護衛のお仕事
エリスの成長の切っ掛けを作れた後、僕らはその場を少しだけ離れ、テントを張ってキャンプした。
え?僕らはどうしたかって?最初は地べたで寝ようとしたけどグレン達に止められて、僕はグレンのとこに、エリスとサリアはベスタさんのテントに入らせてもらって寝た。
朝になり昨日狩っておいたイノシシの串焼きを食べ、残りを燻製にした所で僕らは護衛について聞いてみた。
「そう言えば僕達はザックさんの護衛になったわけやけど僕らはどういう立ち回りをしたらいいんや?」
「うん?あぁそういう事か。お前ら冒険者じゃあ無いやろ?」
グレンはこちらをじっと見てから、答え合わせでもするかのように自慢げに聞いてきた。
え?どういう事や?なんで立ち位置が分からんだけで僕らが冒険者じゃ無いって分かるんや?
「当たってるけど、なんで分かったんや?」
「そらぁな、護衛に誘われてホイホイ着いてくるっていう事、これだけやったら依頼が終わってその帰りやからっていう可能性もあるけど、護衛の依頼を受けたら受付嬢からどう立ち回るかの説明を受けやなあかん義務が最初わに発生するからな」
へぇ〜、なるほどな。以外とギルドもしっかりしてるんやな。
まぁそれもそっか、なんの説明もなしに護衛に着いて、商人とか、極端にいえば王族を護衛する時に教育を十分にしてなかったから無礼討ちされました。とかそんなん有り得やんしな。
「それで、護衛のポジションだったな?お前らは今回が初めての護衛だからな、俺らが馬車の周りの見張りをするからお前らは馬車の上に登ってそこで周りを見て警戒してくれ」
「おうわかった。じゃあお言葉に甘えさせてもらうわ」
ここの気温は地球とは違って涼しい。きっとガソリンを使ってよ機械もなければ、二酸化炭素の排出も少ないのだろう。もしかしたら地球で言うところの北半球なのかもしれないが。
「話し合いは終わりましたか?出発しますよ」
「しこし待って下さい。今から僕らが馬車に登って警戒をしますので」
「わかりました。襲撃もあって遅れているので、少し急ぎますから馬車から落ちないように気をつけてください」
あ、そっかそういう可能性もあったな。でもまあ、ちっちゃいけど柵も付いてるし、大丈夫やろ。
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なぁんて甘いそれこそはちみつに砂糖と練乳を混ぜたくらい甘かったんやって、すぐに思い知ったね。
馬車に乗って1〜2時間くらい、立ってたら振動でコケるからって座って警戒しとったら落ちるとは別に危険が潜んでたんや。
そう、お尻が痛すぎて割れそうって問題がな!よう考えたら当たり前の事やねんけど、道は土を踏み固めただけやし、馬車の車輪は木で出来とってゴムとかのクッション性はほとんど無いんやな。
つまり何が言いたいかって言うと、土のでこぼこでクッション性の無いタイヤがはねに跳ねてお尻に大ダメージを与えてくるんや。
...お昼休憩まだかな?
「魔物が出たぞ!グレートボアが2頭だ!」
これはおしりを回復させられるチャンス!
「僕らも行きます!」
「辞めておきな、ここは私たちに任せて周りの警戒をしといてくれ!何安心しな、昨日みたいなヘマはしないさ」
「は、はい」
僕、会えなく撃沈...
「カイン、残念だったわね!」
「大丈夫?お尻はお昼まで持ちそう?」
サリアが笑いながら言ってきて、エリスは心配そうにこちらを振り返りながら言った。
うおぉ、バレとったんか。サリアとかは案外へっちゃらそうやったから僕だけなんかかっこ悪いなって思って隠しとったのに...
無駄な努力やったか。
それからしばらく、戦闘音が消えた。どうやら特に怪我人もなく無事に倒し終わったようだ。
そこからは何事もなく4日が過ぎていった。
ちょっと早く主人公を街につかせたくて焦っちゃった。
てへぺろ!