ギルド登録と初めてのビジネス 14
「今日からあなたは、このハルモニアギルドがその実力を認めた、正式な冒険者よ! おめでとう、コトリちゃん!」
「ありがとうございます!」
ギルドカードを受け取り、深々と頭を下げる。
その瞬間、ギルド内に、再び割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こった。
「Fランクの嬢ちゃん、おめでとう!」
「これからの活躍、期待してるぜ!」
うん、さっきまで私をボロクソに言ってた人たちの声も混じってるけど、まあいいや!
お祭りみたいで、ちょっと楽しい!
しかし、そのお祭り騒ぎは、すぐに別の騒ぎへと発展する。
「なあ、嬢ちゃん! 祝杯だ! 俺が酒をおごってやる!」
「馬鹿野郎! 嬢ちゃんはまだ子供だ! 酒が飲めるか! それより、俺のパーティに入らないか? 支度金として、銀貨10枚出すぞ!」
「銀貨10枚だと!? ケチくせえな! うちは20枚だ! それに、最新のローブも買ってやる!」
「うちのパーティなら、安全な後方支援だけでいい! 戦闘は全部俺たちがやるから!」
(うわー、始まったー! リアルヘッドハンティングだー!)
私の周りには、あっという間に人だかりができ、あちこちからスカウトの声が飛んでくる。
提示される金額も、どんどん上がっていく。
銀貨20枚って、いくらなんだろう。中銅貨1枚で100円。中銅貨100枚で銀貨1枚だから、銀貨20枚で20万円か。結構な大金だな。
でも、残念ながら、私はパーティに入る気は全くない。
だって、面倒くさいもん。
人間関係とか、意見の対立とか、そういうの、前世でもうお腹いっぱいなのだ。
私の目指すは、自由気ままなソロ活動。
誰にも縛られず、自分のペースで稼ぐ。それが一番!
「皆さん、お誘いありがとうございます! でも、私、当分はソロで活動しようと思ってるんです」
私が、にっこりと営業スマイルでそう宣言すると、冒険者たちから「えー!」という残念そうな声が上がる。
「なんでだよ、嬢ちゃん! パーティを組んだ方が、安全で、もっと稼げるぜ!」
「そうよ! あなたの生活魔法があれば、どんなパーティでも大歓迎されるわ!」
エマさんまで、心配そうにそう言ってくる。
うん、正論だ。
でも、私の目的は、大金を稼ぐことじゃない。
あくまで、「私のスローライフを維持できるだけの、安定した収入」を確保することなのだ。
そのためには、まず、この世界の『仕事』を、自分のペースで、じっくりと試してみたい。
「大丈夫です。私には、コロがいますから」
私がそう言って、足元のコロの頭を撫でると、冒険者たちはぐっと言葉を詰まらせた。
さっきの、ゴーレムを一撃で粉砕した、あの白い悪魔(?)の姿が、脳裏に蘇ったのだろう。
「それに、一人の方が、気楽でいいんです」
私のきっぱりとした態度に、冒険者たちもそれ以上強くは誘ってこなかった。
ふう、なんとか切り抜けた。
「それじゃあ、エマさん。早速ですが、何か私でもできそうな依頼、ありませんか?」
私は、すっかり落ち着きを取り戻したギルドで、最初の仕事を探し始める。
エマさんは、にっこり笑って、壁の依頼掲示板を指差した。
「もちろんよ! Fランク向けの依頼なら、たくさんあるわ。ゴブリン退治、荷物の護衛、それから……あ、これなんてどうかしら?」
エマさんが、掲示板から一枚の羊皮紙をひらりと剥がして、私に見せてくれる。
『依頼:薬草採取
内容:ハルモニア南の森にて、薬草『ナイト・グロウ』を20本採取。
報酬:中銅貨30枚
難易度:F(安全)
備考:薬効成分は根に多く含まれるため、採取の際は、必ず根っこから引き抜き、傷つけないこと』
(薬草採取! キターー! これぞ、ファンタジーの初心者クエストの王道!)




