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56、私の日常

閲覧感謝です!


 私が異世界に来てからもうどれ程の月が経っただろうか。


 結局元の世界に帰る方法も分からないまま、明日には念願のワイルドキャット二号店のオープンが迫っているところまで来た。


 最初は閑古鳥が鳴いていたのに、今では閑古鳥どころか行列に並ぶ客達の声で溢れている。


 アイドルだったのに、私もすっかりメイドカフェの店長兼プロデューサー。


 ここだけの話、アイドルの時より稼いでいる。


 別にそれが理由ってわけではないけれど、もう最初の時ほど、元の世界に帰りたいとも思わなくなった。それにメイドカフェとアイドルの仕事は似たようなものだから、これも何かの運命だったのかもしれない。


 だけど運命というものはは悪戯に試練を与えるものだ。


 理由も分からず私達はそれに立ち向かうしかない。


 その試練を超えた先に待っている未来が幸せなものになると信じて。


 ◇◇◇◇◇◇


 昨日まで夏日のような快晴が続いていると思ったら、この日の朝は運悪く曇天から始まった。


 二号店のオープン初日だというのに、なんだか縁起が悪い。


 しかしこんなこと一々気にしてはいられない。私は気を取り直して、いつものように人数分の朝食を作る。


 今日の朝食はオシャレにパンケーキ。トッピングはシンプルにバターとシロップ。

 スクランブルエッグとカリカリに焼いたベーコンも一緒に添えてある。


 因みにリューの分はパンケーキもベーコンも大盛りだ。


「みんな出来たわよ〜!」


 私の掛け声を待っていましたとばかりに、次々とテーブルに集まってくる。


「おはようスミレお姉ちゃん!!」


「おはよう。ちゃんと顔洗ってきた?」


「うん!」


 一番最初にやってきたのは我が家の天使、コモモだ。


 最初こそ妹のように接してきたけど、今では勝手に私が母親みたいな気分になっている。


「いい匂い〜。今日も朝から気合い入ってるわねスミレちゃん」


「それは勿論。だって今日は勝負の日ですから!」


「そんなに身構えなくても大丈夫よ。上手く行くに決まってるんだから」


 仮にコモモが私の娘ならゼノヴィアさんは私の母親?いやおばさんか?


 どっちにしても私にとって心強い存在であることは変わりない。


 ゼノヴィアさんには色々と相談に乗ってもらっていた。種族も違えば年齢もかけ離れていて、過ごしてきた世界も違う。だけどゼノヴィアさんはそんな私にもいつも寄り添って話を聞いてくれた。


 どっかの誰かさんと違って真摯に話しを聞いてくれる頼りになる存在だ。


 そんなどっかの誰かさんは相変わらず、自分勝手でマイペースだから。


「……ようやく飯か」


 リューはあくびをしながらダラダラと席に着く。


「おい、肉はこれだけか。もっとガッツリした物を作れと言っただろ」


 ほらね、言わんこっちゃない。世界が違って時代も違えばとんだモラハラ夫だ。リューが旦那だなんてお断りだけど。


 じゃあアンタが作ってみなさいよって話。


「だったら食べなくていいわよ」


「別に食べないとは言ってない」


「いつも一言余計なのよ…」


 まぁ、こんなやりとりもいつものことでもう慣れてしまった。

 こんなんでもいざとなった時には頼りになるからまた面倒なのだ。もっと碌でも無い奴と分かっていれば私も楽なのに。


「おいしい〜!!」


 相変わらずコモモの食べる顔を見ていると癒される。


 こんな風に分かりやすく喜ばれると作った方も嬉しくなる。それに比べてリューは無言でがっついているだけ。おいしいも無ければ不味いもない。


 これもいつものことだけど。


「おかわりもあるからどんどん食べちゃってね」


「おかわりだと?あるならさっさと言え。逃すところだった」


 あっという間に自分の分を完食してしまったリューは当たり前のようにおかわりを催促する。


「……」


「どうした?聞こえないのか?」


「おかわりしたいなら自分で取ってちょうだい。あそこにあるでしょ」


「面倒だ。スミレがやってくれた方が早くて助かる」


「私はまだ食事中なの。どうしてもっていうなら食べ終わるまで待ってて」


「なんだと……?」


 あからさまに機嫌を悪くするリューを見て、これはマズイとゼノヴィアが間に入ってくる。


「でも流石はスミレちゃん。朝からこんなにおいしいお料理が食べれるだなんて本当に幸せだわ〜」


 流石なのゼノヴィアさんの方だ。女同士だけあって言ってもらいたいことが分かってるわ。

 そこそこ長い付き合いになったんだからリューもこのくらい言ってくれたらいいのにさ。


「そうそう。こんなに美味しい料理を作れるなんて本当に凄いよね〜リュードヴルムには勿体無いくらいだ」


「そんなに褒めても何も出ないですよ……て、え?」


 咄嗟に答えてしまったが、この聞き慣れない声は誰の声だ?


 それにさっきまで誰もいなかった席には何故か食べかけのパンケーキが。


「君もちゃんと感謝しなよ。このままじゃいつか後悔することになるかも。ほらおかわり」


 見知らぬ男がしれっとパンケーキのおかわりをリューに渡す。


「誰!?」


「イナリ!?お前がどうしてここに!?」 


「来ちゃった」


「来ちゃったではない。勝手に来るな!!」

ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。


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