裏通りで宿探し
無事チンピラ共を撃退したあと、受付のお姉さんに呼ばれ冒険者カードを受け取り、おすすめの宿を聞いてみることにした。
「すいません、おすすめの宿ってありますか?」
「今からとなりますと殆どの宿は取られているでしょうから、そうですね...。治安面では多少の不安はありますが裏通りの宿屋ならば取れるかもしれませんね」
「そうですか...」
う〜ん、表道理は厳しいと。まあ言うて表通りの宿を取るほど金に余裕はないしな。
表通りって何か高いイメージあるしな、うん...。言い訳や無いよ?
外に出てみると入る前は夕方だったのが冒険者登録に時間を予想以上にくったのか、既に夜になっていた。
「今から探して宿、見つかるかしら?」
「分からんけど全力で探さんと今日は野宿ってことになるぞ?」
「それはダメ。今から死ぬ気で探す...!」
そう言ってもなぁ。裏通りって今からの時間に入ったら受付のお姉さんが言ってたように危なそうやんなあ。
僕がそう考えているうちに2人はもうさっさと歩き出していた。
もう夜やからそんなに人がいやんからいいものの、勝手に行ったらあかんやろ!
「2人とも待ちぃ!何2人だけで行っとんねんや!」
「だって早くしないと宿が全部取られちゃうかもしれないじゃない!カインも街に入る前の行列を見たでしょう!」
「分かっとるけど行くんやったら一声かけぇや!もう夜やねんぞ、拐われでもしたらどうすんねん!」
「確かに、ごめんね...」
「考えてなかった...」
「いや、分かったらいいねんけどな?ぼうっと突っ立って考え事しとった僕も悪いんやしな」
ちょっと強く言いすぎたかな?
まあ、特に何事も無かったし早くリスクあるとしても裏通り行って宿見つけやんと...!
そんなことを考えていると丁度裏通りから出てくる少女に声をかけられた。
「すいません。宿をお探しでしょうか?それならうちの宿、『癒しのロウソク亭』へ来ませんか?あ、自己紹介がまだですね!わたし、お母さんと宿をやってます!アンです!」
話しかけてきた少女は赤髪にそばかすが可愛いだいたい10歳くらいの子供だ。
お、おう。めちゃくちゃ喋る子やな。ううん、この子何か嘘つかなそうな雰囲気やしうかつかもしれんけどついて行くかぁ。
「エリス、サリア。ついて行こって思うんやけど、どうやろ?」
「いいんじゃないかしら?」
「この子、嘘つかなそう。裏通りでたまたま行って騙されるよりも、よっぽど良さそう」
「では話もまとまった様なので私の宿屋に案内します!」
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ついて行くこと数分、裏通りに入りしばらく歩くとあまり目立たない場所に宿やがひっそり1件だけ立っていた。
どうやら目的地はあそこみたいやな。裏通りやけど特にボロいって訳でもなく、まあ綺麗とも言えんけど外見だけで言うと問題は無いやろ。
「ここがわたし達家族でやってる宿屋です。...おかあさん!ただいま!お客さん連れてきたよ!」
「おかえり、アン。いらっしゃいませ、この宿屋で女将をしています。マリーと言います。皆様、同じお部屋でよろしかったですか?」
「え?いやいや、一人部屋と2人部屋でお願いします」
「ええ!おにいさん達、恋人さんじゃなかったの?」
確かに2人といたら恋人に間違われてもおかしくないんかな?いや、でも2人もも僕の恋人って言うのはどうなんや?確かにハーレムって異世界でのロマンのひとつやと思うけどさ?
いや、僕はそれでも全然良いけどな?へへへ、つってな。
「違うわよアンちゃん、あたし達姉妹はこのカインって言う不審者に助けられたんだよ」
「いや、不審者ってなんやねん。こんなにイケメンなんも珍しいんやぞ?」
「おにいさん!仮面つけてるせいでお顔全然見えないよ?」
ははは!確かにな。まあ、僕もイケメンって自分でも言ったけどそんなにイケメンじゃないってことは自覚してんよ?
でも1回くらいは自分イケメン!って言いたいやん?だから2人とも、そんなに不思議なもの見るような目で見やんといてや...
「ま、まあそれはそうとして、晩御飯の準備は出来ていますし、早速お召し上がりになったらどうですか?」
マリーさん、その心遣いはすごくありがたいです!
「ありがとう、いただくわ!」
「わたし、もうお腹ぺこぺこ」
「あら、それは大変すぐに準備しますね!」
それからは本当に早く、5分も掛からずに夕飯が出てきた。
「美味しかった〜!ご馳走様!」
「お粗末さまでした。では早速皆さんが泊まるお部屋に案内しますね。こちらです」
案内された先は2階への階段をあがって3番目の右側の部屋が2人の部屋、その向かいの部屋が自分の部屋だった。
明日は本格的に冒険者の活動を始めるか...。
収入がなくて出費だけがあるって状態も全くもって良くないしなぁ。
モチベーションが下がってきてしまったので、また1週間ほど休みを貰うかもしれないです!
まじすんません!