様が繰り広げられているというのか。そも、私には恋愛というものがまるで理解できない。異性或いは同性の間における、細やかな、色めき立つ、それでいて堂々たる――本能と理性の中間にあるような感情の交流なのでしょうが、そう尤もらしく表現したところで、私にはこと娯楽エンタメにおける恋愛を経験した記憶がございません。さりとて、結ばれずにいるからこそ美しい「悲恋」でもなく。只々、途中で断絶してしまった未練ばかりが、未来永劫、ずっと先の先の彼方まで横たわっているものであります。わたしにとっては、それが、そればかりが恋愛なのです。ですから、過度な期待は何卒ご容赦ください。

※んなことよりもエルデンリングのDLCまだ? 続報すら入ってこないんだけど? バランス調整のアプデでもいいよ。

「改めて聞くけど、本当に団長のこと何とも思ってないの?」


 一(しき)り笑ったのち、自らが作った鶴を私の前に置くと、アリスは包装から千代紙を取り出して二羽目の作成に取り掛かる。


 最初の内こそ多少の不器用さが見受けられたけれど、流石は医療従事者である。また物覚えの良い彼女のことである。たった一度でものにしてしまったのだろう。


「まあ、そうだね。皆が期待しているようなことにはならないよ」


 辟易(へきえき)として、投げ遣りの返答をすれば。


「そんなに怖い顔しないでよ」


 とアリスは可愛らしくねだる。

 自分の方が年下であり、私が性格上強く出ることができないと分かった上での態度である。甘え上手というか立ち回りが巧みというか。こういう柔軟なところは、カイル君にそっくりである。兄妹と言われても信じてしまう。年齢は聞いたことがないから、どちらがお兄さん、あるいはお姉さんなのかは分からないけれど。


 私にいるのは、お酒と煙草をこよなく愛する不良の愚弟だけである。可愛い弟や妹がいないため、ついつい私も甘い顔をしてしまう。


「どうして私とウィリアム様が気になるの? 向こうは団長で、こっちはただの侍女だよ。何も起こりようがないと思うけれど」


 カイル君は侍女の待遇など建前に過ぎないとは言ってくれたが、私はそうは思わない。そもそも私はこの世界の人間ですらない。常識すら(まま)ならぬ異邦の民である。そういう浮ついた話など所詮他人事である。まして今は戦争中なのだから。


 いつか、あの愚弟も言っていたが。

 恋愛とは人生に余裕のある者にしか許されないある種の特権ないしは遊興であり、生憎私にはその余裕がない。自分のことで精一杯である。そんな者が誰かを好きになったところで、とても上手くいくとは思えない。長続きせずに破局を迎えるのは火を見るよりも明らかである。


 だから、というわけではないけれど。

 私は誰かを好きになってはいけないのだろう。

 ()()()が、明日も無事でいてくれる保障がないなら尚更のことである。大切な人を喪ってしまえば、今度こそ私の脆弱な精神は毀れてしまうだろうから。


 私と彼の関係は、喫茶店の店主と賓客。

 もしくは侍女と騎士である。

 それでいい、それがいい。


 私が長々とした釈明に決着を付け、顔を上げれば――自分がいつの間に俯いていたことすら分からなかった――アリスと視線がかち合った。南国の海を彷彿とさせる瑠璃色の瞳であった。


「だって似合ってたんだもの」


 どこか拗ねたような言い振りであった。


 窓から差し込む陽光を背景となり。

 彼女の西洋人形(ビスクドール)を思わせる容貌も相まって。


 同性の私でも息を呑むほどに綺麗であった。

 彼女の太陽の如し生命を、存在を強く感じた。

 失礼と思いながらも彼女に見とれてしまった。


 口許に残す曖昧な微笑と目許の陰影はウィリアム・アドルフ・ブグローの『二人の姉妹』のようで。舞台女優宛らの確たる存在感はヨハネス・フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』のようで。上目遣いをして、白い(はだ)に血色の良い頬、赤毛混じりの金髪などはピエール=オーギュスト・ルノワールの『可愛いイレーヌ』のようで――。


 私の胸に押し寄せてきたのは羞恥心だった。耐えがたい慚愧(ざんき)であった。こんなにも小さな、年端のいかぬ少女ですら己の生涯に真正面から向き合っているのだ。言い訳もせずに、泣き言も漏らさずに懸命に生きているのだ。


 彼女の折り鶴が真実を孕んでいたのは、きっとそういうことなのだ。彼女の在り方に由来するのだろう、という理解は遅れてやって来た。


 だから私は。


「あなたは、その鶴を誰に送るつもりなの?」


 と問うた。


 純粋に、この世界を生きる彼女が想いを寄せる相手がどんな者か気になったためである。そしてその殿方はきっと幸せなのだろうとも(もしかしたら女性という可能性もあるのかもしれないが)。


 だが彼女はすぐには答えなかった。

 おずおずと口篭もったのち。


「誰にも言わない?」


 とだけ聞いた。


「もちろん。だって誰に贈るのかは自由でしょう? 私にそんなことを話す相手もいないし、何よりも」


 私は、円卓の隅に除けられた小箱に視線を送る。そこには侍女長率いる清掃部隊の皆が折ってくれた鶴がぎっしりと収められている。数こそ多いが、それら半分以上の羽には、小さく控え目な文字で『ウィリアム様へ』などと宛名書きがされている。

 一応、他の者の名前もないことはないのだが――それは婚約した相手に向けたものであったり、馬の世話を一任されていた執事が愛馬の一頭一頭の名を記したものであったり、『生きて帰って金を返せ馬鹿野郎』という応援とも罵倒ともつかぬ最早宛名ですらないものであったり――例外に近いものだろう。


 数だけを見ればウィリアム様が一番多い。次点で副官のアルフィー様やカイル君。これでは人気投票もいいところである。何羽も貰った側は困るだろうし、一羽も貰えなかった者はただただ悲しいだけだろう。辛くて厳しい戦場にいるのに、それではあんまりな仕打ちである。


 だから、こうして、空いた時間を縫うようにアリスと二人で折り鶴をせっせと拵えているのだ。仮令(たとえ)、私の作る物が贋作でしかなかったとしても。


 (もっと)も、これに関しては私にも非がある。


 侍女長に「翼にお渡ししたい御方の名前を書いても?」と聞かれた時に「もちろんです。貰った側も嬉しいでしょう」などと軽々しく許可をしてしまったのだ。


 それがまさか、このような事態になってしまうとは。

 ウィリアム様の人気が凄いのか。

 それとも(わきま)えない侍女達が悪いのか。


 私の視線に込めた意図を察したアリスは、またも猫のような笑みを浮かべてから。


「あいつに渡したいの」


 と言った。


 はにかみながら前髪を(いじ)る様子は、まさに恋する乙女で。

 眩しさのあまり、私は彼女を直視することができなかった。


「あいつ? あいつってどなたのこと」


 私は目を逸らしたまま尋ねる。先刻、彼女が折った鶴を掌に乗せて鑑賞すれば、雑木林を力強く羽搏(はばた)く国蝶大紫(おおむらさき)のように――雀蜂(すずめばち)甲虫(かぶとむし)も、油蝉(あぶらぜみ)蟷螂(かまきり)も、ありとあらゆる外敵達をはたき落として――今すぐ想い人の許へ飛んでしまうかのように見えた。


「私があいつと呼ぶやつなんて一人しかいないでしょう。もしかして、わざと意地悪をしているの?」

「違うよ。本当に分からない。だってアリスは皆と仲良しだから思い当たる人が多過ぎるもの」

「それは、確かにそうかもしれないけど」


 アリスは逡巡したのち。


「オスカーに渡すのよ」


 と言った。彼女の頬はまるで林檎(りんご)のように朱色(あけいろ)に染まっている。心なしか、掌にすっぽりと収まる鶴も嬉しそうに見える。


「オスカー、さん?」


 しかしながら、私の鈍い脳髄は、その人物を思い出すまでに数秒の時間を要して――やっとの思いで、あの面頬に尖った兜を着用した男性を想起することに成功する。


 なにぶん初対面が初対面であったし、何より接点がないのだ。まともに会話した記憶など、ここに運び込まれたカイル君を治療した時ぐらいであった。


 アリス曰く、以前はよく顔を出していたらしい。そして常連達と賭け事に興じたり、ひとり酒を静かに飲んでいたり、気が向けば仕事を手伝ってくれたり、商店区画で買った菓子や軽食を差し入れてくれたりと――それなりに弁えていたらしい。


 しかし最近になって、その来訪もぱったりとなくなってしまったという。


「なによお、黙っちゃって。やっぱり変だと思う?」

「ううん、そんなことないよ。ただ、私とはあまりにも接点がないものだし、反応に困ってしまったの」

「そっか。言われてみれば、葉月とオスカーが二人で話しているところ、見たことないわ」

「うん。向こうからしたら、私をよく思っていないのかもしれない。お爺ちゃんとも色々あったようだし、もしかしたら避けられているのかもね」

「それは違うんじゃない? あいつはそんなに殊勝(しゅしょう)じゃないわよ。なんて言ったって、お酒が足りないからって消毒液を舐めるような底抜けの馬鹿なんだもの。考えすぎよ」


 アリスは、けたけたと愉快そうに笑って私の考えを否定してくれた。


「もう。さっきから笑い過ぎ。仮にも好きな人なんでしょう。それなら、あいつとか言わないで、ちゃんと名前で呼んであげないと失礼でしょう。他の人が聞いたら失礼に思うかもしれないよ。騎士様なんだから」

「葉月。あなたまた勘違いしているわ」

「え? オスカー様のこと、好きじゃないの」

「それは――違わないけれど、そういうことじゃなくて。あいつに様なんてつける必要ないってことよ。だって騎士なんかじゃないもの」

「え、そうだったの?」

「そうよ。月と星が墜ちてくる事件があってすぐ、私がここに拾われて――ほんの少しだけ経ったあとに葉月のお爺様と一緒にやって来たのよ。お爺様が、当時の団長に面倒を見るよう言いつけたわけ。だからあいつも私と同じ孤児(みなしご)。拾いものの(たぐい)なのよ。どっちが偉いなんて差異はどこにもないわ。しいていえばどちらとも偉くないのかしら。まあ、それはいいとして。うちで騎士として叙勲されているのはウィリアム団長だけよ。それもつい最近になってから――今の法王様に代替わりしてからなのよ。副団長はちょっと立場が別だけど。あとは皆、言ってしまえばただの荒くれ者、傭兵集団なのよ。実際、当時は紋章や旗印なんてものはなかったし、王都から認められてはいるものの、荒くれ共の集まりでしかなかったもの。あれだって国王様から贈られたものなのよ」


 アリスは本棚の横に吊された戦旗(バナー)を見遣る。その視線を追えば、緋色の生地に、剣と翼を象徴したような金糸が縫い込まれている。


 今まで誰にも聞いたことのなかった騎士団創設の経緯に興味が湧いてくる。今日は後に控えている仕事もないし、他部署が鶴を完成させるまで、このままお喋りして過ごしてしまっても良いのかもしれない。


「ねえ。アリスは、オスカーさんのどんなところが好きになったの?」


 先程の仕返しというわけではないけれど。

 私が訊けば、彼女は急にしどろもどろになってしまう。平生の、背筋をぴんと伸ばして、きっちりと構えている姿を見ているだけに、その姿は新鮮であった。


「優しくて、格好良いところ」


 アリスは答えた。

 だが、私にはそれがよく分からない。

 それが表情に出ていたのか。


「だって仕方ないでしょう。好きになってしまったんだもの!」


 自分の心に嘘なんて吐けないわ、と彼女は癇癪(かんしゃく)を起こしたように説明する。


 あんな人より、ウィリアム様の方が余程()いような気がするけれど――とは思ったが、敢えて口にはしなかった。

以下、小説とは関係ないゲームの独り言。

ダクソⅢの武器『竜血の大剣』の運用方法を考察してみた。


     *     *     *


前回はドイツ剣技が格好良い武器『竜血の大剣』の特徴および長所と短所を確認した。それを踏まえて運用方法を考察していくが、まずは前提条件すなわち主題を定めたい。主題ないし目標は以下の三点に絞る。


 ①侵入および協力のマルチプレイを考慮してSL132に抑える

  ・主要レベル帯の正確な情報がないため体感でしかないが

 ②対人にも攻略にも特化し過ぎない、使い勝手の良い能力にする

  ・対人ガチ装備の行き着く先は、手鎌とかガン逃げ術師になりがち。これでは勝っても負けても面白くない。面白くないゲームなどある意味が無い。よって自分も相手も、勝っても負けても愉しめる(愉しんでくれる)適度な熱戦を演出したい。ゲームとは娯楽なのだから。

 ③防具の追求はロールプレイを逸脱しない程度にする。

  ・強靱ガン盛りの特大ブンブンは見栄えがよろしくない。


上記、主題を踏まえたところで実際のステ振りと装備考察に移りたいが、その前に、強靱を確保する目安を設定したい。というのも、メイン武器『竜血の大剣』が、両手R1の強靱が持続発生共に優れているからである。これを活用するか否かで、ステータスの振り分けも大きく変わってしまう。以下、神攻略wikiから援用した情報である。


①自分が大剣両手R1を使用した場合。

 相手の両手R1を「一撃耐えられる」強靱は下記となる。

 ・大槌……53.63

 ・特大剣、大曲剣、大斧……47.67

 ・大剣……37.57

 ・槌……35.80

 ・斧槍……14.57

 ※記載なき軽量武器(鎌、長槍含む)は設定値なし。


②自分が大剣両手R1を使用した場合。

 相手の両手R1を「無限に耐えられる」強靱は下記となる。

 ・大槌……62.90

 ・特大剣、大曲剣、大斧……58.11

 ・槌……48.06

 ・斧槍……31.66

 ・軽量武器(拳、爪含む)……7.25

 ※短剣、刺剣、セスタスは設定値なし


以上を踏まえて現実的な数値を考えると。

まずは強靱を活用することにする(軽装フリンも考えたが相性が悪い)。

相手の大剣一撃耐えが可能である「37.57」以上をひとつの目標としたい。

この場合、戦技では特大武器も耐えられたような気がしないでもない。


――――――

 補足。達成可能な強靱の最大値は以下となる。

 体力40『寵愛の指輪+3』『ハベルの指輪』により装備重量102.82

 ここにハベル一式を装備すると強靱50.15、重量56.90

 更に『狼の指輪+3』を装備すれば強靱54.63

 この数値は「大槌一発耐え」の条件である53.63を上回り、題意を満たす

 この時、武器と指輪に割り振る装備重量は9.0程度

 (体力に40以上ステータスを割くのならその限りではないが)

 『竜血の大剣』および『セスタス』や『手鎌』、各種触媒や小盾も装備可能。

 ひとつの粗製ビルドとしては主題も明確過ぎるほどに明確であり、確かに面白い試みであるのかもしれないが、何より見栄えが宜しくないため採用しないものとする。

――――――

③各種防具の重量と強靱の比較および『狼の指輪+3』時の補正値

 ・竜血騎士シリーズ……重量32.9、強靱31.59(37.75)

 ・ファーナムシリーズ…重量30.4、強靱32.57(38.57)

 ・ロス騎士シリーズ……重量34.5、強靱37.70(43.30)

 華のある一式装備としては、そして『竜血の大剣』と似合うものはこれくらい。

 あとはファッションセンスにより個々の裁量で決めるべきところだろう。

 竜血一式と指輪で、目標強靱を確保できるのが有り難い。

 (『ロス騎士の長槍』でも強靱が確保できることは知っているが、技量20とそれなりの重量を要求されるため割愛する)


疲れたのでこんなもん。

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