ファンタジーの裏で
遅れてごめんなさい!言い訳ですけど、どうしても月末が近くなると仕事が忙しくなるんです!
今回はちょいと悲惨なこと描きます
ついにゴブリン集落を襲撃する作戦が始まった。
僕らは準備を整え西の門にやってきた。
そこには既に『踊る氷剣』と『潜むもの』のふたつのパーティーが集まっていた。
お?僕ら結構早くに来たはずやねんけどなぁ?一番襲撃組の中でランクが低い僕らがあとから来るって、なんか悪い感じするな。
「おはようございます。すいません遅れてしもて。次はもっと早くに来るようにしますね?」
「いえ、その必要はありません。ただ私たちが早すぎると言うだけであなた達も十分早くに来ていますよ」
「うん、そう言って貰えると助かりますわ」
良かった、僕らが特別遅いって訳じゃなかったんやな。まあ、30分早くに来て遅いって言われてもちょっと困るけどな!
「そう言えばこうして話すのは初めてでしたね。会議でも言いましたが私たちは『踊る氷剣』、そして私がリーダーのミシェルです。そして私の仲間である」
「オッス俺っちはハンスってんだ。なかなか話す機会が無かったが、これからよろしくな!ちなみに俺っちは斥候だからな、そんなに強かぁないがこの俺っちが罠なんか1発で見破ってやるぜ」
おうおうなかなか個性が強いな。会議の時黙っとったからそんなに喋らんのかな思っとったけどめっちゃ喋るやん。まあ、見た目からして金髪に染めてる感バリバリ出とってチャラい感じしたし、そうかな?とは思ってたけどな?
あ、ちなみにこの世界の人間って説明したかわからんけど髪の色は個性豊かでピンクに白に赤に、めっちゃ色んな色があるんよ。
「私はノン、一応盾役でやらせて貰ってる」
見かけはしとったけど近くで見るとドワーフやな。エルフ程じゃないけど耳が尖ってて、めっちゃ幼児体型や。大体身長は140センチ位か。昔のドワーフみたいに女の人でも髭ぼうぼう、なんてことになってなくって良かったなぁ。
「僕はディッシュってんだ。ちょっとイケメンだからってリーダーを狙ったらどうなるか分かってるだろうな?僕が許さないぞ!」
おや?おやおや?ディッシュ君君さてはミシェルさんに惚れてるね?あ、因みにディッシュ君はミシェルさんと同じくらいの年齢かな?二十歳くらいに見える。言動はちょびっと幼い感じはするけどね?
そうしているうちにほかのパーティも集まってきたようだ昨日参加の意思を見せたパーティーはほぼ全員集まってきている。
「全員集まったな?ではこれよりゴブリンの集落襲撃作戦を始める!」
『潜むもの』などのパーティーとは話せなかったけれど、一つだけでも上位のパーティーと話せただけでも収穫はあったというものだ。
それから僕達は冒険者らしくキビキビした隊列などは組まないようでギルド長を先頭にゾロゾロ歩いていった。
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...そろそろやな。もうちょいで前見つけたゴブリンの集落が見えてくる。一応ギルド長に報告しといた方がいいよな?
「...ギルド長、そろそろ集落が見えてきます」
「...そうか、全員止まれ。襲撃組以外の冒険者は集落を包囲しろ、出来たら渡しておいた信号弾で合図をするように、では散開」
「「「「応!」」」」
しばらく経ってから信号弾が打たれたのを見た。これが見えたということは僕らは突入って事やな!
「突撃!」
僕らはミシェルさんの合図に合わせて隠れていた茂みから飛び出すと質素な門を警備していたゴブリン2匹を素早く仕留める。だがどうやら見張りは他にもいたらしく、ボオオッ!と言う独特な角笛のようなものを吹かれてしまった。
ああ!クソ!さっきの角笛、襲撃してきた事知らせる物やったんやな!どんどんゴブリンが出てきよる!
「カイン君、絶対に無理はしない様に、危なかったらわたしを呼んでくれたらすぐに行くから」
「そうだぞ新人共、襲撃組に着いてこれただけでも感謝すべきなのだ。余計な怪我だけはしてくれるなよ。俺たちの評価が下がるかもしれないからな!」
おお、相変わらずミシェルさんは淡々としてるけど優しいねぇ、それに比べて自称鉄人!お前相変わらず傲慢チキやな!
「はい!わっかりました!」
「いざとなったら頼るけど、出来るだけ頼りたくは無いわね、あたし達はあたし達でのんびりやりましょ!どうせゴブリン達は逃げられないんだから!」
こうしている間にも襲撃組の三パーティはどんどんゴブリンを倒していく、どうやら普通のゴブリンとは違う、体格がいいものや皮膚が変化し、鎧のようになっているものなどが出てきたようだが、上位パーティの人達はあまり苦戦せず倒していた。
「カイン君、ゴブリンの上位種が出てきたわ。そろそろ集落の中心か近づいてきたようね、気を付けて、私達はあそこの1番高い建物に行くわ。カイン君達はそこの平屋建てのところに行ってちょうだい」
どうやらそういうことらしい。僕らは言われた通り、平屋建ての小屋に来た。
そこでは何やら異様な臭いが漂ってくる。なんか襲ってくるゴブリンも今まで腰蓑をつけていたのに対しコイツらは付けていない。
...いやな予感がしてきた
「2人とも、ちょい先に行くわ、なんか嫌〜な感じするからな!」
「分かった、私も嫌な予感がする、急いで行って上げて」
「おう、分かった!」
僕は腰蓑も巻いていない、棍棒も持っていないゴブリンを倒していき、近くにあった小部屋に入った。
...嫌な予感はしてたんや。イカ臭いし、ゴブリンは装備なんも付けてないしでな。
その答えは目の前にあった。腹が異常に膨らんでおり、痙攣して、髪もくすんだ状態になった女が荒い縄に繋がれていたのだ。
これは明らかに旅人をゴブリンが襲い女を集落に連れ込んでいた結果だ。
そう言えば冷静によく思い返してみると他にも小部屋は沢山あった。
僕は急いでその部屋を出て、隣の部屋、隣の部屋、と行ったがどれも同じような女性がいた。
中には腰を振るのに忙しかったのか僕らの襲撃にも気づかずずっと腰を振り続けるゴブリンもいたほどだ。さすがに気持ち悪すぎて後ろから斬りつけてやったが。
女はゴブリンに乱暴にされている状況でも意識を失っていなかったようで、ゴブリンが死んでいるのを確認したあと、切りつけた僕を発見したようだ。
「お願いします。私を殺してください...」
女性は死んだような顔をしてこちらを見てきた。
正直耐えられなかった。今すぐ楽にしてやりたかった。
ああ、そや、遺言でも聞いてやらんとな...
「遺言はあるか?」
「アルトザインにいる娘のコリンに伝えてください、復讐には生きないでね、と。娘はそこで冒険者をしているはずです」
後で知ったがアルトザインはルトリアの隣町だ。恐らく娘が独り立ちし、そのまま夫婦2人でラトリアの観光に来た時にゴブリンに襲われたのだろう。
「わかりました、必ず伝えておきます!辛い中、お疲れ様でした」
そう言うと女は疲れたような笑みを浮かべて目を閉じた。どうやら僕が楽にする前に既に体力の限界だったのだろう。
そうこうしているうちに討伐は概ね終了したようだ。頻繁に響いていたゴブリンの悲鳴が途切れ、何かを燃やす音がしている。
その後ふたりと合流し、平屋の外に出てみるとゴブリン達が塊になり燃えていた。どうやらこれを燃やしていたようだ。
女性の事は前々から予定されていたことでした。主人公にファンタジーなことだけではないよ、ということを知らせたかったからねぇ。
ついでに読み手にもね
あえてゴブリンの集落にしたのもこのためですね