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48.早朝のばたばたとした慌ただしい時間も過ぎて。

※書き溜めは58部まで保有。推敲および校正終了次第、順次投下予定。

※本作品は、フロムソフトウェア様の製品『DARK SOULS』シリーズ及び『ELDEN RING』に多大なる影響を受けていることをここに白状致します。ステマでもなくパクリでもなくダイマ。

※エルデンリングのDLCっていつ発売されるんですかね? 心配で夜しか眠れません。

 早朝のばたばたとした慌ただしい時間も過ぎて。

 少しばかりの平穏と静寂を取り戻した医務室のこと。


「葉月って、ウィリアム団長のこと好きじゃないよね?」


 部屋の中央に置かれた円卓に向かいながら、千代紙を弄んでいた侍女アリスが尋ねた。

 彼女の手にある完成途上の鶴は何度も折り直され、あちこちに癖がつき、表面を擦られて金粉が剥がれ落ちてしまい、相当に虐められたようではあるが、それでも作品に込められた熱意を一目で汲み取ることができるのだから不思議なものである。


 私が折った、寸分の誤差も許さぬ精緻の極みを尽くした物とは対照的であり、受け取る側も、私より彼女が作ったものを貰う方が嬉しいと思ってしまうだろう。そう容易に想像できる程度には、彼女の鶴は魅力的に見えた。


 ――果たして。


 私は考える。

 その感想は一体どこから来るのだろうか、と。

 私が、彼女の努力をこうして真正面から見て知っているからか。

 或いは、人間の想いというものは、それが強くなればなるほどに作品の形状を歪めてしまうが、その歪みこそが精彩の根源なのだと――込められた感情を類推できる、およそ人間のみが進化によって獲得した共感性に依るところなのか。


 『神は細部に宿る』(God is in the details)とは十九世紀独国の建築家ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエの言葉と一応はされている(諸説あるらしいが割愛)。物事の本質を決めるのは細部への拘りという意味である。なお、時には『悪魔は細部に宿る』(The devil is in details)などと変容して、細部に潜む罠、即ち一見簡単に見えることも予想以上の時間と労力を費やしてしまうこと、という意味にもなってしまうが。


 いずれにせよ。


 私はそれら明言ないし格言を、座右の銘とまでは言わずとも正しいと思って生きてきた人間である。事実、私の前に並べられた鶴達は皆、行儀良く翼を揃えて整列している。


 彼女の熱意ゆえの拙さにこそ価値があるとしたら。

 逆説的に、私が作った物など塵芥も同然ではないだろうか。


 無論、私とて。

 機械のように淡々と折ったつもりはない。

 皆の無事を祈り、真心を込めたつもりではあるのだが――。


 日本語というものは実に便利な物で。

 下手上手へたうまという言葉がある。

 主に、絵画や美術の方面に用いられるものであり、技術的には稚拙ながらも、その稚拙さが個性や魅力に直結する、喜ぶべきか悲しむべきか悩ましい現象のことである。


 喩えるならば。

 居酒屋の壁に掛けられた品目の書体が、利き手とは反対の手で書いたかのように敢えて崩していたり。漫画や絵画の世界でも、過度なデフォルメとして、戯画として描かれたりすることは往々にしてあるだろう。新聞などでよく目にする風刺画もこれに近いかもしれない。


 尤も、ここでいうところの拙さが、意図的であるのか、商業的ないし広告的にわざとそのように振る舞っているのか、それとも主題をより効果的に表現するために敢えてそのような手段を執らざるを得なかったのかは場合によりけりだろう。


 画家であるピカソ――本名は長すぎるためこれまた割愛――などの作品群が良い例だろう。代表作の『ゲルニカ』や『泣く女』などがまさにそれである。

 尚、よく代表作ばかりが取り沙汰されて、この程度なら誰にだって描けるだろう、などと見くびられてしまうが、それは大きな誤りである。何を描かせても本当に上手い人なのだ。素描の林檎ひとつ見ただけで、私はその精妙な技術に戦慄したほどである。


 個人的な見解を述べるならば。

 それが赦されるならば。


 幼い時分より、こと芸術における英才教育を施されたひとりの人間としては――書道、音楽、絵画、陶芸、彫刻、何でもござれだ。尤も、兄の死を契機に止めてしまったのだが――下手上手という概念は何となく認める気にはなれなかった。

 先に挙げたピカソのようなごく一部の真実は例外中の例外としても、この世に氾濫する多くの下手上手は邪道のように感じてしまうのだ。


 本当はもっと上手にできるのだが、しないだけだよ。

 わざと下手を装っているのだ理解してくれ給え――。


 などといった打算とも虚栄ともつかぬ、どこか言い訳染みた潔の悪さを感じてしまう。私の審美と信念に間違いなく抵触する。実力があるのなら、つべこべ言わずに己の信じた路を行くしかないのに、どうしてそれが分からないのだろうか――という反感を抱いてしまう。


 いずれにしても。


 他人の心を動かせるのは真実だけであり、今アリスが悪戦苦闘しながらも作っている鶴は紛れもなく真実なのだろう。

 他方、私の作ったものは贋作である。まるで単性生殖か鋳型で鋳造でもしたかのようである。個性の欠片もない大量生産品である。一応、奇跡の依り代となるために、敢えて空虚に作らざるを得なかったと弁明できなくもないけれど――それでは私が忌み嫌った下手上手そのものである。


 私と彼女では、何が違うのだろうか。


 画竜点睛を欠く。仏を作って魂入れず。などといった諺が脳裏を掠める。

 確かに、まだ奇跡は込めていない。アリスの他、別の部隊――厨房や食堂、書庫や執務室、倉庫や厩など――で働く侍女達が持ってきてから。数を揃えてからのつもりであった。


 そも、奇跡云々は関係ない。

 私と彼女では同条件なのだ。


 それならば一体何が違うのだろうか。

 彼女にはあって、私には無いものがあるのだ。

 無いものがある、とは実に奇妙な言葉であるが。


 ――何だか、嫌な予感がした。


 私は何かを見落としている。

 それも致命的な失態を。


 この胸騒ぎは。

 兄が自殺する前に見せた、透明な微笑を見た時と酷似していた。


 尤も、当時の私は鈍くて愚かであった。

 兄が抱えた病理に、苦悩に、気付けなかったのだから。

 この世を去ると心に決めた人間は、雰囲気が薄くなり透明になってしまうのだ。その癖、瞳の色は墨汁を垂らしたかのように真っ黒で――。


 普通の感性を持った人間ならば異常だと察知できるのだろうが。

 あろうことか、胸の高鳴りを恋愛感情による高揚と錯覚して。

 兄と血が繋がっていないことに感謝して。

 明日はどんなお洋服を着ていこうかな、嗚呼でも習字の稽古があるからお気に入りの白い洋服は着ていけないなあ――などと少女らしいことを考えて。


「ねえちょっと。聞いてるの?」


 やや強いアリスの呼び声で我に返る。

 長いこと物思いに耽っていたらしい。


「ああ、ごめんなさい」


 私が素直に詫びれば。


「目を開けたまま眠れるなんて妙な特技を持っているのね」


 とアリスは感心とも呆れともつかぬ顔をする。


「ええと、何の話だったの?」

「ウィリアム団長のことよ。前々から不思議に思っていたのよ」

「ウィリアム様がどうしたの?」

「だからあ。好きじゃないんでしょ?」

「それは――」


 確かにそうである。

 あの愚弟と同じ事を言うのも癪であるのだが。

 私は、もう二度と誰かを好きにならないと決めている。私の中の誠実さが穢れてしまうような気がするから。私などに好かれる方もきっと迷惑だろうから。


 だが質問の意図が掴めないため私は返答に困ってしまう。


 アリスならば違うのだろうが――余所の侍女達にこんな話をしてしまえば、好きじゃない、即ち嫌いなのだと吹聴されてしまうだろう。


「そうね。尊敬もしているし、立派な方だとも思ってはいるけれど。好きじゃないよ」


 ゆえに私は。

 取り澄ました顔で、予め用意していた答えを述べる。


 これを言うだけで、意地悪で噂好きの侍女達は、こっちが不思議を覚えるくらい素直に引き下がってくれるのだが――アリスは違った。寧ろ、そんな他人行儀な返答が気に食わないとばかりに目を怒らせる。


 尚、ここでひとつ明言をしておくが。

 私個人としては、数人の意地悪で噂好きな侍女達を、面倒だとか億劫だと思うことはあっても、厭だとか嫌いだと思ったことは一度もない。会えば当然挨拶も交わすし、世間話だってする。忙しい日には互いに仕事を手伝いもする。何か危害を加えられたり、私物を盗まれたりといった被害はない。日本で起こるような虐め(という名前の犯罪行為)はない。お互いに大人であるのだ。してはいけないことの良識はあるのだ。

 それに、彼女達が私に強く当たりたがるのも分かるのだ。ぽっと出の新人が、親の七光りの如し強固な後ろ盾を良いことに偶像の側に仕えるなど、仲良くしろと言う方が無理だろう。


「もう。私が聞きたいのはそんな月並みな言葉じゃないわ」

「それならどういうこと?」

「どういうことは私の台詞よ。どうして、あれだけ一緒にいてなんにも思わないの?」


 要領を得ない問答である。

 ウィリアム様へ好意を抱かぬ事がおかしいという、あんまりにもあんまりな言い草であった。

 私という個人の自由意志が認められていないような気がして。蔑ろにされているような気がして。薄情者だと誹られているような気がして――尤も、こればかりは事実だから弁解の余地なんてないけれど――少しだけ嫌な気分になってしまう。


「なんにも、は言い過ぎでしょう。尊敬しているし、立派だと思っているって伝えたでしょう。嘘は言ってないよ」

「でもそれは建前でしょ? だいたい、尊敬とか立派だとかも、良いところのお嬢様が、気に入らない許嫁やお見合い相手を、こてんぱんにやっつけるときの決まり文句なのよ? 私達の言葉で翻訳すれば――あんたに興味なんて粉微塵もありませんから、今すぐ私の目の前から失せて頂戴な――なんてことになってしまうのよ? ああ、そんな顔をするなんて。やっぱり知らなかったのね」

「……うん、知らなかった。教えてくれてありがとう。どうりで、皆の反応が可笑しかったわけだ」


 しかし、そうなってくると。尊敬や立派という便利な単語が封じられると。社交辞令も迂闊に述べることさえできないだろう。そもそも、下手に喋るなと考えるべきだろうか。


「なあに。何かあったの?」


 首を傾げるアリスに、私の説明を聞いた侍女達が妙な顔をしてすごすごと去ってしまったことを話せば、彼女は、それは迚も愉快そうに笑い出してしまった。


「ちょっと。笑い事じゃないでしょう。いくら知らなかったとはいえ、とても失礼なことを言ってしまったんだから。ああ、でも。直接謝るわけにも行かないよね」


 きっと周りの人間には、私がさぞ滑稽に見えたことだろう。何せ、新人が澄まし顔で断りの文句を堂々と放言しているのだから。彼女達が指摘しなかったのは意地悪でも何でもなく、寧ろ、私に恥をかかせまいとした優しさなのかもしれない。武士の情けならぬ侍女の情けとでも言おうか。


 私ひとりが馬鹿にされるのは。

 揶揄されるのは別に構わない。

 というよりそれが事実なのだから釈明のしようがない。

 事実にいくら反論したところで醜い弁明にしかならないのだから。


 けれども。


 私の謂われのない言葉が、あの青年の耳に入ったかもしれないことを思えば。気分を害してしまうのではないかと思えば。私は少しだけ憂鬱になってしまった。

今更ながら主人公と他キャラクターのイメージが固まってきた。少しばかりの愛着すらも。今後は、地に足のついた小説になってくれると思う。多分、きっと。


     *     *     *


以下、小説には一切関係のないゲーム『DARK SOULSⅢ』の独り言。本編よりも熱意があるのもいつものこと。ご愛敬ってやつ。


以前、私の好きな武器は『打刀』と申し上げましたが、もうひとつあるんです。それは何かと言うと『竜血の大剣』です。この後書きにおいて、竜血の大剣の紹介と「メインで運用した場合」を具体的に考察するにあたって使用者もとい信者が増えてくれればいいなあと思う次第です。


『竜血の大剣』の特徴および長所と短所

①各種モーションが特徴的、両手片手問わず封印推奨の死にモーションが無いこと

[利点]両手R1のドイツ剣技が格好良い。三段目の横薙ぎが相手のローリングに引っ掛かりやすい。また強靱の発生が早く持続も長いため、強靱で有利な軽量武器相手には相性が良い。片手R1が突き(クレイモア)。両手R2が横薙ぎ(バッソ)。聞けば、両手R1中に軸ずらすことでパリィ対策が可能らしいが私は試したことがない。なお竜血の大剣に限った話ではないが、大剣であるがゆえに片手両手共にR1とR2は先端パリィ不可。覚えておいて損はないだろう。

[短所]両手R1の初段が遅い。汎用モーションは38F、竜血は42F。この4Fの差は意外に大きい。その遅さ故に道中のモブ相手には被弾前提となる場合もあり周回を重ねれば重ねるほどに致命傷となってしまう。また対人においては自分から攻めたところでまず当たらない。そしてハベル一式を着込んだ特大武器を振り回す相手は特に苦手。軽量武器相手でも強靱を恃みに置くか被せるかなど一工夫しなくてはならない。


②重量6.0と大剣カテゴリーにおいて最軽量であること

[長所]浮いた重量を他の武器や防具に割り振ることができる。またスタミナ消費も軽く、片手両手共に消費25のみである。これは打刀の片手R1と同値。盾を構えたモブ相手には、ブンブン振って盾を崩してからの致命という脳筋ごり押しプレイが可能。

[短所]言うまでも無く短小であること。


③要求能力は筋力18、技量16

[長所]筋力18以下で要求値を満たす武器に優秀なものが多い。具体的には「黒騎士の盾」「アーバレスト」「竜断の斧」など。次点で「パイク」「つるはし」「大木槌」「カーサスの大曲刀」「黒刀」など。私は見た目性能を求めて「渇望の盾」を背負ってます。一応、ヨルシカの槍、スナイパークロスもあるけれど……。

[短所]短小の癖に要求値が重い。信仰60の純バサはもとより筋バサや技バサにっても厳しく、基礎ステータスのいずれかを犠牲にしなくてはならない(あくまでSLを抑えて侵入や対人を愉しむ場合の話だが)。侵入や対人を一切考慮しないなら気にならないポイントである。


④物理・魔力・雷の三属性を持ちながらエンチャント可能であること

(補足として粗製+10の攻撃力は物理271、魔力142、雷142)

(筋力18技量60鋭利+10の攻撃力は物理300、魔力142、雷142)

(黄金松脂は雷+95で60秒、薬包は雷+120で11秒、青白い松脂は+90で60秒)

[長所]属性攻撃力を持つゆえに致命攻撃力が高い。流石に属性ダガーには少々劣るが体感では他の物理大剣の二割程度は高い。また攻略対人問わず盾の上からでもガンガン強気に削っていける。/魔力属性は『暗月の剣』、雷攻撃力は『雷の剣』で底上げ可能であるため、これ一本で相手を選ばず幅の広い攻略ができるという意味で信仰ビルドとの相性が良い(どちらの奇跡も、攻撃力=基礎値95*魔法修正威力%、信仰30『タリスマン』では+133、信仰60『ヨルシカの聖鈴』では+235)。またこの場合、防御力の計算式に関わる貫通率の上昇閾値である攻撃力250を達成しやすいため火力が伸びる。/祝福派生では信仰補正値が物理と雷の双方にかかるため、攻撃力の伸びが良い。具体的には、筋18技16信仰60の時、物理158+172=330、魔力92。雷92+84=176、計600程度。使っていてストレスはない。しかしこの場合エンチャントは不可能。

[短所]三属性に分散されているということは、相手の防御力も三属性すべてに適用されるという仕様上エンチャント無しの場合は実ダメージに伸び悩む。参考までに初周ゲール爺に対して、片手R1粗製+10で170。松脂エンチャで220~230程度。純粋物理大剣とは比較にもならないくらいに弱い。良くも悪くもエンチャントが前提になる。またそのエンチャ奇跡のひとつである『暗月の剣』の入手が非常に厳しい(銀騎士マラソン。私は五時間かかりました)。しかも役立つのが雷属性に耐性のあるボス『竜狩りの鎧』か『無名の王(本体)』くらい。もっと言えば信仰30まで上げているのならば前者は呪術『混沌の火の玉』か『混沌の苗床』ポイポイでも良いわけだし、後者は奇跡『ドーリスの蝕み』を引き撃ちしていれば良いのだから「べつに暗月剣を入手しなくてもいいんじゃね?」という具合になりがち。雷属性だけを見るなら『竜断の斧』というもっと優秀な武器があるし。十分ではあるけれど必須ではない。困難と成果がまるで見合っていない。でもロマンはある。


疲れたのでこのへんで。

ダクソⅢ何周もしているくせに今まで闘技や対人には触れてきませんでしたが、いざやってみると中々面白いかもしれない。竜血騎士の格好でプレイしている下手くそがいたらそれは私です。良ければ相手してやってください。

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