結婚率百パーセントの結婚支援サイト
もう二十代も中盤。
だらだらと過ぎていくフリーター生活も、もう五、六年間もしているらしい。
毎日、今日生きれるかを心配する日々である。
いつかその生活から脱しようと努力をしているのだが、このご時世やはりフリーターをとるほど余裕のある会社は無いらしくコツコツと信頼を得ることしか脱する方法が無いみたいだ。
しかし嫌われる事はすぐにできるのだが、好かれる事はなかなか難しい。
新しい仕事を始めたと思ったら一週間でやめさせられるということをここ一年ほど続けている。
当然だと思うが、こんな人生を詰んでいる人間を好きになってくれる人なんているはずもなく、ここ二十数年も彼女ができていない。
いや、彼女はできたことあるよ? ……幼稚園の時に。
異常な心配性(と信じたい)のお袋からは、結婚率百パーセントを唱たっている怪しげな結婚支援サイトのサイト名や、アドレスが毎日メールやら手紙やらで届いてくる。
心配をしているのは凄く分かるが、ここまで胡散臭いうたい文句は初めてだ。
……そもそも結婚率百パーセントってなんだよ?
あれか? 底辺高校の就職率百パーセント! 的な。
百パーセントを守るために毎年毎年、労働状況が最悪な仕事をむりやりすすめられる感じの。
それでも結婚率は百パーセントにはならないと思う。
どうやったら必ずお互いが納得して結婚するという仕組みが作れるだろう。
……できるとしたら、三十路を過ぎた独身女性や、男性を使って書類上だけ結婚したことにするくらいか?
最初は興味なかったサイトも、こう毎日見ると興味が出てくる。
俺は無駄な意地張るのを諦めてそのサイトを開き、説明文を読むことにした。
「へー自分の好みのキーワードを何個か入れるだけで、絶対その通りの結婚相手が見つかるのか」
試しに俺は妹、猫耳・尻尾、合法ロリ、可愛いと打ってみる。
絶対に見つからないだろうと思いながらも検索ボタンをクリックする。
………………一件ヒットした。
「……どうゆうことだよ? おい」
俺は思わずそう呟きながら、画面を注意深く覗きこんだ。
小さく写っている写真には確かに白っぽい猫耳がついている。
いや、まだ分からない。
……もしかしたら猫耳カチューシャを着けただけの、背の小さいおばさんかもしれないし。
俺はおそるおそる〝ニャーシャさん〟なる文字をクリックした。
すると突然、スマートフォンが直視できないレベルに輝きだす。
堪えきれず俺は目を瞑ってしまう。
────目を開けると、猫耳と尻尾のある可愛らしいロリっ子が部屋の中にいた。
銀色に輝く可愛らしい猫耳と、短く切った癖っ毛の髪。眼は綺麗なブルーをしている。だが、神秘的に輝く光とは正反対のふわふわとしたとても猫らしい雰囲気を醸し出していた。
「にゃ?」
「…………にゃ?」
猫耳ロリは耳と、尻尾を生々しくピコピコと動かしながらキョロキョロと周りを見渡していたが、状況を理解したのか嬉しそうな顔になり急に俺の方に抱きついてきた。
「やっとだにゃ……ありがとうっ! お兄ちゃん!」
「えーと……これはどういう事でせうか?」
「にゃあはずっと結婚あいてをさがしてたんだにゃ。でもなかなかみつからなくて……でも、やっと、やっとにゃあをえらんでくれる人があらわれたにゃあ!」
…………俺は質問方法を変えることにした。
「耳と尻尾を見る限り本物っぽいけど、何者?」
「にゃあは猫人族だにゃ。ちきゅうじんからみて、ちがうせかいからきた、いせかいじんだにゃ」
「えーと、ということはこのサイトは異世界とも繋がってたと?」
「うんっ!ちきゅうじんはすごくにんきだにゃ! しかもふにんきな猫人族は、ちきゅうじんからなかなかえらんでもらえないのにゃ……なんまんにんもいるなかで、にゃあをえらんでくれてにゃあはすごくうれしいにゃ!」
「……………………じ、じゃあ、森の妖精のエルフだったり、キスをすれば不老不死になれる人魚様とかもいるの……?」
「もちろんいるにゃ」
「…………今からこの婚約を破棄することは?」
「ボタンをおしたじてんで、けいやくせいりつ。とりけしはできないにゃ」
うん、そうだね……これはこう言うしかない。
「うああああああああああああああああああああああああぁッッ! 選択間違ったああああああああああぁッッ!」
あ、隣から壁ドンされた……静かにしよう。
「ところでどうやって、結婚届けを出して生活するの?」
「けいやくのさいのせつめいをみなかったのかにゃ?」
「──え?」
そうえば一番上に書いてあった〝キーワードを複数個設定するだけで絶対その通りの結婚相手が見つかります!〟の部分しか読まずにキーワードを設定してしまっていた。
「結婚したあとのせいかつばしょは、えらばれたほうにせんたくけんがあるってちゃんとかいてあるにゃ」
「と、ということは、まさか…………」
俺は最悪の事態を思い浮かべながら、恐る恐るといった感じでめのまえの少女に聞く。
「にゃあ! さっそくこれからにゃあの両親にあいさつにいくにゃ! こうみえてもにゃあはおひめさまなのにゃ!」
「え、ちょっと待ってまだこの世界に未練というかやり残したことが何個かあるんだけどいや、だから、そんなのいいにゃ! じゃなくて! まっ、ぎゃああああああああああぁッッ! 誰か助けてええええええええぇッッ!」
────こうして異世界に飛ばされた青年は、トントン拍子に猫人族初の猫人族以外の王子さまになって異世界中を震撼させたのだった。
初めての異世界ものですね。
これが今人気の異世界かは分かりませんが…………
なんか書いてて楽しかったです。