15、意外と異世界でもなんとかなるらしい
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ギルドマスターからの事情聴取が終わり解放された時には既に夕暮れになっていた。
「疲れた…」
あんなに質問責めされたされたのは初めて。どこから来たかとか、どうやってリューを仲間にしたかとか、答えられない質問ばっかりで本当に大変だった。
まぁ、カイゼル達が色々と助け船を出してくれたおかげで、なんとか無事に冒険者になることはできたから良しとしよう。
「冒険者になどなってどうするつもりだ?」
「特に何も考えて無いけど」
「だったら必要無いだろ。面倒ごとに巻き込まれるだけだ」
「だとしても私は人間の生活がしたいのよ」
冒険者のライセンスも手に入れたことで、身分の証明にも困らなくなった。
つまりこれで宿に泊まれるってわけだ。芝生の上で雑魚寝する生活とはおさらば。私は夜空に輝く星空を見るより、何も変わらない真っさらな天井を見ている方が性に合っている。
「そんなことよりお腹すかない?」
「話を変えよって。まぁよい。我も同じことを考えていた」
「これからのことは明日考えることにして、取り敢えずご飯にしようか」
「そうだな。まずはメシが先だ」
ほんと、リューが食いしん坊で助かった。
「からあげだ!さっき言ってたからあげとやらが食べてみたい!」
「からあげ?別にいいけど材料が揃えばね」
「何が必要なのだ」
「肉はなんとかなるとして、必要なのは小麦粉と油かな?」
「そんなもの竜王である我でも聞いたことが無いぞ」
そこはやっぱり異世界。日本のように簡単に材料調達ってわけにはいかないか。
「まさかあれだけ言っておいて、作れないとかいうわけじゃ無かろうな?」
「作れるわよ。でも材料が無いのにどうやって作るのよ」
「そこをなんとかするのが料理番であるお前の仕事であろう!!なんとかしろ!!」
まるで暴君。さしづめ私は暴君から無理難題を押し付けられる不幸な側近ってところかしら。ほんと役損。
「なんとかって言われてもね〜……」
「師匠〜!!」
困りあぐねていると聞き覚えのある男の声が後ろから聞こえてくる。
「この声は聞いたことがあるぞ」
「やっぱり……」
忘れるわけがない。私の弟子になりたいとしつこかったあの串焼き屋の店主だ。まさかこんなタイミングで再開するだなんて本当についてない。ただでさえお腹が空いててイライラしてるってのに。
「師匠〜!!ようやく見つけましたよ〜!!」
「どうしてここが?…」
「もう噂になってますよ。美人の龍使いがいきなりSランクになったって」
「いつの間にそんなことに」
「王都中この話で持ちきりですよ!」
「だから言ったんだ。面倒ごとが増えるだけだと」
多少目立つのは覚悟してたけど、こんなにも騒ぎになるだなんて思いもしなかった、。これでは日本にいた時と同じだ。仕事が無い日も家以外はプライベートなんて無いようなもの。まさか異世界でも同じような目に遭うなんて、これもアイドル故の宿命かしら。
「師匠は何かお困りのようですね。師匠の一番弟子であるインガスがなんでもお手伝いしますぞ」
「別に弟子にした覚えはありません」
「そんな照れないでくださいよー」
「照れてません」
なんか調子のいい人ね。悪い人じゃないのは分かってるんだけどさ。
「それで師匠は何にお困りなんです?いいからなんでも言ってくださいよ!」
「小麦粉と油を探していて。でもそんなのあるわけ無いですよね?」
「ありますよ」
「ですよね〜…あるんですか!?」
想定外の答えが豪速球で返ってきたわ。
「俺は串焼き屋なんで小麦粉は使いませんが、市場に行けばどこでも売っていたはずです」
「それならサラダ油は?」
「申し訳ありません。その様な食材は聞いたことがありませんね」
「そうですか……」
流石に難しいか。この世界の料理文化があまり進展していないのはさっきの串焼きで思い知った。ここは異世界、日本のようにありとあらゆる食材や調味料が揃っているわけが無いのだ。
だけどどうしよう。小麦粉があっても油が無ければ揚げ物を作ることは出来ない。
リューにあんなこと言った手前、今更出来なかったなんて言えるわけが無いし、このままじゃ本当に針千本を飲むハメに……困ったわ。
「ご要望の物とは違うかもしれませんが、モンスターの脂身を固めた物なら手に入るかと思うのですが」
脂身を固めた物って、それってもしかしてラード!?それがあるならサラダ油なんかよりむしろ好都合だわ。
「それってどこに行けばに手に入りますか?」
「肉屋に行けば無料で分けて貰えるかと」
やったね。どこの世界もラードはお財布に優しくて助かるわ。
「ただ、普通は捨てるような物ですからとても食べれたような物では」
「構いません。今すぐ肉屋に案内してください!」
ラードで揚げ物か。こんなの作る前から美味しいに決まってる。それに久々の揚げ物だもん。なんかテンション上がってきた!
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