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42、お姉ちゃんって呼ばれたい

閲覧感謝です!


「あの、スミレさん色々とありがとうございました」


 コモモはフードを深く被り準備万端。身支度を済ませたコモモが私に頭を下げる。


「本当に行っちゃうの?」


「はい。ここは私のいるべき場所じゃないから……」


 私はまだコモモちゃんに何もしてあげられていない。


「なら、作ってあげる」


「え?」


「私とリューのいる場所がコモモちゃんの居場所。だからさ、良かったら一緒にくらさない?」


 私は決めたのよ。カズハができなかったことを私がするって。


「ダメですよ。だって私は普通じゃないから……」


「それって竜人だから?」


「はい…」


「それがどうしたのよ?」


「え?」


「他がどうかは知らないけど、私にはそんなの関係ないから」


 正直、竜人だって言われても未だピンと来てないのよね〜。見た目はどこから見ても普通のかわいい女の子。確かに角は生えてるけど、そこがかわいいわけだし、それに異世界だってことを考えればどうってことはない。だって異世界だから。


「きっとリューも同じ気持ちの筈よ。そうよね?」


「無論だ。同じ竜の血が流れるもの同士、断る理由などどこにも無い」


「ほらね」


 リューならそう言ってくれると思ってたわ。


「でも……」


 それでもコモモは何かを迷っている。


 当然よね。見た目は子供でも私よりずっと長い時間を一人で生きてきたのだ。きっと色々なことがあった筈だ。


 いくら私がカズハの友人だからって、出会ってまだ一日足らず。そんな人間を信じられないのも無理はない。


 だけど私は信じてもらいたい。


「でもじゃない。迷ってることがあるなら教えて欲しい。私も一緒に考えたいから」


 ウザいって思われたかな…。本当ならもっと上手いこと言ってあげるべきなんだろうけど、こんな時に限って頭が回らない。


「コモモ。お前に一ついいことを教えておいてやる」


「はい…」


「お前以上にコイツは普通じゃない。だから気にするな」


 ちょっと何よそれ。リューったらいきなり失礼じゃない?これでも私は番組でやった常識テストで3位だったんだからね。


「どういうことですか?」


「お前は竜人だから普通では無いと言っていたが、スミレなど産まれた世界すら違うのだぞ。それと比べればお前が気にする事などなんてことはない筈だ」


「世界が違う?」


 コモモちゃんはカズハが異世界人だったってことは知らなかったみたいね。まぁ、カズハもどっちかといえば楽観的な性格だったし、そんなことどうでも良かったのかも。


「お前の母親も同様だ。スミレと同じで普通では無かった。産まれた場所も、考え方も、食べる物も、作る料理の種類さえもな」


 殆ど食に関することばっかりじゃないの。それって褒めてるのかしら。


「何が引っかかってるか知らんが、スミレは子供のお前が気にするようなことを気にする奴じゃない。だから安心しろ」


 もしかして私、今褒められた?リューもたまにはいいこと言うじゃない。


「……」


「なんだ。ここまで言ってもまだ信じられないのか?」


「いいえ、スミレさんやリュー様のことはもう信じてます…」


「だったらなんで迷ってる?」


「私が一緒にいることでスミレさん達に迷惑をかけてしまうかもしれない。そんなの私が嫌なんです!」


 それがコモモちゃんの迷っていた理由。


「「なーんだそんなことか」」


 今日は何かとリューと気が合う。


「それが理由とは。なんだか拍子抜けだな」


「そうよ。そんなの私が気にするわけないでしょ?」


「私が気にするんです!」


「そ、そうなの?…」


 コモモちゃんってこんなに大きな声出せるんだ……。


「だから一緒にはいれません。ごめんなさい…」


「待ってよ。だったらコモモちゃんが竜人だとバレないようにすればいいだけの話よね?」


 私ってば天才。上手いことは言えないくせにこういう時は頭が冴えるのよね〜。


「それはそうですけど……」


「なんとかならないの?」


「無理ですよ。いくらリュー様だって、」


「なるに決まっておろう」


「え!?」


「流石リュー。で、どうするつもり?」


「角があるから竜人だとバレるのだ。だからそれを隠す」


 なるほどね。見た目は殆ど人間と変わらないわけだから、チャームポイントの角さえなんとかできれば、上手く誤魔化せそう。だけどコモモちゃんのかわいい角を隠しちゃうなんてちょっと勿体ない気もすけど、仕方ないか。


「コモモ。我の目を見つめてみろ。ちょっとびっくりするかもしれんが、それは我慢しろ」


「え、」


 リューの余計な一言が不安を掻き立てる。一瞬リューと目が合うと、そんな躊躇する間もなくコモモの体に変化が現れる。


「うぅっ……」


 踠きながら苦しそうに頭を抱えるコモモの様子に我慢なら図、リューを問い詰める


「ちょっと、これって本当に大丈夫なの!?」


「いいから黙って見てろ。直ぐに終わる」


「だけど……」


 だったら早く終わってよ。こんなに苦しそうなのにこれ以上黙ってなんていられないわよ……。


「もう限界!中止にして!」


 我慢して見ていられる筈もなく、スミレは慌ててコモモの下に駆けよる。


「コモモちゃん大丈夫!?」


 声をかけた時にはぐったりとしていて返事も返ってこない。


「リュー!!」


「落ち着け。今にも目を覚ます筈だ」


 するとリューの言う通り、コモモはゆっくりと目を覚ました。


「コモモちゃん!」


「スミレさん……」


「良かった〜」


 本当心の底からホッとしている。もしコモモちゃんに何かあったら、それこそカズハに示しがつかない。


「私って何を……」


「急に苦しみがって倒れちゃったのよ」


「そうだった。リュー様の目を見たら突然体が重くなって……」


 コモモはいつもの癖で頭の角を触ろうとする。


「あれ?……」


「どうした?」


「角がありません……」


「え!?あ、本当だ」


 よくよく見てみると、確かに頭に生えていた両角がどこかに消えて無くなっている。


「どうやら上手く行ったようだな。無論、我が失敗するなどあり得ないが」


「アンタ、コモモちゃんに何したのよ?」


「アンタとはなんだ。我に向かって」


「いいから答えなさいよ」


「…コモモに流れる竜の血を少し活性化させた。それだけだ」


 血を活性化?だから角が無くなった?無理無理。この手の話はお手上げだわ。


「ごめん。全然分からないからもっと分かりやすくして」


「なぜ分からん。難しいことは何も言ってないぞ」


「私には難しいのよ!」


 異世界の常識で話されても私が分かるわけないじゃない。


「いいか?そもそも角が生えたままなのはコモモに眠る竜の力が制御出来ていないからだ」


「うん」


「本来なら成長や鍛錬によって徐々に力を使えるようになっていくものだが、その成長を悠長に待っている時間は無い」


「うん。それで?」


 少々食い気味に返事を返すスミレの態度が気になるが、リューは変わらず話を続ける。


「だから我の力を使ってその成長を促した。多少の痛みはそれに伴う反動だ。これで理解したか?」


「まあ、なんとなく?……」


「本当か?」


「本当よ。だけど力を使えるようになったからってなんで角が無くなるのよ!」


「分かってないでは無いか……」


 思わずリューは溜め息を吐いて呆れる。


「分からなくて悪かったわね!これでも理解しようと努力したんだから!」


「もういい…。コモモ、分からぬスミレに見せてやれ」


「え?」


「今のお前なら出来るはずだ」


「分かりました。やってみます」


 コモモは大きく深呼吸して、体に力を入れる。


 目がおかしくなったのか、全身に赤いオーラのようなものがふわふわと漂っているのが見える。


 コモモの意思が具現化するように漂うオーラはそして形となり両角に変わる。


「出来た……!」


「わっ!生えた〜!」


「上出来だ。慣れてくれば時間も掛からなくなる筈だ」


 角は無くなったわけじゃ無かったんだ…。


「これで分かったか?」


「コモモちゃんのおかげでね」


 何はともあれ、これでコモモちゃんが見た目で竜人とバレることは無くなったわけだ。


「コモモちゃん。これなら一緒にいられるよね?」


「……本当にいいんですか?」


「もちろんよ」


「でも私なんて一緒にいてもスミレさん達の役には立たないし」


「でもって言わない。さっきも言ったでしょ?」


「はい…」


 自分を自分で否定するのはナンセンスだって、これもカズハが言っていた。今思えば洋菓子すらも殆ど食べたことがなかったのに、何かと横文字を使っていたのはそっちに憧れがあったからなのかもしれない。


 なんの因果か異世界に来たのもそういうことだったりしてね。


「私達はコモモちゃんと一緒にいれればそれでいいのよ」


「そういうことだコモモ。もういい加減覚悟を決めろ」


「下は向かないで前だけ見てればいいわ。後ろには私達がいるんだから」


「スミレさん、リュー様……」


 カズハの分まで私達がこの子を支える。カズハの代わりにはなれないけど、出来ることはきっとある筈だから。


「そういうことだから、これから私のことはスミレお姉ちゃんって呼んで?」


 長くなりそうなことを察知したリューは早々とスミレから遠ざかる。


「え、スミレさんじゃダメですか……?」


 もじもじと照れるコモモちゃんもかわいい。こんなの見せられたら尚更やめられなくなる。


「だーめ。スミレさんって呼んでも私返事しないから」


「そんな〜。スミレさんひどいです〜」


「……」


 頬を膨らませて怒っていても全然怖くない。寧ろこれならいくらでも見ていられるわ。


「もう〜〜!」


「……」


「…スミレお姉ちゃん」


「は〜い!」


 薄っすらと頬を赤く染めながら小声で呟く。一方スミレはその何倍ものボリュームで返事を返す。


 ヤバっ。めちゃくちゃ気持ちいいわこれ。なんか脳内で出ちゃいけないものがドバドバ出てる気がする。


「ねぇ、もう一回」


「スミレお姉ちゃん…」


「は〜〜い!!」


 最高。優勝。ナンバーワンだわ。これからこんな嬉しい事が日常になると思ったら異世界生活も悪くない。


「やれやれ。困ったおばさんだ……」


「は?何か言った?」


「いや、何も……」


 スミレの声とは思えない渋い重低音に竜王は思わず背後を振り向けなかった。


 口は災いの元。だけどぽろっと溢した心の声。それは拾われたら終わりの地獄へ続く片道切符。なんてね。


「おば、」 


「あぁ?」


「す、すまん……」


ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。


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