希望の戦闘スタイル
三話です。楽しんで頂けたら幸いです。
キョウカさんに出会ってから数日が経った。
いくら切り替えて頑張ろうと心に誓っても、10年過ごした家を追い出されて死にかけたんだ。
流石にそんなに早くは切り替えられない。それどころか毎日あの光景を夢に見る。
キョウカさんはゆっくりでいいと言ってくれるがいつまでも引きずってはいられない。
早く一人で生きていけるようになりたい。
「キョウカさん、俺強くなりたいんだ!」
「もう大丈夫なの?なら良いのだけど‥‥」
優しいなぁ、本当に…
「フレくん、外に出るわ!準備して!」
フレくんとは、キョウカさんが親しみも込めてと起きたら急に変わっていた。
本当はフレンドリアって呼ぶのがめんどくさいだけなんじゃ? まあいいか。
家の外に出ると、
「フレくん、魔法はどんなのが使えるの?」
「全然使えませんよ…」
「いいからいいから!」
「えっと…‥下級の魔法は大体使えますけど、中級になると使う前に霧散します」
「その歳だとちょっと微妙ね」
「はい…なのでどうにかしたいのですが」
「戦いは魔法だけじゃないわ、勝てばいいのよ、勝てば!!」
「でも‥‥」
戦いになったらそうもいかない。
この世界では魔法が主に戦闘で使われる。
近距離で斬りつけるよりも、遠距離で魔法をぶっ放す方が断然強いからだ。
魔法の中では下級、中級、上級、宝級、魔級、神級の6つに分類される。
10歳にもなれば下級は大体使え、中級もちょこちょこ使え、
貴族は教師などが付き教えられるので、上級も使えるものも出てくるという。
しかし、上級と宝級との間には大きな壁があり、宝級の魔法を使えるものは例外なく天才であり、歴史に名を刻むものも少なくない。魔級にもなると世界に5人といないと言われている。
神級はいるのかもわからない完全に伝説の存在である。
「たとえば身体能力を強化して魔法をかわすとか?」
身体能力の強化?そんなことできるの?
「どうやって?」
「魔法を使う時には魔力を消費するでしょう?」
「‥‥‥まあそれは」
魔力量は人それぞれであり、後々に増やすことも可能だという。
しかし、上級の魔法くらいでは魔力消費もそこそこなので魔力量は増やす必要はないと言われている。
「その魔力を体全体に流すのよ、そうしたら身体能力が何倍にも跳ね上がるわ!」
そんなことしたら魔力がすぐに尽きて動けなくなるぞ。
流した魔力はすぐに体の外に出ていく。
「今そんなことしたら魔力がなくなるって思ったわね」
またもや図星です。流石ですね本当に……
「そうですよ、そんなことしてたらすぐに魔力が無くなって動けなくなりますよ!」
「そうね、だから増やしなさい!いくら使っても無くならないように、幸い魔力量は増やせるし、増やすのに才能は必要ないわ!」
まじですか?これは俺も戦えるように……
「でもどうやって?」
「魔法を魔力が空になるまで使いまくるのよ!そしたら増えるわ!」
何だそりゃ?簡単に聞こえるけど日に日に魔力量は増えていくけどそれを全部空にするってどんだけ魔法使わないといけないんだ?
「決まりね!当分は毎日魔力が空になるまで魔法を撃ちまくってもらうわ、空になったあとは私が軽く魔法を撃つから、頑張って避けてね‥‥?」
え???キョウカさんの魔法?荊棘のやつ?死ぬよ?
しかも空になった後って‥‥
「ちなみにキョウカさんって何級まで使えます?」
「魔級ね」
「っ!?」
それは封印されますよ‥‥‥
そこからはもうあの夢は見なくなった。
その代わりに、魔法を撃ちまくるキョウカさんの夢を見るようになった。
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