表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/53

神様、それは無いと思います 2

 会社を出て、いつもの道を歩く。


 途中のコンビニに寄る。

 新作スイーツをチェック。


「プレミアムプリン……美味しそう」


 350円。

 ちょっと高いけど、今日も頑張ったご褒美ということで。


 レジに並びながら、スマホで通販の配送状況を確認。


『お客様の商品は、明日配達予定です』


 やった! 明日には猫型クッションが届く!


 これで、寂しい一人暮らしも、ちょっとは癒されるかな。

 プリンを買って、また歩き始める。


 商店街を通る。

 八百屋のおじさんが、「安いよ! 安いよ!」と声を張り上げている。


 でも、一人暮らしで野菜買っても、腐らせちゃうんだよなぁ。

 横断歩道で信号待ち。


 赤信号。


 ぼーっと空を見上げる。

 もう暗くなり始めている。

 11月の空は、あっという間に暗くなる。


「はぁ……」


 ため息が出る。


 このまま、ずっとこんな生活が続くのかな。


 朝起きて、満員電車に乗って、仕事して、帰って、寝る。

 その繰り返し。


 楽しみといえば、通販で買い物することと、動物動画を見ることくらい。


(宝くじでも当たらないかなぁ)


 3億円当たったら、会社辞めて、ペット可のマンション借りて、猫を5匹くらい飼って。


 朝から晩まで、もふもふに囲まれて暮らすんだ。


 働かずに、のんびりスローライフ。


 ああ、夢のような生活。


(あー、異世界転生とかないかなー)


 ネット小説みたいに、トラックにひかれて、異世界に転生して、チート能力もらって。


 でも、私が求めるのは、世界を救うとかじゃなくて、ただのんびり暮らすこと。


 可愛いペットと一緒に、スローライフ。

 それが私の理想。

 信号が青になる。


 横断歩道を渡り始める。


 その時だった。


 ゴンッ!!!


 頭に、何か重いものが直撃した。


 一瞬、何が起きたか分からなかった。


 視界がぐるんと回転する。

 空が下になって、地面が上になって。


 あれ? 私、倒れてる?


 頭から、何か温かいものが流れている。

 血? 


 これ、血だよね?

 周りの人たちが、悲鳴を上げている。


「きゃー!」

「大丈夫ですか!?」

「救急車! 救急車呼んで!」


 みんな、パニックになってる。


 私を見下ろしている人たちの顔が、だんだんぼやけていく。

 何が起きたの?


 トラックにひかれた?

 いや、横断歩道は安全に渡っていたはず。


 じゃあ、何?


 視線を動かすと、私の横に、何か転がっているのが見えた。


 植木鉢?


 それも、すごく大きな植木鉢。

 盆栽みたいなのが植わっている。


 鉢は割れていて、土が散らばっている。

 ……まさか。


 空から植木鉢が降ってきた?


 そんな、漫画みたいなこと、現実に起きる?

 意識が薄れていく。


 ああ、これ、死ぬやつだ。


 28年の人生、これで終わり?


 やり残したこと、いっぱいあるのに。


 猫、飼いたかった。

 世界一周旅行、したかった。

 美味しいものも、もっと食べたかった。


 それに、明日、猫型クッション届くのに。


 受け取れない。


 ……それが一番悔しい。

 目の前が、真っ暗になっていく。


 ああ、これで終わりか。


 さようなら、私の平凡な人生。


 最期の瞬間は、平凡じゃない死に方だったけど――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
酷いwwww 誰だよ、横断歩道歩いてるのに頭に植木鉢落とすやつっっ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ