闇からこんばんわ。
お久しぶりの更新ですね。
あと若干話の矛盾点を変更しました。
雨がふっている。服が肌にまとわりつくかの様な湿気と熱帯特有の温度の高さが気持ち悪かった。
『ハァ、ハァ』
少女は早く家に帰りたかった。
"冷たく清らかな川に入りヌメりを落とし、獲れたての果実をお腹一杯食べたい"
『ハァ、ハァ』
だがしかし、彼女にそれは許されない。英雄ならなおさらである。仕事は仕事だ。
類稀な身体能力の賜物であろうか。
先程から耳障りな雨音のなかに
犬のような吐息が聞こえる。
時は少しもどり。
ここはとある山のある村。山奥とは
いえども山頂に"大樹"があるために
比較的多くの人が訪れる。
そんな村の入り口辺りに焚き火を囲む人々がいた。この村に来たことのあるものなら、それは村人全てであると分かっただろう。
そしてこう思う。
"今は'紫の刻'だぞ?"と。
既に日は沈み、村人はとっくに寝ている。焚き木だって貴重なのだ。
『皆の衆、よくぞ今日この日まで
耐え忍んだ!』
杖をついた初老に差し掛かったであろう男性ーとはいえその声には
まだ張りがあるーは叫ぶ。
『遂に今日、〈勇者〉様が我等の村においでなさるッ‼ 女衆、子供衆よ、もう恐れることはないッ‼男衆よ、もう仕事の邪魔はされなくて済むのだッ‼』
静寂を切り裂き、人の歓喜の声が響き渡る。
『それもだ。ただの〈勇者〉様ではないッ‼あの〈戦女神〉様であられるッ‼』
すでに ここに何があったのか、そう思わせる様な熱狂っぷりだ。
"やっとあいつから解放されるんだな"
"またペルシカの時期に間にあうわ!"
それ程この村は長い間迷惑を被っていた。
星が暗い空に上がってくる。
『さぁ皆の衆よ‼、じきに"藍の刻"となる‼盛大に迎えるのだ!』
そして、村人の大きな歓声がひび
いたその時。村人達に無粋な声がかかる。
見ると少女が門の前に
たっていた。
『夜分に盛り上がっているところ申し訳ない。この村の名前を教えていただけないだろうか?』
その若そうな見た目に反し、
大人びた口調が夜に響く。
因みに"紫の刻"はしのこくって読みます。