32、あざとさMAX
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「急げスミレ!もっと早く走れんのか!」
「これでも全速力で走ってるわよ!」
私達はリューが感じたダンジョンの気配を頼りに街中を駆け回っていた。
「一度取られてしまうと宝箱は復活に時間がかかるのだ!早くしろ!」
「そんなに言うならさ……私の肩から降りてくんない!?意外とアンタ重いのよ!」
「当たり前だ。我は竜王なのだからな」
「別に褒めてない!」
「いいから走れ。こっちだ!」
「もうっ……!覚えてなさいよーー!!」
する必要のないトレーニングをしながら、リューの案内に従い走り続けること5分。栄える街の中にポツンと存在している歪な洞窟が見えてきた。
「着いたぞ。ここで間違いない」
「疲れた……本当にこんな所にあったのね」
突如出現したとの噂は本当のようで、洞窟の側には元々あった筈の店が下敷きになった痕跡が残っている。
「どうやらまだ他の冒険者達は来ていないようだな。今の内にさっさと済ませるぞ」
「だけど勝手に入っていいわけ?」
「ダンジョンに入るのに一々許可など必要あるか」
「でも簡単に入れなさそうよ」
ダンジョンの前には屈強な兵士が道を塞いでいる。
「ならなんとかしろ。それがお前の仕事だ」
「なんとかって言われてもさ……」
他に入り口も見当たらず、やはり中に入るにはあそこしかないみたい。リューが本気を出せばあのくらいどうってことはないんだろうけど、ここで騒ぎ起こせば宝探しどころの騒ぎでは無くなってしまう。
「人を転がすのはお前の得意技だろ。使えるものはなんでも使え」
「……あーそういうこと。でも上手く行くかしら?あの人達、結構カタブツそうよ」
「いいからやれ」
もう言い方キツイんだから。でも、ちょっと燃えてきたかも。
「あの〜ちょっといいですか〜?」
いつものスミレからは考えられない程甘ったるい声で男達に話しかける。
「……何の用だ?」
「ここって通れますか〜?」
「無理だな。危険なダンジョンに一般人を通すわけには行かない」
男はスミレの甘い誘惑にも動じること無く淡々としている。
「え〜私でもダメですか〜?」
「当たり前だろ。君のような一般人を通したとギルドに知られれば俺の首が飛ぶ」
「でも私、こう見えても冒険者でしかもSランクなんですよ〜?ほら」
「バカ言え。子供でももっとマシな嘘が吐けるぞ……なっ!……」
スミレが提示した冒険者ライセンスを何度も何度も見返して確認する。
「き、君がSランク!?」
「だからそうだって最初から言ってるじゃないですか〜」
「しかしだな、私は君のような冒険者が来ると連絡は受けていない。いくら君がSランクだとはいえギルドの許可無く通す事は出来ないぞ!」
「だからこうやって頼んでるんですよ〜、ね、おねがい」
スミレは優しく手をを握り、男の顔をじっと見つめる。
「ぐっ……!!」
心の中の天秤が傾きがかけるが、男は寸前の所でそれを我慢する。
「無理なものは無理だ!!帰ってくれ!!」
「(やっぱり手強いわね…アイドルとしてこの手はあまり使いたくなかったんだけど、仕方ない)」
中々一筋縄で行かない強情な男に痺れを切らしたスミレは更に一歩体を近づける。
「……!!」
「これでもだめ?」
スミレは小声で耳元にそっと息を吹きかける。
「おっふ……」
ギリギリで耐えていた男も思わぬ攻撃にとうとう崩れ落ちてしまった。
「ど、どうぞ……」
「ありがと♡」
そのままスミレは何食わぬ顔で洞窟の中へと入っていく。
「相変わらず恐ろしい女だなお前は。あんな技どこで身につけた?」
「強いて言うなら〜才能かしら?」
「……ふっ」
「ねぇ、今笑った?」
「いいや」
「いや笑ったでしょ!?なんで笑うのよ!こっちは真面目なのに!」
「だから笑ったんだ」
「は……?」
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