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6、念願の"冬眠"を開始

いつもご覧いただきありがとうございます!


前回のあらすじ

エルフ嫁は肉食獣

「さぁ、トーキ、冬眠して」

 準備はとんとん拍子で整った。

 ゾォンがレッサーキマイラを討伐した褒賞で家を買い、

 ゾォンがヒュージスライムを討伐した褒賞で食料を調達し、

 ゾォンがワイバーンを討伐した褒賞で天蓋付のふかふかベッドを購入した。


「俺完全にヒモ!」

 冬眠しなくても、このまま生活していけるのではないかという錯覚に陥ったトーキだが、自分に"初志貫徹"と言い渡し、冬眠にチャレンジすることとした。


 ふかふかベッドの布団をめくり、中に潜り込んだ。

「おぅふ」

 これまでのベッドは、ベッドじゃなかったのだ。ただの箱だったのだ!

 トーキが少々正気を失うほどに、その寝心地は良かった。


「あ、その、ゾォンは、大丈夫なのか?」

 今更ながらに気になり、トーキはゾォンに問う。

「大丈夫。私は待てる。春になったらお願い」

 何を"お願い"されているのか不安になったトーキだが、気にしないことにした。


 とりあえず目を瞑るトーキ。そして、



「あの、ゾォンさん?」

「なに?」

 やけに近くからゾォンの声がした。

「そこで何を?」

「トーキを見ている」

 トーキは恐る恐る目を開く。

「ひっ!」

 いつぞやのごとき、ギラギラと怪しい光を宿した瞳が目の前にあった。


「そ、そこで何を……」

「冬眠するトーキを見る」

「もしかして、冬眠中、ずっとそうしているつもりで?」

「私とトーキはずっと一緒」

 ゾォンの狂気()に戦慄するトーキ。

「あ、あの、せめて、冬眠に入る時だけは一人にしてほしいかな……って」

「……」

 ゾォンはその目を見開き、今にも目から光線でも発射しそうなほどにトーキの目を覗き込んでくる。

 そして一瞬表情をゆがめたかと思えば、すぐさま顔を離して踵を返した。

「わかった」

 一言呟いたゾォンは部屋を出て行った。


 "少し可哀そうなことをしたかな?"と一瞬考えたトーキだが、冬眠に入ったらずっと観察しに来るのであろうことは予想できたため、気にしないことにした。


「では……」

 改めて目を瞑ったトーキは、"冬眠"スキルの発動を強く念じつつ……、

「冬眠」


※=================-□×


冬眠を開始します。よろしいですか?


[Yes][No]


=====================



「ついに、ついに来た」

 一年の約半分を寝て過ごせるとはなんと素晴らしい。これぞ真のスローライフ。

 トーキは万感の思いで[Yes]を選択した。



※=================-□×


コンパイルエラー:変数が定義されていません。


[OK]


=====================



「……は?」

 トーキは目を開き、体を起こした。

 視界の真ん中には「コンパイルエラー」が表示されている。


 何をされたのか全く分からない。頭がどうにかなりそうな気分なトーキは、しばし茫然と"コンパイルエラー"を眺めた。



 たっぷり数分経ち、少し冷静になったトーキは、どうしたものか、と、しばし逡巡する。しかし、このまま放置しても仕方がないため、[OK]を突いてみた。

 メッセージが消え、新たに白い画面が出現した。何やらアルファベットらしき文言が大量に記載されている画面の中央部、1行が黄色く反転し強調されている。

 反射的に画面右上にある×印を突いてみた。



※=================-□×


このコマンドを使うとデバッグは中断します。


[OK][キャンセル][ヘルプ]


=====================



 [OK]を突くトーキ。


 画面は消え、いつもと変わらない視界が戻ってきた。


「……」

 トーキは再び布団に潜り込む。

「冬眠」



※=================-□×


冬眠を開始します。よろしいですか?


[Yes][No]


=====================



->[Yes]



※=================-□×


コンパイルエラー:変数が定義されていません。


[OK]


=====================



「管理者! 一度もテストしてないのかよ!!」



後に管理者は語る


「異世界行ってまで"冬眠"とかするわけなくない? どうせ使わないって、"冬眠"なんて」

 以上、"なぜ一度も試していないのですか?"の問いに対する答えでした。


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