49、アコガレボリューション
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「あ、あの……」
まじまじと見つめられてどうしていいか分からず戸惑うコモモ。
「この子、私どこかで見たことがあるような気がするのよね〜」
「お前もそう思うか」
「あ、分かった!もしかしてだけど、ヴァルギルスの娘?」
「恐らくな」
「やっぱりそうなんだ」
次から次へどう話が進んでいき、完全に置いてけぼりなコモモは改めて問いかける。
「あのさっきから何の話ですか?」
「ん?アナタの父親の話」
「え、パパを知ってるんですか!?」
「知ってるも何もヴァルギルスと私達は人間の関係でいう幼馴染みたいものだったのよ」
さらっと明かされた衝撃の事実にスミレも黙ってはいなかった。
「ちょっと待ってよ。今のが本当ならリューは最初からコモモちゃんの父親の正体を気づいてたってこと?」
「まぁな」
「何それ……」
コモモちゃんの父親ってことはカズハの旦那ってことでしょ。そんな大事なことなんで黙ってるのよ。
「だったらなんで先に教えてくれないのよ!!まさか、聞かれなかったからとか言わないわよね?」
「……」
そうだったんだ。わかりやすい。
「でもどうしてリュー様もゼノヴィア様も分かったんですか?私もパパの事はよく知らないのに……」
「僅かだけどアイツと同じ気配を感じたからよ」
「我も同じだ。それに言っていただろ?パパの翼は綺麗だったと」
「うん。ママがよく言ってたから」
「それでピンときたのだ。ヴァルギルスの翼はドラゴンの中でも稀有で美しいと評判だったからな。あれ以上に美しい翼を持つドラゴンを我は知らん」
やっぱりリューはあの時から気づいてたんだ。ちょっとおかしいとは思ってたけど、まさかこんな大事な事を隠していただなんて、暫くはカレー抜きね。
「だけどアイツに娘がいただなんて。ああ見えてちゃんとやることやってたのね」
「これも何かの悪戯かもな。アイツはいつも我らを驚かせる」
「そうね。でも嬉しい悪戯じゃない」
再びゼノヴィアはコモモに近づくと優しく手を握る。
「アナタ名前は?」
「コモモです」
「コモモか。ヴァルギルスの娘に相応しい、いい名前ね」
「え、」
「アナタのパパは英雄よ。パパがいなかったら今頃私達はここにいないかもしれない」
何それ。どういうこと?
「本当に……ありがとう」
それ以上何も言わないままゼノヴィアは優しくコモモを抱きしめていた。
すると、コモモからふわりと漂う柑橘系の爽やかな香りに気づいた。
「珍しい香りね。ヴァルギルスはこんな匂いしてなかったと思うけど」
「スミレお姉ちゃんに良い香りのする水をかけて貰ったんです」
「何それ?」
「香水のことですよ」
私は持っていた香水を見せると、お手本代わりに香水を軽く吹きかけて見せる。
「本当だ。凄く良い香りね〜」
ゼノヴィアはよっぽどこの香りを気に入ったのか何度も息を吸っては吐いてを繰り返している。
「ねぇ、この香水ってどこに売ってるの?やっぱり王都?」
「いや、これ異世界の物なので」
「異世界!?」
「実はこれも短冊の力で……」
もの凄く距離が近い。
やっぱり、ダンジョンで手に入った短冊をこんなことに使ったから怒ってたりして。さっき怒られたばっかりだしな…どうしよう。
「もしかしてスミレちゃんの肌が妙に艶々していて綺麗なのも短冊の力?」
「うん。メイクしているから」
「目元が不思議とキラキラしてるのも?」
「うん。今日使ったのラメが入ってるんで」
携帯用に持っていたメイク道具を見せると、食いつくように見つめる。
「これを使えば私もスミレちゃんみたいに綺麗になれるの?」
「私みたいにってのは言い過ぎだけど…まぁそれなりには」
既にスミレの声はゼノヴィアには届いていなかった。
「スミレちゃんって家が欲しいのよね?」
「うん」
「なら、この城をスミレちゃんにあげる」
「え!?」
「それに私の加護もあげる。だから私にそのメイク道具とやらを譲ってちょうだい!!」
「えぇっ!?」
あれよあれよという間に話が勝手に進んでいく。
「ま、待って。いくら家が欲しいって言ってもこのお城は流石にさ…」
「大丈夫。管理は今まで通り私がするし掃除だってする!」
まるでペットを飼ってもいいか強請る子供のようだ。
「そういう問題じゃなくて…」
「良いではないか。貰える物は貰っておけばいいだろ」
「リューは黙ってて!」
不服そうな顔をしながら大人しく口を閉じた。
「お願い!私はもっとキレイになりたいのよ!!」
「でもゼノヴィアさんはそんなの無くても十分キレイだと思うけどな」
「そんなの分かってるわよ!」
分かってるんだ。
「……実は私スミレちゃんを初めて見た時嫉妬してたのよ」
「私に嫉妬?」
「正直、私ってこの世界でもトップクラスにキレイだと思うのよ 」
「は、はい…」
あ、そういうタイプ。確かに飛び抜けてキレイだとは思うけど、それも自分で言っちゃうのね。
「スミレちゃんに出会うまでは本気で私が1番だって思ってた」
でも、なんか似てる。
「だけど思い知らされたわ。私って普通だったんだって」
アイドルになりたての頃は私も同じことを思っていた。
そして思い知らされた。アイドルでかわいいだなんてことは当たり前で普通のことだと。自分は特別ではないと初めて思い知らされたのだ。
「(まるで昔の私を見てるみたい…)
「普通な私がスミレちゃんみたいになれるなら、」
「ゼノヴィアさんは私みたいにはなれませんよ」
「…分かってるわ。でも少しでも近づける可能性があるなら私は諦めない」
「私はずっと憧れられる存在になりたかった。その為には努力もしたし勉強もしました」
あの頃好きだったアイドルみたいになりたい。そして私も誰かの憧れになりたい。本気でそう思ってたし、今もその気持ちは変わらない。
「だけどいくら頑張っても憧れには絶対なれないんです」
「じゃあどうすれば…」
「憧れの自分は無理でも理想の自分になればいいんですよ!!」
私は夢を叶えてアイドルになった。時間はかかったけどメジャーデビューはしたし、私の名前も売れて本も売れて、あの頃の私は人気者だった。
でもそれは、自分が憧れていたアイドル像とは遥かにかけ離れていたのだ。
それに最近気づいた。
今までそんな大事なことに気づかなかったのは多分、今の私が本当になりたかった自分だったからだ。
「ゼノヴィアさんがもっとキレイになりたいって言うなら私は喜んで協力します。だからなりたい自分になってください」
「スミレちゃん…」
なんか私らしくなかったかも。昔の私に自分で言ってるみたいでちょっと恥ずかしい。
「じゃあ、そのメイク道具譲ってくれるってこと?」
「もちろんです」
「本当にありがとう!!大事に使うね!!」
喜びの感情を溢れ出させながらスミレを抱きしめる。
「く、苦しいです…」
流石はドラゴン。見た目以上の力強さに驚いていると、スミレの体が白いオーラのようなものに包まれる。
「なんかあたたかい……」
白いオーラは程なくして消えて無くなる。
「今のって?」
「私の加護よ。一部ではあるけど、これで私の力を使えるようになったわ」
ゼノヴィアさんの力って一体どんなものなんだろう。治癒を司る竜王だって言ってたから、もしかしたら怪我とかを治したりできるのかも。
「自分の眷属以外に加護を与えるなど前代未聞だぞ」
「異世界の人間を眷属したアナタには言われたくないわよ」
「つまりは黙っていろと?」
「そういうこと」
「やれやれ。なぜこうも我の周りには強気な女ばかりが集まるのだ……」
リューが何か言ってるみたいだけど、それはさておきなんかすごいことになってきた。
リューの眷属になって人間離れした力を手に入れたと思ったら、今度は怪我まで自分を治せるようになったかもだなんて。
いよいよ自分がアイドルか怪しくなってきたわ。
「ということは晴れてこの城も我らの物ということだな」
「アンタじゃなくてスミレちゃんのね」
「似たようなものだ。しかしお前は気づいてるのか?」
「なんのことよ?」
「やはり気づいていなかったのだな。前は相当奥地にあったようだが、今はこの城、王都にあるぞ」
「は?なわけないでしょ」
そうだ。まだその話してなかったんだっけ。
「わざわざこんな所まで来て何言ってんの。冗談でも面白くないわよ」
文句を言いながら信じられないといった様子で扉を開けると、ゼノヴィアは驚愕する。
「どうなってんのよこれ〜!?」
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