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迷子の子猫

ミロはやはり子供だ…、

何がって、あの野郎迷子になってしまった…、

まったく勘弁してくれよ…。

真面目に少し尻でも叩かないといけないかね?

…とにかく捜すか…。




俺はとりあえずさっき座り込んでいたコンビニに行ってみる、

「ミロ〜?」

…いない…か。

となると誰かを俺と間違えてついていった確率が高いか…。

まったく、どのタイミングで…?

俺は近くの路地裏へ入ってみる。

案外こういう所にいる気がするのだが…。

辺りを見回して歩くがミロの姿はない。

路地裏で人を捜す…、

いつでも捜しているよ、どっかに君の姿をってね、

分かる人だけ笑ってくれ…。

俺は頭の悪い妄想を膨らませながらその《君を捜す路地裏》を歩き続けた。

小さな八百屋の隣、何なのかもよく分からないアヤシイ店の近く、ついにはゴミ箱の中までも…。

しかし《迷子の子猫ちゃん》は見つからない、

いやはやこれは参った。

「…本気でアイツどこいったんだ?」

まぁアイツは仮にも妖怪だ、多少はそれらしい術(変化の術とか隠れ蓑の術)とかも得ているだろうし、探索の素人が見つけるにはちと大変なのかもしれん。

…となるとプロに任せるしかないのか?

すなわち警察にね…。

俺は近くの交番へ行こうと進路をかえる、面舵いっぱい!

…いや待てよ…、

アイツのことはどう説明すればいい?

住民登録なんてしてないし、特徴とか言われても《猫の耳の生えた半分男半分女で約4〜5百歳の子供の悪霊兼妖怪》なんていって通じるだろうか?

それこそ、

困ってしまってワンワンワワ〜ン…だ。

いっそカラスに聞いてみるか?

…もうふざけるのはやめよう…、だいぶミロの呪いがきてるな…。

俺は仕方なく探索を続けた。

向かいのホーム、路地裏の窓…、まぁこんなとこにいるはずもないが…、

いや本当にアイツどこ行きやがったんだ?

路地裏はすべて見た、その他に行くところと言えば…、ダメださっぱり分からん…。

まったく、何がとりつくだよ…急にいなくなりやがって…。

ところでアイツ…やはり俺がいなくなって不安になったりしているのだろうか…?

怖くて泣いていたりしてるのだろうか…?

その姿を想像する…、

…ちょっと可愛い…萌えだ…って俺はレンか!?

しかし実際にそうだとしたらそれどころではない、

早々に見つけないとさすがに可哀想だ…、

…俺はアイツの保護者じゃないんだが…。

いや、そんなこと言ってる場合じゃ…って、

「うおぉっ!」

思わず声に出した。

何にそれほど驚いたって気が付くと辺りが薄暗くなっていたからだ。時が流れるのってなぜこんなに早いんだ?

ちなみに時間の流れは人が年をとるごとに加速して感じるらしい…、

何でも五分でできていたことが年をとり十分かかるようになり、二十分かかるようになり…そうしていくうちに時間の流れが早く感じる…ということらしいのだ。

とはいっても俺はまだまだ若い!まだ14歳だ!

なぜこうまで時が流れるのが早い!?

それになぜ今の今まで辺りが薄暗いことに気が付かなかった!?

…なぜ?なぜなんだ俺?

…まさか…?

いや、そんな馬鹿な…?

でも…これが一番有力…か…な…?

「無我夢中でアイツを捜してた…?辺りが見えなくなるほど心配してた…?」

お…俺があんな馬鹿で迷惑な妖怪なんかを…、

本当アイツは身勝手に人にとりつきやがって…、

家汚すし言うこと聞かないし…、

第一アイツ…イタズラしておしおきで妖怪になったんだろ?

まったくとんだドジッ子だよ…、

携帯電話の時計が指す時刻はすでに7時…、

捜せてあと一時間…一人でそれ以上ウロチョロしてたら母さんに叱られるのは目に見えてる…、

それこそおまわりさんが出動してしまうかもしれない…。

まったく…なんで俺がこんなに必死に捜さないといけないんだよ…、







くそ…あのバカ…早く出てこい…早くしないとお尻ぺんぺんだぞ…。















「…ん…んあぁ…」

う…朝か…。

俺は自分の部屋の中で横たわっていた…。

…あぁ…結局昨日見つからなかったんだっけ…?

…一日見つからなかった…?

…普通そんなことあるだろうかな…?

…では普通じゃないとしたら…?

…事故…、だったら何かしら騒動になるはずだ。

…逮捕…、なぜ?

…まぁ上記のやつの確率は皆無か…。

となると誘拐か…。

はぁ…、

まったく…、

誘拐ね…、

誘拐…、

融解…、

蕕迴…、

ゆうかい…、

………、

誘拐っ!?

そ…そんな馬鹿な…落ち着け…大丈夫、そんなわけない…。

第一ミロが誘拐されたところで俺にはなんのデメリットもない…。

それにミロを誘拐してなんの意味が…?

可愛いから色々やらしいことするか、解剖して猫耳人間の標本にするくらいにしか…、

……まずいか…。俺はすぐさま部屋を飛び出した。

服は昨日のままだから着替える必要もないし、寝癖なんて気にしてられない!

俺は急いで交番へ向かった…、もうなんて聞かれようと何とか信じ込ますしかない、ミロの命が第一だ!

…無事でいろ…無事でいてくれ…ミロ…、

俺はこれ以上ないほど懸命に走っていた、なのに疲れなんてまるで感じない。

息は荒いでいるのに酸素は充分に足りていた。

交番はすぐ近くに見えていた、

あと100m

…ハァ…ハァ…、

あと50m

…ハァ…ハァ…、

もう目の前だ…、

俺は半ば失礼な位のスピードで駆け込んだ、

「…ハァ…ハァ…、あの、自分の家の……っ!!」







「大丈夫だよ、今家族捜してるから…な?」

「う…うん…」

「しかしこの耳どうなってんだ…?」




俺はその場に硬直した…、

なぜった俺の目の前にはいかにも不安な顔でうつむく子猫ちゃんと困ってしまった犬のおまわりさんがいたからだ…。




「…ミロ…」

俺は唖然としながらつぶやいた…、

「カ…カケル…!」

ミロが俺を見た、するとワンちゃん(失礼にもほどがあるな)は、

「あ、保護者さん?」

「あ、はい…すみません、コイツのことなんて説明しようか分からなくて…」

俺が警察官に説明しようとしているとき…、「カケルっ!」

ミロが抱きついてきた、

俺は驚いたがそれ以上はまだ何も考える余裕はなかった…。

たがミロが顔を押し付けている部分温かく湿り出した時、俺の中の不安が溶け出した。

「…ミロ…」

「カケル…カケルっ…」

ミロの鳴き声を聞いているとやがて俺の溶け出した不安が目から溢れ出した。

「ミロ…ごめんな…怖かったな…寂しかったな…」

俺は抱きついたミロを逆に更に強く抱き締めた、

普通は恥ずかしいと感じるのだろうが俺はそんなことどうでもよかった…、

とにかくコイツと一緒にいたいと思った…。

「ミロ…ごめんな…本当にごめんな…」

「カケルぅ〜…ふぇぇ…もう離れないで…」

「あぁ…もう絶対離れないよ…一緒にいような?」

「…ああ!」

ミロの声を聞いて俺はさらに強くミロを抱き寄せた。







「ミロ…心配させんなよ…お尻ぺんぺんだぞ…」









と、まぁこんな感じで何か最終回っぽくなってしまったがもちろん最終回などではない!

次回ももちろん存在するから心配するな!


「おーい、カケルー!」

「あぁ、待ってろ、今いくから」

ま、たまにはこういうハッピーエンドもありだろ?

では!












「ミロ、お前その菓子類どうしたんだ…?」

「取ってきた…」

「…どこから…?」

「近くのコンビニ」

それは《取ってきた》ではなく《盗ってきた》だ。

…って…、

「馬鹿野郎ぉぉぉ!!」

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