34、少女X
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「もうすぐ最深部だ」
奥に行くほど道は左右に別れ続け、私達をを惑わせる。多分リューの案内が無ければ奥に行くどころか帰ることすら難しいだろう。
大きな曲がり角を曲がると、一気に開けた場所に辿り着いた。
「ッ!……」
目の前に見えたのは今にも巨大なモンスターに襲われようとしている少女の姿だった。
「なんなのアイツ!?」
「ほう…オーガの変異体か。意外と骨のある奴がいるじゃないか」
通常オーガ全身は真っ赤に染まっていてまるで鬼のような出立ちだ。しかしスミレ達の目の前に現れたオーガは全身が真っ黒で皮膚も鎧のように独自の進化を遂げている。
「そんなことより早く助けないと!」
「やれやれまた懲りずに人助けか。どれだけ迷惑ごとに巻き込まれたら気が済むのだ」
「だからってここで見殺しにはできないでしょ!」
「何故だ。目の前で何が起きようと我らには関係無い話の筈だぞ」
「そういう問題じゃないのよ!あとでからあげでもオムライスでも好きなのなんでも作ってあげるから!」
「それならそうと先に言え。ならば話は別だ」
リューが単純で助かったわ。これであの子を助けられる。
「死ね」
「グオオッ……」
「え、」
リューがそう一言発するとモンスターはなんの抵抗も出来ないままのその場に倒れ尽くした。
「約束は果たした。さっき言ったこと忘れるなよ」
「はいはい」
突然起こった目の前の出来事に唖然とする少女。
「大丈夫だった!?」
私は尻餅をつき動けずにいる少女のもとに駆けつける。
「ケガとかしてない?」
「あ、はい…。モンスターは?」
「そっちは大丈夫。もうやっつけたから」
顔はフードを深く被っていてよく見えないけど、この子、近くで見ると本当に小さい。小学生くらいか、下手したら幼稚園児くらいかも。でもその割に喋りはどこか大人っぽくてしっかりとしている。
それにしてもどうしてこんな小さな子がこんな場所に……。
「あの、たすけくれてありがとうございました。では、」
「待って!」
軽く頭を下げて一人でどこかへ行こうとする少女の手を掴む。
「一人じゃ危険だよ。丁度私達も帰るところだから、良かったら一緒に帰らない?」
「でも、、」
「スミレ何をしている。近道を見つけた。早く帰ってメシにするぞ」
こんな時でも本当リューはマイペースね。
「分かったからちょっと待ってて」
「早くしろ」
「あれってドラゴン……?」
「そうだよ。まぁ、私のパートナーみたいなものかな」
「どうして人間とドラゴンが一緒に……」
「え?」
リューの存在に気づいた途端少女の様子が少しおかしくなる。
「わたし、かえります……」
「帰るってどこに?」
「わかりません。でもここにいたらいけないから……」
少女がスミレの手を振り払うとその反動でフードがめくれてしまう。
「あ……」
「え、角!?」
思わず声が出てしまった。
「いまのはわすれてください……」
少女は慌ててフードを被り直す。
「待て小娘。もしやお前は我と同類か?」
「……」
その時だった。背後から獣のような唸り声が聞こえる。
「グオオオオォォ……!!」
「なにいまの……」
スミレは恐る恐る振り返ると、倒した筈のオーガが蘇り巨大な拳を振り下ろそうとしている。
「危ない!!」
「え、」
スミレは咄嗟に少女を庇うように覆い被さる。
「チッ!……止まれ!!」
リューによってオーガの動きは鈍くなるが、徐々にその動きは速くなっていく。
「グオオッ!!」
「ほう、我の縛りに耐えてみせるか。一撃でやられなかっただけはあるではないか」
「どうしてまだ生きてるのよ!倒したんじゃなかったの!?」
「どうやら我はコイツのことを少々舐めていたようだ」
「いいから早くなんとかしてよ!」
オーガは更に雄叫びを上げながら襲いかかってくる。
「グオオォォ!!」
「リュー!」
「案ずるな。丁度新鮮な肉が食いたいと思っていたところだ」
リューはお襲いかかってくるオーガの攻撃を簡単にいなすと口を大きく開け一瞬でオーガを丸ごと飲み込んだ。
「何いまの……」
飲み込まれたオーガはみるみる内に吸収されていき小さなリューの体に完全に収まってしまった。
「……オーガの肉にしては美味かった。ごちそうさん」
「もう食べたの?…」
「ああ」
「あの巨体を一瞬で?…」
「あの程度では腹の足しにすらならん。言っておくが帰ったらちゃんとメシは食うからな」
分かってはいたけど、リューってやっぱり何かと規格外だわ。言ってることは部活帰りの学生みたいなんだけど。
絶対絶命かと思われた状況もまるで嘘であったかのように簡単に乗り越えられてしまった。逆に慌ててた私が嘘をついてたみたいでなんか恥ずかしい。
「おい!あそこを見ろ!」
先程まで何も無かった筈の場所に見るからに中身が期待できそうなピカピカと金色に輝く豪華な宝箱が出現している。
「え、あれって宝箱!?どうしていきなり?」
「どうやらあのオーガはこのダンジョンの守護者だったようだな。どうりで一筋縄では行かないわけだ」
「へぇー。モンスターを倒しても宝箱って出現するんだ」
「いいや、そこらのモンスターを殺した所で肉以外得るものなどない」
つまりあのモンスターが特別だったからってことよね。
実際、あの宝箱も今までとは明らかに違う。こんな金色で豪華な宝箱からたわしなんて出るわけがない。これでたわしだったら、私は平常心を保てる自信がない。キレてキレまくっても物足りないだろう。
こんなに豪華な宝箱よ。お目当てのカレールーどころの騒ぎではない。日本にいた頃じゃあまり手の出せなかった高級ブランドのバッグや洋服、宝石とかも夢じゃない。
寧ろそのくらいの物でなければこの見た目に釣り合わない。
「じゃあ開けるわよ」
「うむ」
私は期待を胸に膨らませながら、意を決して宝箱を開ける。
「これでたわしはマジ勘弁なんだから!」
若干な不安もありながら中身を確認する。
「これ、だけ?……」
大きな宝箱の中に五枚の短冊だけと墨のついた羽ペンがポツンと入っていただけだった。
期待外れ、時期外れの甚だしい中身に言葉に出来ない程の怒りが込み上げてくる。
「こんな豪華な見た目して、入ってるのがこれだけって一体何がどうなってんのよーー!!!」
叫べば叫ぶほどそれは虚しくなっていくだけだった。
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