7、ワケありな私は壮絶な過去を背負っているらしい
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やっとのこと王都へ向かう道中、私とリューはカイゼル達から執拗な質問攻めに会っていた。
「最初に見た時から思ってたんだけど、スミレちゃんの格好って珍しいよね。なんか不思議」
私からしてみれば本物の魔法使いが魔法使いみたいな格好をしてる方がよっぽど不思議なんだけど。
「そうですか?……」
「そうだよ!それにその綺麗な黒髪だってすっごく珍しいんだからね!」
想像はしてたけど、こういう世界じゃやっぱり黒髪って珍しいのね。
ミレーユちゃんは緑色だし、カイゼルさんは赤髪。ランバスさんに至っては眩しく感じるほど輝く金髪だ。
「黒髪ってことは、もしかしてミレーユちゃんって東の大陸の出身だったりする?」
「ひ、東…はい。そうです」
「やっぱりか。だと思った」
東の大陸がどこかは知らないけど、ここはひとまず話を合わせよう。それに東京だって、東の名の付く土地の一つだ。別に嘘はついてない。
「東の大陸か〜。私は行ったことないな。カイゼルは行ったことあるっけ?」
「いいや、オレもない。ただ、あの大陸の人々は生まれつき黒髪が多いって風の噂で聞いたことがあったんだ」
「へぇ〜。やっぱりカイゼルは物知りだね。流石リーダー!」
「おいおいこのくらい冒険者なら誰でも知ってることだぞ」
「そうだっけ?」
「二人とも、お嬢さんについて気になるのはそこじゃなくてどうやってドラゴンを従えているのか。俺はそっちの方が気になるけどな」
「あっそれそれ!それも聞こうと思ってたの!スミレちゃんはどうやってこの子をパートナーにしたの?」
ここは正直に言うべきだよね。下手な嘘をついてバレたら後々面倒だし。
「餌付けみたいなものですよ。リューが私の作る食事を気に入ったから」
「え、スミレちゃんが作ったご飯か美味しかったから?」
「ドラゴンを餌付けで仲間にしたのか?」
「はい」
「「まっさか〜!!」」
そんなに笑うだなんて、みんなして私を信じていないみたい。私は別に嘘なんかついてないのに……。
「スミレちゃんって冗談も上手なんだね!」
「いや、冗談じゃなくて」
「オレ達がただの冒険者見えるからってバカにしてるなー?」
「別にそんなつもりは」
「ドラゴンと対峙したことのない冒険者だってそんな冗談は信じないぞ」
だから冗談でも嘘でもないんだってば!
「そこら辺にしておけ二人とも。スミレさんだって人に言いたくない事の一つや二つだってあるさ。ましてや会ってばかりのオレ達にそんな大事な事話せるわけないだろ」
「それもそうだな…悪かったなお嬢さん。変なこと聞いて」
「私もごめんね。ちょっと調子に乗りすぎた」
「あ、いえ…」
そんな必要これっぽっちも無かったのにいらない気を遣わせてしまった。なんか悪い事したみたいでちょっと複雑。
「そろそろ着きますよ」
見えてきたのは厳重に警備された要塞のような王都への入り口だった。
外からのモンスターの襲撃を避けるためか周囲は巨大な壁で覆われていて、外から中の様子を伺うことは出来なさそう。
「おっと、もうそんな時間か」
「ミレーヌ、今日はちゃんと持ってるだろうな?」
「当然でしょ!私だって学習するんだから!」
「ならいいんだけどな」
するとカイゼル達は手元に免許証のようなカードを用意する。
「あの、もしかして王都に入るためにそれが必要なんですか?」
「うん。魔物使いならスミレちゃんも持ってるでしょ?ライセンス」
持ってるわけないじゃん。この世界のこともよく知らずに、魔物使いでも無いんだから。
「どうしたの?」
「……実は持ってなくて」
「え!?まさか無くしちゃった?」
「無くしちゃったというか、そもそも持ってないというか……」
「待てよ。冒険者ライセンスは世界共通のアイテムだぞ。いくら王都に来るのが初めてだからって冒険者なら持っていて当然の筈だろ」
この人、ランバスって言ったけ?何余計無いこと言ってくれちゃってんのよ。ただでさえ面倒な事になってるっていうのに。
「魔物使いなのに持ってない。確かにそれは変だな」
「ドラゴンをパートナーに出来るくらいの実力者なら、冒険者として活躍してないわけないもんね」
「何を隠してる?」
カイゼル達の視線が痛過ぎて目も合わせられない。
「スミレ殿。アナタは一体……」
「それは……」
王都まで目と鼻の先だっていうのに…。
「スミレはフリーの冒険者というやつだ」
リューのヤツ、もしかして私を助けようとしてくれたの?
「フリー?」
「取り敢えずはそういうことにしておけ」
「それってつまり訳アリってこと?」
「冒険者なら頭を使って考えてみろ。ドラゴンと共に生きる女が普通の奴らと一緒に生きていけると思うか?」
妖艶な黒髪に見慣れぬ格好、それに龍を従える女。明らかに普通とは一線を画している。
「あーそういうことね。それなら納得だ」
え?
「そんな…それじゃあスミレちゃんは…」
だから何が?
「だから彼女は王都に来たんだな?」
カイゼル達は何かを悟ったようだけど、ごめんなさい。私にはその悟った意味がさっぱり分からない。
なんで私をそんな可哀想な目で見るのよ。
「そういうことだ。故にスミレはこの世界の事をよく知らん。だから、お前達がそれを教えてやってくれ。竜である我にも人間のことはよく分からんからな」
「ああ。任せてくれ」
「こう見えてもオレ達は人に何かを教えるのは得意なんだ」
「もう大丈夫だからねスミレちゃん。私たちがいるから」
ミレーユは私を捨てられた子犬を慰めるように優しく抱きしめる
「ねぇリュー。これどういうこと?…」
「今度はお前が話を合わせる番だ。上手くやれ」
「なんなのよそれ〜…」
とんでもない勘違いをされているまま、王都目前に立ち塞がる最後の関門を無事突破することができるのだろうか。
私は今から不安で仕方がありません。
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