5、ターゲットは冒険者
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「今のって…」
「少し騒ぎ過ぎたか。冒険者と会うのは面倒だ。目を合わす前に帰るぞ」
いや、これは逆にチャンスでしょ。この機を逃したらそれこそ一生森暮らしだわ。
「ここです!ここにいます!!」
私は、自分が出せる精一杯の声で叫んだ。
「おい!なんのつもりだ!?」
「私はね、リューと違って人間なの。ずっと森の中で暮らすなんて無理!」
流石にアイドルでホームレスとかあり得ないから。
「我に逆らうつもりか?…」
「私はアナタの物じゃない。私の料理が食べたいなら、ちょっとは私の気持ちも考えて」
「貴様という女は……」
「こっちから声が聞こえる」
「間違いない。あそこに人がいるぞ!!」
次第に聞こえる声は大きくなっていく。
「おーーい!大丈夫かー!」
「こっちです!」
私は馬車を引き連れた男達に手を振る。
「…どうやって説明するつもりだ?揉め事に巻き込まれるのだけは御免だぞ」
「大丈夫。それは私が上手く誤魔化すから、リューは私に話を合わせて」
「仕方ない……。今回だけだぞ」
私はリューと密かに話を済ませると何事も無かったように、男達を迎える。
「大丈夫?君1人かい?」
「ええ。実はこの先に向かう途中で道に迷ってしまって……」
私は薄らと涙を流しながら、男の胸に飛び込む。
「え!?」
男は突然のことに戸惑った様子で慌てだす。
「あ、ごめんなさい。ずっと1人で怖かったから…」
「いや、気にしないでくれ。実は僕達もとある方の護衛任務の途中でね、王都に向かっているんだ。良かったら一緒に行くかい?」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせてください」
よっしゃ!作戦通り!!
私はアイドルよ。男の1人や2人、手玉に取るくらい朝飯前。この人には悪いけど、街に行くため利用させてもらうわ。
「ところで、君の上に浮いているモンスター達は君が倒したのかい?」
しまった。モンスターのことをすっかり忘れてた。
「ええ。まぁ……」
「本当に?」
あれ?なんか思ったよりグイグイ来るわね。
「本当に君が倒したのかい?」
「いや、厳密に言うと私じゃなくて、」
「倒したのは我だ」
「え、」
リューが顔を見せた途端、彼が口を開けたまま固まってしまった。
「もしかしてなんかやらかした?」
「我は言われた通り話を合わせただけだ」
「ど、」
「はい?……」
「ドラゴンが喋ったぁ!?」
あーそっち。てか、ドラゴンが喋るのってそんなに珍しいんだ。
「どうしたカイゼル!」
「何かあったの?」
騒ぎを聞きつけぞろぞろと彼らの仲間達もやってくる。
彼らは皆、まるでゲームの登場人物のようだ。2人は重そうな鎧を軽々身につけた屈強な冒険者。大きな帽子と杖を持った女の子はきっと魔法使いね。
「ドラゴンが喋った……」
「「はぁ!?」」
彼の言っていることは事実だ。しかしその2人は疑っているようだ。
「ドラゴンって言ったってモンスターだぞ。モンスターが喋るわけないだろ」
「でも実際に、」
「肩に乗ってる子って君のパートナー?」
「え、あ、はい」
「じゃあやっぱり魔物使いなのね!」
どうやらこの世界では人間とモンスターが一緒にいるのは不思議なことではないらしい。
「だけどドラゴンを従えてる魔物使いなんて初めてみたわ。ねぇ、触ってもいい?」
「私は別に構いませんが、リューがなんと言うか」
「この子リューって言うんだ。どれどれ、」
「やめろ。触るでない」
「え、」
興味本位で頭を撫でようとした女の子をリューは睨みつける。
「すごい……ねぇ、もう一回喋って?」
「フン。誰がお前らなどの言うことを聞くものか」
「わーーっ!!本当に喋った!!」
「しまった……」
リューって案外天然かも?
「聞いた!?ランバスも今の聞いたわよね!?」
「あ、ああ。まさか本当に喋るだなんて……俺達は夢でも見ているのか?」
「夢じゃないよ!これってとんでもない大発見だわ!!」
どうしよう。私はただ街に行きたかっただけなのに、リューが言った通り面倒な事になりそうな予感がしてきた。
「2人とも、驚くのはそれだけじゃない。あそこに浮いているモンスター達を見てみろ」
「なっ!アレってキラーベアーか!?それにカオススネーク、ヘルズボア、ネビュラホークまで一緒じゃないか!」
「どれも危険度Sランク越えの超激レアモンスターだよ!!」
え、このモンスター達ってそんなに危険な奴らだったの?
倒したモンスターを見ただけでこの反応だ。もしもリューが竜王だと分かりでもしたら、想像するだけで面倒だわ。
この様子じゃ私やリューの正体は黙っていた方が良さそうね。
「しかし信じられないな…。普通ならキラーベアーを倒すのにも冒険者が数十人集まってやっとってところだ。しかもこの数を1人で倒すなんてよ……」
「だけど彼女のパートナーがドラゴンならそれも納得もできるんじゃない?」
「ミレーユの言う通りだ。俺には彼女達が嘘をついているよう見えない」
「だがなカイゼル。それはまだ子龍なんだぞ。とても、倒せるだけの力があるようにはどうしても思えん」
「人間。我を見た目だけで決めつけるな。その気になればお前らなど一瞬であの世に送ってやれるぞ」
「こらっ!ちょっとリュー、言い過ぎ」
私は口が過ぎるリューの頭を優しくこつく。
それに驚いたリューはギロッとした目でじっとこちらを睨んでくる。
普段ならこんなことしたら、一瞬で気を悪くするのだろうけど彼らの前じゃそうもいかない。リューもそれを分かってか、文句の一つでも言いたいのを必死に我慢してくるのが伝わってくる。
リューには悪いけどちょっとだけスカッとするわ。
「先程はリューが皆さんに失礼なこと言って失礼しました。どうか気を悪くしないでください」
「いや、気にしないでくれ。寧ろ貴重な物を見た気がする」
「はい?」
カイゼル以外の2人も揃って頷く。
「ドラゴンにあんなこと出来るのは君しかいないと思う」
「うん。今のこれこそが何よりの証拠だね」
よく分からないけど私のことを信じてくれたようだ。
「そういえば自己紹介がまだだったね。俺の名前はカイゼル。王都で冒険者をやっている。そして隣にいるのがランバスで、」
「私はミレーヌ。見た目通り魔法使い!ね、分かりやすいでしょ!」
「あ、はい」
やっぱりそうだったんだ。そうだ私も名乗らなきゃ。
「申し遅れました。私はスミレです。えっと、魔物使いです」
「よろしく頼む」
「よろしくなお嬢さん」
「よろしくねスミレちゃん!」
冒険者って聞くとちょっと怖いイメージがあったけど、思ったより良い人そうだ。
何はともあれこれで街に向かえるし一安心ね。
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