後味の悪い結末
お久しぶりです。金曜に更新すると書いたのにおくれてすみませんでした。
今回は前半部分シリアスっ気が強いですね。
バトルはまた今度で^ ^
答えはやはり最有力候補が正しかった。エネルギーを使い切ったのだろう。犬らしきものが山頂にて、
'大樹'のそばに倒れ伏している。
少女の展開していた武装'火焔'は揺らめきを残しながらも朧げに消えるが、瞳の焔は未だに舞い踊っている。倒れ伏しているからといって気を緩める程
少女も愚かではない。
その瞳はある一点を見つめていた。
ー双頭の…犬だと?ー
大きな犬が'大樹'の前で倒れ伏している。ただおかしい所が一つある。体は一つあるのに、頭は二つあることだ。
動く気配のない犬に少女は近づく。すると直ぐにその理由が分かった。
機械だ。機械で無理矢理一つの体に二つの頭が取り付けられている。よく見ると体の到る所に機械化されていることがわかる。
そして頭の金属部分には次の文字が彫り込んであった。
ー双頭の犬かー
これでこの犬がヒトに改造されたことが完璧に証明された。
廃棄工場や鉱山などには珍しくはあるが自然に体の一部が機械化しているモンスターもいるからだ。
"だが、電力はどこから?"
魔法を作動させるのに人力が必要な様に機械を作動させるのには電力が必要である。人力と電力の違いは人力は生物が体から作れるが電力は作れないということである。先程の元々機械化しているモンスターなどはその限りではないが。
"もしかしたらこの双頭の犬が死んだのもそれが原因なのかもしれないな"
『クゥゥゥン。』
その時小さな銀色の犬が此方に歩いてきた。双頭の犬の仔かさて置き、奴が護っていたにちがいないだろう。
もしそうなら非常に後味の悪い結末だったといえよう。
次の仮定が思い浮かぶからだ。
恐らく'都市'から逃げ出してきた双頭の犬はこの小犬を見つけ、一緒に暮らし始めた。そして
自分達に危険が迫った時はある程度の警告としてレーザーをはなっていた。
恐らく軍用に開発されたこの双頭の犬には相手の強さを測る装置が搭載されていたのだろう。ものすごい力の塊が近づいて半狂乱におちいったのだろう。そして自身への負担を無視して攻撃を繰り返し今に至ると。
『フンッフンッ♪』
小犬が鼻を押し付けてくる。何度か繰り返した後飽きたのか今度は双頭の犬の周りを歩きだした。
"自分が壊してしまったこの犬達の平穏…。どうしたらいいのだ"
恐らく今少女の中にはまた救えなかった、という気持ちが渦巻いていることだろう。討伐対象とはいえ、家族のいるただの動物だった。若干過剰防衛のすぎる気もするが。なのにその平穏を守るのではなく壊してしまったのは自分だったのだから。
ピクリとも動かない双頭の犬に業を煮やしたのか小犬はじゃれつきはじめた。
『やめろ、そいつはもう死んでいる。』
そう言って少女は小犬を摘み上げる。
『私がかわりに育ててやる。』
"犬に 言葉が通じるとおもえないがな"
どうやら何も打開策を思いかつかなかったらしい。単純な奴である。そう思ったので今まで黙っておいたが少女に話かける。
『名前すら貰っていない乳臭いガキが一端の母親気取りか?』
少女は気付いていないが私は
少女の考えていることがある程度わかる。だから少女が単なる義務心から小犬を育てようとしてるのは分かっているし、後味の悪い状況を少しでも払拭しようとしたのだが…。
ー黙れ、ムッツリ。びびって今の今まで黙っていたくせにー
この少女はフィリサリス=アルケケンギ。勇者ギルド最年少者にして《戦女神》の二つ名をもつ英雄だ。人々はこいつを仰々しく扱うがただの頑固な
やつである。彼氏のできない原因が、素直に自分の気持ちを認めないからということにすら気付いていやしない。
私?私はこの少女に取り付いている存在だ。一応念を押しておくが素直に人のいうことを認められる非常に素晴らしい精霊で、
簡単に物事に驚いたりするようなことは決してない。無論、ムッツリでもないぞ。
心情描写とか上手くしたいなぁ
これでひと塊終わりですね。次は
第二部。