62、激突!災竜VS白竜
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スミレ達が着々と料理を作り始めた頃、リュードヴルムやゼノヴィア達は何やら揉めていた。
「時間を稼ぐなんて生意気なこと言っちゃって、なんか策でもあるわけ?」
「その為に時間を稼ぐだのだろう」
「一体どうやって?その姿のアンタじゃ使い物にならないじゃないの」
「だからお前の力を借りたい」
リューは当たり前のように即答で答えた。
「やっぱりそうなるんだ……」
ここにいる人間達以外に王都に人間の気配は無い。
つまり、遠慮無く暴れ放題だということ。
「ったく、アンタ覚えておきなさいよ」
「覚えてたらな」
「もう〜〜!!私がこの姿になるの嫌いだって分かってるくせにさ。この……バカヤローー!!」
ゼノヴィアが心の底から思いっきり叫ぶと、人の姿から竜の姿へと変わっていく。
「(言いたいことは言ってやったわ。もうどうなったって構わないんだから!)
白竜としての姿を完全に取り戻した彼女の周りには、治癒の力をオーラとして纏いながら翼を広げて空を漂う。
その姿を見ているだけで心まで癒されるように美しい。
「これがゼノヴィアさんの本当の姿……」
「キレイ……」
ゆっくりと翼を動かす度に、災竜の攻撃よって崩壊した建物までも元通りに戻っていく。
「この姿疲れるのよね〜……」
「疲れるくらいがなんだ。お前だけが頼りなのだ。いいから頼むぞ!」
「アンタに頼られるのは悪くないけど、私が戦闘向きじゃないの分かって言ってるのよね?だったら援護くらいはしなさいよ!」
白き翼を大きくはためかせヴェルトゥガの前へと立ち塞がる。
「ヴェルトゥガ!私にこの姿を取り戻させたこと後悔させてあげる」
「治癒か……ムダダ、オマエの攻撃ではワレは倒せない」
「わざわざ言われなくたって分かってる」
「ナラ、何故タタカウ?ムダダというのに」
「だからって諦めるほど私達は利口じゃないってこと。それに無駄かどうかは、やってみれば分かるわよ!!」
ゼノヴィアから発せられた白い炎はヴェルトゥガを一撃で切り裂いた。
炎の熱で辺りが歪む。しかし、その歪みの奥には無傷のヴェルトゥガが確かに存在している。
「なんて再生力よ。手応えはあったのに……」
「これがコタエだ」
「それは、お前が勝手に決めることじゃないのよ!!」
力の限り正面からぶつかり合う2匹の竜。
「冗談だろ……」
誰かがそんな言葉を溢すのも無理はない。
麗しき白竜は、自慢の翼を一振りするたびに熱波が溜まっていき、次の瞬間には灼熱の白炎が一直線に吐き出される。
対する災竜。漆黒の闇を全身に纏ったその巨体は、黒煙とともに加速し、炎を真正面から軽々と打ち砕いた。
まるで天変地異で起きているかのような光景が今、目の前に広がっている。
否、これが天変地異を止める為の戦いだということはここにいる誰もが分かっていた。
「何度、クリカエセバ分かる?」
「なら、これならどうよ!」
白竜は一気に加速して接近戦に持ち込む。
「ムダダと言っている」
飛び込んでくる白竜をものともしないまま弾き返そうとする。
「止まれ!!」
「……!」
しかし、災竜の動きが一瞬鈍くなり、白竜はその隙に至近距離まで接近する。
「援護が遅いのよリュードヴルム!!」
「いいから決めろ!」
「はあああっ!!」
白竜の爪は見事に災竜の翼を裂く。
「よし!これでちょっとは効いたでしょ!」
だが直ぐに翼は再生を始め災竜の動きも活発になっていく。
「余計なことを、スルナ…!」
災竜が放った衝撃波がリュードヴルム達をまとめて弾き飛ばす。
「……こんなチャンス滅多に無いの。アイツの分まで、この手でぶん殴るまで、終われないのよっ!!」
それでも白龍は止まらない。
「ゼノヴィア無理をするな!」
「うっさいリュードヴルム!」
「なっ……!」
「無理でも無茶でもしなきゃ仇は討てないでしょうが!!」
白竜は傷だらけになりながらも、睨み、吠え、再び翼を広げて加速する。
「アイツ、死ぬ気か……!」
空を切るように加速を繰り返しながら、災竜の懐へ突っ込む。
「(私だってずっと後悔してた。あの時、私に力があればって……。だから、今度は私がお前を倒す!!)」
しかし、一瞬で災竜が白竜の目の前から姿を消した。
「は……!?」
その僅かな動揺が白竜に危機を招く。黒い火花が散ると背後に災竜が現れる。
「っ!」
白竜は直ぐに翼を大きく打ち下ろし、強引に距離を取る。だが、災竜にとってそれは全く関係無かったのだ。
「キエロ」
次の瞬間、空を裂く轟音とともに白竜目掛けて無数の黒き雷が放たれる。それはまるで天からの罰が下されるようだった。
避けきれないと直感的に感じとった白竜は翼で防御を固める。直撃した黒き雷は鱗を貫きながら白竜を地面に叩き落とした。
「ゼノヴィア!!」
傷は大きいが、まだ若干の力を残す白竜は立ちあがろうとする。
一瞬、スミレ達に目を配る様子も見せる。
「まだ、、終われない……!」
それを嘲笑うように災竜の瞳が妖しく輝いた。
「もうオワリダ」
「だから、何勝手に!」
「もうキマッタことだ。オマエ達に勝ち目はナイ。故にワレが手を出す必要もナイ」
災竜は空高く雄叫びをあげる。
次の瞬間、周囲が騒がしくなり大勢の何かが迫ってくる。
「何をしたの……?」
「まさかこの気配…また面倒なことを!」
スミレの的確な指示のもと、テキパキと料理を進める一同。
「スミレさん、この肉はどうすれば!?」
「味付けは済んでるから、粉を付けて油で揚げてください!あと、二度揚げも忘れないように!」
「分かりました!」
から揚げは揚げればいいだけだし、親子丼も後は卵でとじるだけ。オムライスとナポリタンもいい調子で完成に向かってる。
残りはパンケーキか。枚数焼くことも考えると、もう少し時間がかかるかもしれない。
て、何弱気なこと言ってんのよ。
ゼノヴィアさんだって諦めていないんだ。私が諦めていいわけがない。間に合わないかもじゃなくて間に合わせればいいだけの話だ。
「備えろスミレ!!」
「え?」
遠くからリューの叫び声が聞こえる。
「逃げてスミレちゃん!!」
今度はゼノヴィアさんまで。逃げろって言ったってまだ料理中だし、災竜が何か動く様子も無い。
「一体何が、」
「な、なんだあれは!?」
「嘘だろ……!!」
「まさかアイツが呼び寄せたのか!?」
「じゃあ、最近モンスターが異常に活発になってるって噂も、全部コイツの仕業か!」
たった今ようやく自分の置かれている状況が分かった。
「こんなの私、聞いてない!!」
目の前からやってくるのは、何百何千というオークやゴブリンといった馴染みのモンスターから、キラーベアーやカオススネークといった貴重なモンスターまで。大量のモンスター達の勢いは増すばかりで破壊された壁の隙間からこちらに向かってゾクゾクと突っ込んできている。
「ヴェルトゥガめ…自らの手を下さず決着をつけるつもりか」
「なんとかしないとスミレちゃん達が、っ…!」
直ぐにスミレ達の元へ向かおうとするゼノヴィアだったが、目の前にヴェルトゥガが立ち塞がる。
「そこを退きなさい!!」
「もはやコレは、お前達がカンヨすべきことではナイ。ここで黙って人間達がホロビユクサマを見るがイイ」
「ゼノヴィア、奴を惹きつけておけ!我が向かう!」
「ウゴクナ」
「なっ!……」
羽を羽ばたかせ飛び立とうとするリュードヴルムの動きが鈍くなり、やがて止まってしまう。まるでヴェルトゥガにしたように。
「コイツ、いつの間に我の力を……!」
「言ったハズだ。全てはムダになると」
「おのれ……!」
「このままじゃスミレちゃん達が…!」
なす術なく立ち尽くすしかない現実に苛立ちだけが
が募る。
「皆さん、一回料理中止!とにかく安全な場所まで逃げましょう!」
「でも、逃げるってどこに!?」
「それは……」
こうしている間にもモンスター達との距離は縮まっていくばかり。
「スミレお姉ちゃんあぶない!!」
「え、」
我先へと抜け出てきた一体のゴブリンがスミレ目掛けて飛びかかってくる。
「スミレ!!くそっ……!」
「スミレちゃん!」
避けようにも避けられず、私は反射的に頭を守り丸くなることしかできなかった。
「一度は我の婚約者だったのだ。だらしない姿を見せるでない」
目も瞑り、死すらも覚悟した私の耳に聞こえてきたのは、聞き覚えのある男の声だった。
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