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蛸壷転生 〜前世で蛸壷、転生したら火山でドラゴンが住んでました。守れダンジョン! 燃えよドラゴン! 前世で俺をこき使った人間どもを燃やし尽くせ〜

作者: 氷見野仁

一発ネタ供養

 グオオオオオオオオオオオオオオ......


 なにか、底冷えするような怪物の呻きで、俺は目を覚ました。


 ここは......どこだ......俺は......蛸を......。


 なにか、体が熱い。そしてなにか大きなものになっている気がする。


 俺に目はない。目はないが、感じることで周囲の状況を把握できる。


 これは、長年俺が海に沈められたり、気分によって引き上げられたりした時に身につけた。


 俺は周りの状況を確認しようと、集中する。


 しかし、腹のあたりが熱いな...なにか頭の近くをデカイもんがウロウロしてる気もするし。蛸か?


 集中しろ、集中しろ......フンッ!


 グワッ 突然視界が開かれる。そして、その視界が開かれた時、見えたのは、グツグツ煮えたぎる火口と、カルデラ。山だ。


  ......山? ......山ぁ!?


『......俺、活火山になってるううううううううううううううううう!』


 これは、蛸壺だった俺が、異世界で火山になっちゃったお話である。


 ◆◆◆


 俺は、日本の明石ってとこで生まれた。高明な陶芸家が釜で焼いてくれたらしいが、その頃は生まれ立てで、よく覚えてない。俺のことをこき使った人間(ゴミ)が、他の人間(ゴミ)と話してるのを盗み聞きしただけだ。


 生まれてからは、毎日毎日溺れさせられ、死にかける毎日。唯一の友達は、俺んことを構ってくれる蛸だけ。

 その蛸も、なぜか引き上げられたらいなくなっちまう。悲しかったが、そういうものなのだと思っていた。


 したらある日、人間(ゴミ)が、俺を引き上げた時に言ったんだ。


「あちゃー、こりゃガッツリヒビ入ってんな。終わりだなぁ」


 俺はなにを言ってるのかはわからなかったが、そこからは早かった。


 自分は中にいた友達の蛸と一緒に火にかけられた。あの人間(ゴミ)がなにを考えていたのかは、わからない。でも、一つだけわかる。今までの友達は、こいつに殺されてきたんだって。


 そこで、俺と俺の友達は、一緒に苦しみながら、死んだ。


 そこからは覚えてない。そんで、この話の冒頭に戻るってわけだ。


 ◆◆◆


 とにかく、俺は活火山になっちまった。


 話だけは聞いていた、活火山。いつか爆発して人間どもを消し炭に変えてくれねえかなと思っていた活火山。


 それに、俺はなってしまった!!


『しかし、自由に動けねえのは前と同じだなぁ』


 少し残念だ。できれば、動けるもんになりたかったが......。まあいい。俺にはなにができるんだ?


 そう考えて俺は集中した。ふむふむ......ほほーマジモンの活火山じゃねえか! しかもこれは......ダンジョン!?

 

 ひゃー! 人間(ゴミ)がたまに読み聞かせをしてきた話の中でしか聞かないような、夢ん世界が俺の腹ん中に広がっとるやないけ! たまげた!


 しかも、これは......人間だ! 人間が俺の腹の中をもぞもぞ這い回ってやがる! クッソ! 今すぐぶっ殺してやる!


 ......ぶっ殺してやるとは言ったが、手段がない。できること......できること......。そう考えていると、ピコン! となにかが頭の中に流れ込んでくる。


『ダンジョンの床や壁面などを動かせる......?』


 そんな、よくわからない情報が手に入ったので、早速人間の周りの床を動かしてみることにした。


 ◆◆◆


「しっかしここは熱いっすねえ、リーダー」


「火山だぞ、当たり前だ」


「火山さーん! 気温落としてくれませんかー!」


「ははは、火山に語りかけてもやってくれるわけないだろう」


「それもそうっすね、わははははは!」


 こいつら、バカみたいな会話しやがって......目にもの見せてやる、オラッ!


 ボゴ!


「うわっ! 地面にこぶが!!!!」


「おいおいマジじゃねーか、火山が怒ったんじゃないか? 謝っておけよ」


「すっ、すいませんッス! バカにして! ......プッ、ククク、ククク、ワハハハハ」


「がははははははは!」


 ......全力で動かしたが、床がちょっとボゴってなるだけだった。ボゴッって......。


 こいつらぁ〜〜〜、マジでムカつくぜ! どうにかしてぶっ殺してやるからなぁ......!


 しっかし、壁とか床がボゴッってなるだけでどうやって殺すんだよ!!!


 そんなことを考えてたら、またあの腹の底から冷えていくような、あの、グオオオオオオオオ、って声が聞こえてきた。まあ錯覚なんだけどよ、活火山だし。


 そういや、さっき頭のあたりで感じたモゾモゾした感覚が解決してないな。どれ、見てみるか。俺はまた自分の内面に集中する。すると、なにか大きなトカゲのようなものが、巣を作って住んでいることがわかった。


 こいつは......もしやドラゴン! これは使えるんじゃないか!? こいつに人間殺してもらえばいい!


 ドラゴンマスターに俺はなる!


 ◆◆◆


 グオオオオオ!!!


「うひゃ〜ドラゴンの声ッスよぉ〜リーダー!」


「怖がるな、この火のダンジョンのドラゴンは再奥に住んでて普通じゃ会わねえ。さっさと目当てのもん集めて帰るぞ!」


「へ、へい!」


 なるほど、このゴミどもはなにか探してるらしいな。絶対に渡さん! ドラゴンさーん! やっちゃってくださーい!


 ボゴッ! ドラゴンの座っていた場所の地面が盛り上がる


『ゴ、ゴァ?』

 

 よしよし、違和感を感じてるな。いいぞいいぞ、もっとだ。


 ボゴボゴッ、ボゴッ!


『ゴアアアアア!』


 よっしゃ、キレたぜ! あとはこいつを誘導するだけだ!!


 ボゴッ、ボゴッ。俺はドラゴンの目線の先にある地面をいじり盛り上げる。


 ドラゴンは、キレてその盛り上がりをどんどん追いかけていく。


 いいぞいいぞ! このままあの冒険者どものところまで誘導してやる。


 そこは右、そこは左、そうだその段差を降りろ! いいぞ!


「ちょっとリーダー、なにか地響きしません?」


「た、たしかに。噴火でもするのか?」


「ちょっ、勘弁してくださいよ。死んじゃいますよ」


 グオオオオオオオオオオ......


「なんか上から聞こえませんか!?」


「バカやろう! 気のせいだろが!」


 グググ、2人は頭上を見上げる。


 ドラゴンが、覗き込んでいた。


『グオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアア!!!!』


「リーダー! 奥地にしか出ないって言ってませんでしたか!?」


「うるせえ!!!!! 逃げるぞ!!!!!!」


「うおおおおおおおおおお!!!!」


『グオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』


 うははははははは! 人間が必死に逃げてやがる! 前世で散々こき使いやがって! ドラゴンさん、消し炭にしてさしあげなさい!


 そうだ、いけいけ! いけいけ! 出口から出る前に仕留めろ! おい! なんで追いつけないんだよ! おいコラァ! 人間のくせに足速すぎるだろ! ちょ、ドラゴンさん! 入り口まででいいっすよ! そこから先は知覚できな......あーーーーっ!!


 ドラゴンが、ダンジョンからいなくなってしまった。 くそッ! あいつが戻ってこなかったらどうなる? むむむ、まさかここあいつ以外生物いないのか!? やばい!


 ......ここって活火山だよな。俺が、活火山......。もしかして、俺、死ねない? 何ぃぃぃぃぃいいぃぃぃい!? 誰か! 誰か助けてくれーーー! 暇で死んじゃうよーー! 寂しくで死んじゃうよーーー!


 ◆◆◆


〜千年後〜


「ここが火山の街ボルケノスか〜。すごい栄えてるな〜!」


「そうだろう、そうだろう。この火山は休火山になってから、豊富な鉱物資源が取れるってんで、一攫千金を求めた人間に引っ張りだこさ」


「へぇ〜、なんで休火山になったんだろ?」


「なんでも、火山の精が、大昔に住んでいたファイアドラゴンを失って、そこから数百年泣き続けたんだとよ。したら、その涙で火山が冷えちまって、噴火しなくなったんだと。なんとも悲しい話だよな。友達を失うなんてよ」


「なんか、しんみりする話だね、お父さん!」


 そして、蛸壺は人間と仲良く暮らしましたとさ。

 

 めでたし めでたし

読んでくれてありがとうございました!


別で書いている長編

『自己再生なんて、ぜんぜんギフトじゃない!』

もよろしくお願いします!

https://ncode.syosetu.com/n3451gi/

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